【秋田県】ブナの原生林と名湯に抱かれて。休暇村乳頭温泉郷キャンプ場で味わう「至福の呼吸」

※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています
ブナの原生林が広がる休暇村乳頭温泉郷キャンプ場で、木漏れ日に包まれるバイクとアテナワイドツーリング130。 キャンプ場情報
長い旅路の終着点。ブナの原生林に抱かれて過ごす贅沢なひととき。

2025年8月。私は十和田湖の宿営地にいた。目指すは「休暇村乳頭温泉郷キャンプ場」。

前日の記録的な大雨により十和田湖からの最短ルートである国道341号は、
土砂崩れにより通行止め

岩手県へと大きく舵を切り、長い長い迂回を余儀なくされた。
数時間のタイムロスの末、ようやく辿り着いたその場所はブナの森

まずは深く深呼吸。そして味わった至福の温泉。

今回は、秘湯・乳頭温泉郷という極上のロケーションにありながら、リーズナブルに滞在し、
大自然を満喫できる「休暇村乳頭温泉郷キャンプ場」の魅力と体験記、
そしてツーリングの様子を交えながらお伝えします。

  1. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場の魅力
    1. 「乳頭温泉郷」でキャンプができる利点
    2. 深いブナの森に抱かれるロケーション
    3. 「休暇村」としての安心と信頼
  2. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 基本データ
  3. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 予約はどうする
  4. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 3つのエリアで構成されるキャンプサイト
    1. 上段:利便性と機動力のエリア
    2. 中段:多彩なスタイルに対応するエリア
    3. 下段:森に溶け込む林間エリア
  5. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 施設の様子
    1. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 サービスセンター(管理棟)
    2. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 サニタリーハウス
    3. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 炊事場・水場
    4. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 トイレ
    5. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 灰捨て
    6. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 ゴミはどうする
    7. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 その他施設1 シャワー
    8. 休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 その他施設2 コインランドリー
  6. 【休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 体験レポ】大雨の爪痕を越えて。乳頭温泉郷で憧れの秘湯キャンプ
    1. 【道中編】大雨の爪痕を越えて。〜執念の迂回ルート〜
    2. 【滞在編】休暇村乳頭温泉郷キャンプ場。乳頭温泉とブナの森に抱かれる至福のキャンプ
  7. 【まとめ】休暇村乳頭温泉郷キャンプ場を「攻略」するための備忘録
    1. 「湯めぐり」は事前の作戦を練り、早めの到着を
    2. 拠点としてのポテンシャル
    3. バイカーへの注意喚起
    4. 買い出しと燃料
    5. 最後に:次回の自分への宿題

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場の魅力

  • 乳頭温泉郷で唯一キャンプできる場所
  • ブナの森の天然クーラー
  • 「休暇村」としての安心と信頼

「乳頭温泉郷」でキャンプができる利点

乳頭温泉郷という広大な秘湯エリアにおいて、唯一キャンプを楽しめる場所
「休暇村乳頭温泉郷キャンプ場」です。

1泊数万円する名宿が立ち並ぶ日本屈指の温泉地でありながら、リーズナブルに、かつ自然をダイレクトに感じながら滞在できるのは、キャンパーだけの特権と言えるでしょう。

ここをベースキャンプにすれば、鶴の湯や黒湯、妙乃湯といった歴史ある秘湯を自分のペースでハシゴする「秘湯めぐり」の拠点として非常に便利です。

キャンプ場宿泊者は旅館宿泊者専用の「湯めぐり帖」の購入利用はできません

また、キャンプ場から少し移動した場所にある休暇村本館では、茶褐色の「乳頭の湯(ナトリウム炭酸水素塩泉)」と白濁した「田沢湖高原の湯(硫黄泉)」という、泉質の異なる2つの源泉を一度に楽しめる贅沢が待っています。

一度の入浴で個性の違う名湯を堪能できるこの環境は、数ある乳頭温泉郷の宿の中でも、休暇村ならではの大きな魅力です。

深いブナの森に抱かれるロケーション

キャンプ場そのものが持つ圧倒的な自然環境は、訪れる者に何よりの贅沢を提供してくれます。

標高約800mに広がるブナの原生林は、真夏でも「天然のクーラー」として機能し、下界が猛暑に包まれていても、一歩足を踏み入れれば別世界のような涼しさが広がっています。

深い森の呼吸と同調するように、心身ともにリフレッシュできるこの特別な空間こそが、ここを訪れる最大の理由といえるかもしれません。

「休暇村」としての安心と信頼

休暇村 乳頭温泉郷本館

キャンプには不便さがつきものですが、休暇村が運営母体であるここは、
施設がきれいで使いやすいのが魅力です。

トイレや炊事棟などの共有スペースも、清掃が行き届いています。

山深く厳しい自然環境にありながら、一定の水準以上が保たれているのは信頼の休暇村ブランドならでは。

キャンプの不便さを補ってくれる設備環境は、女性やファミリー、そして旅の疲れを癒やしたいツーリングライダーにとっても、心からリラックスできる安心感があります。

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休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 基本データ

訪問年月2025/8晴/晴
名称休暇村乳頭温泉郷キャンプ場https://utarube-campground.booking.chillnn.com/
場所〒014-1201 秋田県仙北市田沢湖生保内駒ヶ岳2−10187-46-2244
業態民営一般財団法人 休暇村協会
ロケーション林間ブナ林
サイトオートフリーサイト/フリーサイト/AC付区画オートサイト/キャンピングカーサイト    硬 □□□☑□ 柔
サイト規模大規模全59区画+フリーサイト
営業期間6/1日~11/2まで(2025年度)定休日 なし ※期間中無休
予約方法休暇村乳頭温泉郷H.Phttps://www.qkamura.or.jp/nyuto/camp/
in / outin 13:00~18:00/out ~11:00
料金(利用プラン)2100円バイク1台、テント1張り、林間オートフリーサイトを利用
  (内訳)入場料(管理費)600円/人
施設利用料1500円
駐車料金なし
備考特になし
受付時間 10:00~18:00平日は本館にて
売店 あり ※本館飲食料、お土産
レンタル なし※手ぶらプランあり
薪 あり
設備トイレ:サニタリー棟内2ヵ所、※他、1ヵ所水洗・洋式便座 
フリーサイトのトイレのみウォシュレット付き
風呂:なし/シャワー:ありコインシャワー 100円/3分
炊事棟:サニタリー棟内2ヵ所/他、水場3ヵ所
灰捨て場:あり※サニタリー棟内かまど
その他施設:コインランドリー洗濯機 (150円or200円)/乾燥機 (100円/10分)
ごみ分別して廃棄可サニタリー棟内2ヵ所/他
直火の可否不可要 焚き火台、焚き火シート
薪の調達状況可 易 ☑□□□□ 難
電波状況普通 ※楽天モバイル  
客層(主観)ソロ □□□☑□ ファミリー
獣・虫小動物※サイト内は特に出没しないとのこと
サイト内路面状況舗装道路
買い出しスーパーマーケットグランマート 田沢湖店 約16.2km
コンビニデイリーヤマザキ 田沢湖高原店 約11.3km
温泉休暇村乳頭温泉郷約1.7km
料金:800円 11:00~19:30最終受付 
※20:30退館

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 予約はどうする

予約は休暇村乳頭温泉郷H.PよりWEB予約です。

予約の際は『Q会員(※)』の登録があると予約がスムーズで便利です。

Q会員とは:休暇村会員。休暇村利用時に無料で入会できる。Qカードは全国の休暇村で利用できるポイントカード。100円につき5ポイントが加算され、次回以降、休暇村利用時に1ポイント=1円で利用できる。

また楽天トラベルキャンプでも予約の取扱いがあります。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 3つのエリアで構成されるキャンプサイト

公道からキャンプ場内へ下っていくと管理棟(中央左)が見えてくる

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場は、山の地形を活かした3つのエリア(平面)で構成されています。
説明の便宜上、ここでは上段中段下段に分けてお伝えします。

キャンプサイトは、フリーサイトをはじめ、林間フリーオートサイト、電源付きオートフリーサイト、
キャンピングカーサイトがあります。

  • 場内は3つのエリア(上段、中段、下段)で構成されている。
  • フリーサイトは上段と中段に配置
  • 区画にはもれなく舗装された駐車スペース有
  • 但し区画指定はできない※

※閑散期は場所を選ぶことができる(要相談)

上段:利便性と機動力のエリア

左に見える管理棟の右側に広がるフリーサイト。右へ下ると中段のサイトへ通じる。

入り口を入ってすぐの「上段」には、サービスセンター横にフリーサイトが広がります。

このエリアの最大の利点は、場内を奥まで経由せずに外へアクセスできること。
買い出しや湯めぐりへの往来が非常にスムーズなため、ここを拠点にアクティブに動き回りたいライダーにとっては、最も機動力の発揮できるポジションと言えます。
※場内は一方通行です。

さらに、利便性において見逃せないのがトイレの設備です。
場内で唯一、ここ上段のフリーサイトにあるトイレには
ウォシュレット付きトイレが備わっています。

管理棟すぐ横に広がっているフリーサイト。ウォシュレット付きトイレと水場がある。

中段:多彩なスタイルに対応するエリア

中段に位置するエリア。電源付きオートフリーサイト、フリーサイト、キャンピングカーサイトがある。

細い道を下った先にある「中段」は、サニタリーハウスを中心に、電源付きオートフリーサイトフリーサイトキャンピングカーサイトが配置されています。

中央に位置するサニタリーハウス
電源付きオートフリーサイト
中段にあるフリーサイト
上段にあるフリーサイトと比べると狭い
キャンピングカーサイト。サニタリー棟のすぐ横。車両が横付けできる台形の駐車スペースがある。

また、上段と中段を結ぶ車道沿いにも電源付きサイトがあります。

上段へ続く車道沿いにも区画が配置されている。

下段:森に溶け込む林間エリア

最下段はオートフリーサイトのみ

最も低い位置にある「下段」は、サニタリーハウスを中心とした林間フリーオートサイト
深いブナの森をより間近に感じられるエリアであり、木漏れ日の中で静かに過ごしたい方には絶好のロケーションです。

林間フリーオートサイトの様子。深い森の中にいるような雰囲気。
オートフリーサイト、こちらは13番の様子。オートフリーサイトにも舗装された専用の駐車場所が完備。
林間オートフリーサイト、地面の様子は土。柔らかめ。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 施設の様子

  • サニタリーハウスに主要な施設が集約
  • 水場が点々と配置
  • 1ヵ所だけウォシュレット付きトイレが備わった独立トイレあり

基本的には2棟あるサニタリーハウスに、炊事場、釜土、トイレ、コインランドリー、ゴミ捨て場といった主要な施設がすべて集約されています。

水場に限っては、サニタリーハウスから遠い場所でもアクセスしやすいよう点々と配置されています。

また、先ほど触れた通り、サービスセンター横フリーサイトにあるトイレには、場内で唯一ウォシュレット付きトイレが備わっています。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 サービスセンター(管理棟)

キャンプ場入り口にある管理棟。平日は閉まっている。

公道からキャンプ場へと続く舗装道を下っていくと、サービスセンター(管理棟)が現れます。

基本的にはこちらで受付を行いますが、平日に限り「休暇村乳頭温泉郷 本館」での受付となる点に注意が必要です。

また支払方法について、サービスセンターではカード支払いが不可となっているため、
カード決済を希望する場合や、Qカード(Q会員)のポイント付与を行いたい場合は、
平日・休日を問わず「本館」へ向かう必要があります。

キャンプ場から約2kmほど離れたところに本館がある。

キャンプ場から約2kmほど離れた場所にある「休暇村乳頭温泉郷 本館」は、販売品が非常に充実しています。
アルコール類を含む飲料はもちろん、秋田ならではのお土産品が豊富に取り揃えられており、薪や炭といったキャンプの必需品もこちらで購入可能です。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 サニタリーハウス

施設利用の核となるサニタリーハウスは、電源区画サイトの集まる中段エリアと、最下段の林間エリアに各1棟ずつ配置されています。

この建物には、炊事場や釜土、トイレ、コインランドリー、さらにはゴミ捨て場が一箇所に集約されています。

それぞれのエリアの中心となる位置にあります。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 炊事場・水場

サニタリーハウス内には、セメント製の深めの流し場を備えた炊事場があります。

流しの側面には道具洗いに便利な水道も付います。

サニタリーハウス内、炊事場の様子。因みに置いてある洗い物道具は他のキャンパーさんが置きっぱなしのもの。

また、サニタリーハウスから離れた場所にも各所に水場が点在しています。

なお、洗剤やスポンジ、たわしといった備え付けはないため、自身で用意しておく必要があります。

林間オートフリーサイトにある水場。屋根がある、
最上段のフリーサイトにある水場。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 トイレ

サニタリーハウス内には男女別のほか、バリアフリートイレも完備されています。

サニタリーハウス内バリアフリートイレ

手洗い場所には鏡とモノを置くスペースがあり、コンタクト使用者にも便利です。

林間のサニタリーハウス内のトイレ手洗い場
中段のサニタリーハウス内の手洗い場。こっちのほうがグレード高い?

便座は洋式と和式の両方があります。

洋式便座
和式便座

なお、どうしてもウォシュレット付きトイレを利用したい場合は、最上段のフリーサイトに独立したトイレがあります。
場内で唯一ウォシュレット付きトイレが備え付けられています。

こちらにだけ独立したトイレがある。
ウォシュレット付き。フリーサイトで選ぶならこっちのほうがいいかも。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 灰捨て

灰や消し炭はサニタリーハウス内の釜土へ廃棄します。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 ゴミはどうする

各サニタリーハウス内に専用のゴミ箱が設置されています。
燃えるゴミ・缶・瓶・ペットボトルに分別して廃棄が可能です。

また、出入口にあるサービスセンター付近にもゴミ置き場の檻が設置されています。

サニタリーハウスから離れたサイトに設営した場合でも、撤収後の帰り際にバイクで立ち寄ってサッと廃棄できるありがたい動線上に配置されています。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 その他施設1 シャワー

コインシャワーは各サニタリーハウス内に設置されています。

私が訪れた際は林間側は閉鎖中、電源サイト側も調整中となっており、内部の詳細は確認できませんでした。

林間側は閉鎖中…。
電源サイト側は調整中…。

公式サイトの情報では100円で3分間利用可能となっています。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 その他施設2 コインランドリー

サニタリーハウス内各所に設置されています。

料金は洗濯機が150円、乾燥機が100円(10分単位)となっており、比較的リーズナブルな価格設定です。(ちなみに電源サイト側は洗濯機200円でした。)

洗濯機 150円 釣り銭は出ない…。別途要洗剤。
乾燥機 100円/10分
電源サイト側は200円?『電解水で衣服を除菌』と書いてある? 洗剤いらないから200円なのか?


湯めぐりを目的に連泊する際などは、非常に重宝する設備と言えます。

なお、釣り銭は出なさそうです。
また平日は場内で両替が困難なため、利用を考えている方はあらかじめ小銭を用意しておくのが賢明です。

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【休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 体験レポ】大雨の爪痕を越えて。乳頭温泉郷で憧れの秘湯キャンプ

温泉の秘境・乳頭温泉郷でキャンプがしたい。

その願いを叶えてくれる唯一の拠点が、今回の「休暇村乳頭温泉郷キャンプ場」です。

ここを拠点に憧れの名湯を巡り尽くす…。そんな期待に胸を膨らませて出発しました。

十和田湖を出発した当日は、眩しいほどの晴天。しかし目に飛び込んできたのは、土砂崩れや崩落した橋など、前日の大雨が残した無残な爪痕でした。

最短ルートは閉鎖され、盛岡経由での大きな迂回を余儀なくされる波乱の幕開け。

今回は、またもやそんな困難を越えて辿り着いた憧れの地でのキャンプの様子をお届けします。

紆余曲折あったツーリング記録【道中編】からじっくりお付き合いいただける方はこのまま読み進めてください。

※すぐにキャンプ場や温泉の様子を知りたい方は、以下の【滞在編】からご覧いただけます。
👉【滞在編】休暇村乳頭温泉郷キャンプ場。乳頭温泉とブナの森に抱かれる至福のキャンプ


【道中編】大雨の爪痕を越えて。〜執念の迂回ルート〜

前日、青森を襲ったのは観測史上類を見ないほどの記録的豪雨

一夜明け、私は十和田湖のほとりに立っていた。

↑前日過ごした青森県のキャンプ場の様子はこちら

キャンプ場で出会った方が自称温泉マニア。
「これから乳頭温泉へ向かう」と伝えると、思いがけない“温泉診断”が始まった。
私の雰囲気を感じ取ったその人は、少し考えてからこう言った。

「あなたなら…、孫六温泉が好きそうかもね。」

乳頭温泉郷といえば、真っ先に思い浮かんだのは『鶴の湯』。
しかし、あそこへ続く長いダートをバイクで走った苦労を思うと、正直少し腰が引ける。
そんな中での『孫六温泉』という提案。いいんじゃないか。

他にもいくつか巡って、最後は休暇村の湯で〆ようか。
そんな妄想と見知らぬ温泉マニアに託されたキーワードを胸に、私は秋田へ向けてバイクに跨った。


すぐそこは、秋田県の入り口。

秋田県突入。

横目に映る十和田湖はどこまでも青く、見惚れるほどに美しい。
ふと視線を落とせば、道には折れた枝が散乱している。くわばらくわばら…、わき見注意…。

十和田湖に見惚れる。道路には土砂や落ちた枝のトラップが…。

峠道に入った。
よりによって下りのカーブで、まだ手つかずの土砂が路面を覆っていた。

これはヤバさMAX級。。下りカーブで土砂水流の試練。。

土砂崩れの危うさは、前日の豪雨の中で嫌というほど体に叩き込まれている。
ローギアに落とし、慎重に土砂をいなす。それでも怖い…。後ろの車のかた、すみませんね。。

湯っくり走りましょうね。

空はこれ以上ないほどの晴天。
なのに、横を流れる川は暴れ狂うような濁流だ。

川の色ってこれであってる?

前方に警官が立っていた。
その視線の先では、根っこを剥き出しにした巨木が、鉄製の橋を無残に崩落させていた。

左の上流から木が丸ごと橋にぶち当たっている…。橋は崩落状態。

昨晩の惨劇は、青森だけではなく、秋田もまたその爪痕が残っていた。


都心部へ近づくにつれ、道は平静を取り戻していった。

緑の平原に、南国を彷彿とさせる茅葺き屋根の住居群が並ぶのが見える。大湯環状列石?
ツーリングスポットとして惹かれるものはあったが、今は先を急ぐのである。
残念だが今回はスルー。ランチグルメも取りやめ。

大湯環状列石

この辺りでは一際大きなスーパーで買い出し。
イトーキュー?いや、『ITOKU(いとく)』って名前だそうな。いっとく?

昼近くなのに値引き祭、成果は上々♪珍しいご当地即席麺も手に入れた。

いとく鹿角ショッピングセンター

偶然手に入れたご当地即席麺をパニアに詰め、目的地まで残り1時間の距離に胸を躍らせる。
どこか景色の良い場所でこれを食べようか。そんな想像をしてにんまり。

道すがらには「玉川温泉」がある。
以前、田沢湖のキャンプ場で聞いた名だ。
Googleマップにプロットしておいたその地点も、もうすぐそこに♪

旅もいよいよ佳境。浮き足立つ気持ちのままにスロットルを回す。

その時、視界に電光掲示板の赤い文字が飛び込んできた。

「国道341号 通行止め」 

突然の告知。

あー

うん?なに?何事?
一瞬、思考が止まる。

これから通る道は何号線だったっけ?まさかよ…。

ナビを確認するが、Google先生は相変わらず最短コースを指し示し、平然と直進を促している。
果たして、あなたをこのまま信じて良いものか…。先生…。

運命の分かれ道。そこで30分にわたる長考を強いられた。

スマホを駆使して情報を集める。どうしても秋田県内のルートで行きたかった。

諦めきれず、人生初めて『地域振興局 建設部』とやらへ電話をかけた。

土砂崩れにより通行止め、で間違いありません。

無情な回答だった。では、他のルートは?
妥協して105号線へ回る道も確認したが、こちらも崩落で通行不可。

目的地を目の前にして、秋田県内を縦断して辿り着く術は、もはやどこにも残されていなかった。

残された道はただ一つ。この分かれ道から岩手方面へ引き返し、盛岡を経て岩手山を大きく回り込むルートのみ。

今回の旅は、どこまでも困難が付きまとう。

だが、ぐずぐずしている時間はない。
ええい、ままよ。
覚悟を決め、既に2日前に走り抜けたはずの岩手の道にむけてバイクを走らせた。

あぁ、温泉めぐりが、遠ざかっていく…。


無表情でバイクを走らせていた。

再び岩手へ…。

道すがら「北緯40度モニュメント」が目に入る。いつもならつい寄ってしまうスポットだが、今は迷わず素通りだ。とにかく時間がない。

北緯40度モニュメント

さすがに腹が減った。
思い描いていた「景色の良い場所」は都合よく見つからず、結局、道の駅へ滑り込んだ。

道の駅 にしね

休憩所で、先ほど仕入れた即席のざるそばを広げる。つゆをかけるだけで完成という、本当か?と思える仕様だが、これが旨かった。添えた刻みのりとワサビもまたよい。乾いた体に染み渡る。
飲み物の様にそばをすすった。

旨かった。これは秋田のご当地そばなのか?
弁当みたいなざるそば。意外とうまかった。

ふと壁を見ると、ドラゴンアイのポスターが貼ってあった。
そういえば昔、ここを目指した時も通行止めで涙を呑んだことがあったなぁ、としみじみ。
あの時と同じ感情が湧きおこり、自然の壁に阻まれている自分に苦笑する。

八幡平のドラゴンアイ。いつか絶対リベンジしたい場所。

食事をズババと終え、再出発。
目の前に雄大な岩手山が現れた。この山の裾野をぐるりと回り込んでいるのだと思うと、自分がまるで岩手山の掌の上でもてあそばれているような感覚に陥る。

岩手山~~!(うかれているわけではない)

小岩井農場を横目に、国道46号線へと接続した。

この道を西へ進めば、再び秋田へと到達できる。


雫石町。見覚えのある景色が続く。
かつて、ここにある休暇村のキャンプ場にも泊まったことがあったっけなぁ。
懐かしさに浸る余裕はなかったが、道が繋がっている確信だけは得られた。

↑かつてこの地を訪れたときのキャンプの様子はこちら

仙岩トンネル。まるで要塞の入り口のような巨大な構造物に、吸い込まれるように進入した。

仙岩トンネル入り口
暗く長いトンネルを抜けると…

暗く、ひんやりとした長いトンネルが続く。ようやく前方に一筋の光が見えた。

出口を抜けた瞬間、目に飛び込んできたのは『秋田県』の標識。

秋田、再び。

朝、十和田湖から秋田へ入ったはずなのに。
まさか一日のうちに、全く違う場所から二度も秋田へ進入することになるとは夢にも思わなかった。。


仙北市に入り、ここからは北上を開始。

やっと、ここまで来た。以前通ったことのある見覚えのある道だ。
前回は桜並木が実に見事だったことを思い出す。
今は青々とした緑が、季節の移ろいを感じさせた。

やがて、『乳頭温泉郷』の標識が現れた。
長く過酷な迂回路を経て、ようやくその懐に忍び込んだのだという実感が湧き上がる。

乳頭温泉郷の領域に入った

左手に、かつて訪れた『鶴の湯』へと続く分岐が見えた。
以前の旅はそこが終着点だった。ひたすら続くダート道に半べそをかきながら走ったのを思い出す。

左へ行くと鶴の湯。まっすぐ続くこの先は未知の領域。

ここから先はまだ踏み入れたことのない未知の領域だ。

道は深いブナ林に囲まれ、ただひたすらに続く青空に向かって坂道が伸びている。
その上り坂を、一気に駆け上がっていった。

キャンプ場手前の道

ついに、キャンプ場の看板をとらえた。

休暇村乳頭温泉郷 乳頭キャンプ場到着。

やっと、ついたぁ。


【滞在編】休暇村乳頭温泉郷キャンプ場。乳頭温泉とブナの森に抱かれる至福のキャンプ

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 サービスセンター前にて

キャンプ場の看板に誘われ、舗装された坂をするすると下っていく。
突き当たりには広場があった。

バイクを降り、管理棟らしき建物に歩み寄るが、人の気配がない。

ガラス戸に一枚の紙が貼られていた。 『本日の受付は休暇村本館で行っています。』

平日にありがちな、休暇村キャンプ場あるあるだ。もはやがっかりもしない。

すぐさまバイクに跨り、来た道を戻ってさらに北上した。

あれぞ本館。

本館の駐車場には、高級そうな車が所狭しと並んでいた。
長旅と泥にまみれたボロボロの姿で、立派な館内へ足を踏み入れるのは少し気が引けたが、
ここまで来て後引く理由もない。居直ってフロントへ向かった。

ネット予約を済ませていたため、手続きはスムーズだった。

いつもの質問を受付のスタッフに尋ねた。 「ちなみに、キャンプ場に獣とかは出ますか?
「えっと…。」と口ごもるスタッフの横から、別のスタッフが助け舟を出した。

「場内は大丈夫です。出るとしても小動物くらいですね」
明らかに熊の生息地とも思える深い森だが…、人の集まる場所には寄ってこないということか?

後にキャンプ場に入ると、場内にクマ注意!のポスターがあった。注意するに越したことはない…。

「今日は林間オートサイトであれば好きな場所に設営して構いませんので…。」
「へ?いつもはどうなんです?」

基本、区画は選べないらしい。
ただこの日は利用者が少なかったため、このようなありがたい申し出を受けた。

手続きを終え、手渡された温泉巡りの案内書に目を落とした瞬間、愕然とした。
乳頭温泉郷のほとんどの宿が、日帰り入浴を15:00前後で締め切っていたのだ。

お目当ての孫六温泉は14:30まで。さらに追い打ちをかけるように、明日は定休日だという。
あまりに切ない、手痛い誤算だった。

何のための温泉郷の拠点だったのか…。
あの岩手経由の遠回りが影響し、ここで冷酷なタイムアウト宣告…。

ここ休暇村本館の入浴でさえ、通常は15:00までと書いてある。
時刻はすでに14:30を回っていた。

落胆の色を隠せない私を見て、スタッフが付け加えた。

キャンプ場を利用されている方なら、19:30まで入浴できますよ。」 にこっ。

割引こそなかったが、その一言に救われた。

この瞬間、当初の『秘湯巡り』という野望は潰え、ここ乳頭温泉郷(休暇村)の湯、一択。
そう腹を決めざるを得なかった。


キャンプ場へ再度向かう道すがら、森の息吹に触れ気持ちが切り替わった。
まあ、急ぐ必要もなくなったし。ゆっくり設営して、ゆっくり温泉に浸かろう。
これぞ贅沢の神髄だ、と。

先ほどの管理棟(サービスセンター)まで戻ってきた。

林間オートフリーサイトはどこだ?

さて、肝心の林間サイトはどこだろう。
改めて手渡されたマップを確認すると、ここはまだ入り口に過ぎない。
本丸はどうやら、このさらに先にあるようだ。

サービスセンターのあるところから場内へ続く道。バイクは大丈夫だが大型車はぎりぎりか?

細く、深い緑に覆われた舗装道を下っていくと、開けた平面が現れた。
再度マップに目を通すと、目的地はまだ奥らしい。

電源サイトが広がるエリア

例えて言えば、ここは二の丸。
私は三の丸を目指し、さらに森の奥へと突き進んだ。

最深部へと通ずる道は、さらにその表情をワイルドに変えていく。
勾配のある細い車道には、乗り上げたら滑りそうな苔が生えていた。

先ほどより勾配があり、道路に苔が生えている。ここでコケたらヤバイ…。

慎重にバイクを進めた先、ここが今回の宿営地。

林間オートフリーサイトに到着!左にみえるのがサニタリーハウス。

四方を鬱蒼とした木々に囲まれ、まるで森そのもののような静寂。

これがブナの森かぁ。

近くにあるサニタリーセンターも、上で見たものよりどこか湿り気を帯びているように見える。
森の深い呼吸が、全体を包み込んでいるようだった。

それにしても、静かだ。まさかこんな森の奥で完ソロなんてことはないよね…。

少し不安になりつつ、場内を軽く見回って今夜の拠点を吟味する。

サニタリーハウスを下った先にテントが一つ。
そして、森の奥にある屋根付きの水場付近にも先客がいた。
どうやら主要な場所は、すでに先人が押さえているらしい。

この時点で、自分を含めてわずか3張。
この広大な空間だ。わざわざ誰かの近くに設営して気を遣う必要もないだろう。
どこに張ってもロケーションに大差がないのなら、ここは利便性を重視だな。

私はサニタリーハウスにほど近い、林間サイト入り口付近の10番に決めた。

左にあるのが林間オートフリーサイト10番

同じ平面上にサニタリーハウスがあり、何より区画が広い。
バイクを停めるための舗装された専用スペースまで確保されている。

ただ、一点だけ懸念があった。 車道からサイトの駐車スペースへ入る際、拳大ほどの段差があるのだ。

ちょうど拳くらいの高さがある。バイク乗り上げにはちょっと厳しいか…?

スロープはない。 勢いよく行けばパンクするかもしれないし、かといって斜めに進入してコケるのも御免だ。私はバイクを段差に対して垂直に据え、ローギアで慎重に、ゆっくりと突入した。

「ガッ!」

鈍い衝撃が車体を揺らしたが、なんとか無事に乗り上げた。

林間オートフリーサイト10番に決定!

設営完了。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 10番サイトにアテナワードーツーリング130を設営

この隣にある舗装された駐車場が、思いのほかいい仕事をしてくれた。

前日の雨でぐっしょりと濡れたままだった道具たち。
それらを土に触れさせることなく、アスファルトの上で広げられるのはありがたい。
差し込む陽の光にあて乾燥させることができた。

拠点が整うとようやくこの場所をじっくり眺める余裕が生まれる。

さて、ではおなじみの場内散策といきますか。


車道に沿ってサニタリーハウスの横を下っていく。

正面にみえるのは16番。

14番から18番までの5区画が並んでいる。
このエリアは区画ごとの仕切りがなく、広々とした空間が繋がっている。

仕切りのない区画が隣り合っている

ソロよりも、何台かで乗り入れるグループキャンプに向いていそうだ。

ただ、その中でも14番だけは別格。
周囲が草木でうまく仕切られており、ほどよいプライベート感が漂っている。

14番。同平面上にありながら、ここだけ他と隔離されている。

深い木々に遮られて景色はみえないが、耳をすますと水の音が響いている。

目の前の景色。森、というよりかは草むら?

サニタリーハウスまで戻り、今度は水場のあるエリアへと足を向ける。

サニタリーハウスからちょっと離れた場所。別途独立した水場がある。

こちらは、立ち並ぶ木立を眺めながらキャンプを楽しめるエリアだ。

水場あたりから立ち並ぶ区画。

こちらは1番から7番までの区画が並ぶ。
サイト間はほどよく距離が保たれ、プライベート感が高い。

水場が近くにある反面、トイレまでは少し距離がある。
しかし、その分だけ森の奥へと視線が抜けていく開放感があり、静寂を好むソロキャンパーにはうってつけの場所に見えた。

森の奥を見渡せる抜け感がある

そして、特筆すべきは「7番」区画だ。
水場がすぐ隣という利便性を持ちながら、サイト自体が森へとせり出すように配置されており、ロケーションが抜群に良い。

あいにく先客が設営中だったため、カメラを向けてその姿を収めることは控えたが、
次回候補ナンバーワンは間違いなくこちらであろう。

こちらは1番の様子。サイトに上がる段差が低い。ここでも良かったなぁ。

自陣へと戻ると、空の色が少しずつ変わり始めていた。結構いい時間だ。
ここで温泉の時間を逃してしまったら、もはや何のためにここまできたのか分からなくなる。
本末転倒もいいとこだ。

すぐにお風呂セットを用意し、再びバイクに跨った。
今度は先ほど素通りした、一段上に広がる中段エリアの様子を見に行くことにする。

高規格サイトが集まるからメインサイトというべきか?まさに休暇村スタンダードな印象。

そこには、サニタリーハウスを中心に電源サイトやキャンピングカーサイトが整然と並んでいた。

休暇村のキャンプ場もこれまで色々体験してきた。
これこそ、まさに休暇村のスタンダードスタイルだな、そんな感想が自然と漏れる。

ファミリーやキャンピングカー層が安心して利用できる、高規格なエリアだ。

整ってるー!って印象。奥に見えるのはフリーサイト。

中の設備は変わらないが、サニタリーハウスも林間と比べるとなんだかグレードが高い印象。
(気のせいか?)

一方、フリーサイトはやや控えめな感じ。
もしグループ客がやってきたら、あっという間に占領されてしまいそうなサイズ感だった。


サービスセンターのある上段へと続く道沿いにも、電源付きの区画サイトが次々と現れる。

中段エリアから上段へ通ずる道。電源区画が並ぶ。

高規格なエリアを抜け、サービスセンターの前にバイクを停めた。

中央に見えるサービスセンターの右奥にフリーサイトがある。

隣に広がるフリーサイトの様子を覗いてみる。

常設テントかな?左奥に水場がみえる。

そこには大きなテントが2つ立っていたが、人の気配がまったくない。
なるほど、これが噂の手ぶらキャンプ用の常設テントなのだろうか。

奥はトイレか?

平日のためサービスセンター自体は閉鎖されていたが、付帯施設はどうだろうか。
確認すると、水場がひとつ。そして奥にトイレが見えた。
外観は少し古めかしく、ここは期待できないかなと扉を開けて驚いた。

なんと、ここだけウォシュレット付き

ここのトイレだけウォシュレット付き

えー、意外すぎる…。

トイレは高規格、場内は一方通行だがここならわざわざ大回りして出入りする必要もない。
利便性と快適さを考えれば、『湯めぐりの拠点』としてはここがベストポジションかもしれない。

風呂へ向かうため再びバイクに跨り、走りながら頭を整理する。
利便性のフリーサイトか、ロマンの林間サイトか。

いや、でもソロで、あの静寂と雰囲気を楽しむなら、断然『林間』が正解だろうよ。


そして、再び休暇村本館へ。

駐車場は、到着した時よりもさらに混み合い、満車に近い状態になっていた。

受付で日帰り入浴の料金を支払い、館内へ。
エレベーターで3階へ上がり、長い廊下をスリッパでペタペタと歩く。

男女別の暖簾をくぐり、湯殿へ。 そこで私は、いい意味で裏切られることになった。

そこには、秘境の野性味こそないが、乳頭温泉郷の真髄が凝縮されていた。

特筆すべきは、「田代元湯」から引かれた茶褐色のナトリウム炭酸水素塩泉と、
「乳頭元湯」から引かれた白濁の硫黄泉

この2種類の異なる源泉を、一つの場所で堪能できる贅沢
鼻をくすぐる濃厚な硫黄の香りが、旅の疲れをじわじわと解きほぐしていく。

露天風呂へ出ると、視界に飛び込む鮮やかな緑。
見上げれば、幾重にも重なるブナの葉が空を覆っている。

それはまるで、深い森の懐でそのまま入浴しているかのような錯覚。
まるでCMのワンシーンのような。 おやじが裸でいうことではないが…。

いい湯だった。心からそう思える、極上のリラックスタイムだった。

こういうところに泊まってみたい…。

フロントへ戻ると浴衣姿の紳士淑女たちが、楽しげに談笑しながらレストランへと吸い込まれていく。そこから漂ってくるのは、料理のいい匂いだ。

…さて、俺はテントに戻って、バゴーンでも食うかな。


湯上がりの火照った体に、ブナの森を抜ける風が吹き抜ける。

お、心地いいな、と思ったのも束の間、…いや、寒いな。

真夏の盛りだというのに、Tシャツの袖から覗く腕にはびっしりと鳥肌が立っていた。
標高の高さと深い森が空気をひんやりさせている。

寒い寒いとサイトへ戻り、すぐさま焚き火を開始した。

真夏に焚き火を楽しめるのはこのキャンプ場の特権?

あったけぇ…。

落ち着いたところで、夕食の宴のはじまり。

スーパーで仕入れた「秋田のご当地麺」シリーズ第2弾、冷やし中華を引っ張り出した。

秋田の定番?弁当サイズの冷やし中華。ミニトマトは山形産だが色鮮やか。カップに山もりはいって100円。

具材は彩りの紅ショウガだけという潔さだが、さすがはこだわりの生麺、喉越しがいい。一緒に買ったミニトマトをガブリとかじると、これが驚くほど甘かった。
赤、緑、オレンジ。色が違ってもどれもが濃密な果実のようだった。

冷やし中華はタレかけて混ぜるだけ。簡単で旨かった。トマトは濃密な甘さ。色関係ないのね、緑も甘かった。

薪が残り少なくなってきたところで、いよいよ今夜のメインイベント?
2日前に買って温存していた焼きそばバゴーンに熱湯を注ぐ。

やきそばバゴーン。わかめスープ付き♪

正直、味に際立った特徴があるわけではない。なのに、どうしてこんなに旨いんだろうか。
東北人のソウルフードと言われる所以が、なんとなく分かる気がした。

付属のわかめスープをすすりながら、ふと思い出した。
そういえば、北海道にもこんな焼きそばあったよな。焼きそば弁当だっけか?
遠い北の大地の記憶が、湯気と共に頭をよぎる。

ふと気づくと、静かだった下のエリアにいつの間にかファミリー集団が到着していたようだ。
ぞろぞろと談笑しながら、坂の上にある中段サイトの方へ向かっていく。
空が開けているから星でも見に行ったのだろう。

焚き火の傍らでふと上を仰ぎ見た。
うっそうとしたブナの枝葉。そのわずかな隙間から、星々が瞬いていた。


気持ちの良い朝とはまさにこのこと。

朝7:00。テントのファスナーを下ろし外に這い出る。

そこに広がっていたのは、重なり合うブナの木立から降り注ぐ日光だった。
まるで、光のシャワーを全身で浴びているような感覚。

それにしても、ずいぶんと涼しい。
昨晩は焚き火をしてしまうほど冷えたが、果たして気温は何℃まで下がったのだろうか。

温度計を確認すると、昨夜の最低気温は18.1℃。
真夏だというのに、なんと20℃を大きく割り込んでいた。

最高気温の31.0℃はおそらくツーリング中のものと思われる。

朝のこの時点でも、ようやく20.1℃。下界の熱帯夜が嘘のような、天然のクーラーが効いた空間。

湿り気のないカラッとした朝。これなら撤収もはかどる。

休暇村乳頭温泉郷キャンプ場 撤収の儀

サイトに隣接した舗装スペースは、最後まで大いに活躍してくれた。
パッキングの際も土汚れを気にせず、バイクの取り回しも安定している。

朝の湯めぐりに後ろ髪を引かれるが、本日は東北ツーリングキャンプ旅の最終日。
昼までにつくように山形まで走らなければならない。

バイクに跨りサイドスタンドを跳ね上げる。

エンジンをかけゆっくりとタイヤが転がり出したその時、
地面に赤い帽子をかぶった小人が立っているように見えた。

「ん…?」

バイクを止め、よく目を凝らす。
それは、木製のおもちゃに赤いペンキを塗ったような、なんともつるっつるとしたキノコだった。

ひょっこりと顔を出し、見上げて「コンニチワ」とでも言っているかのようだ。

「ぼうや、おじさんはね、また遠いところへ行かないといけないんだよ。」

森の妖精から静かな見送りを受け、私はブナの王国を後にした。

マタキテネ。。

【まとめ】休暇村乳頭温泉郷キャンプ場を「攻略」するための備忘録

ブナの森のV-strom

一晩このブナの森で過ごし、秘湯巡りの拠点としての反省と、次回への教訓を整理してみました。

「湯めぐり」は事前の作戦を練り、早めの到着を

受付の時にもらった日帰り入浴の案内書。
  • 営業時間と定休日の把握: 乳頭温泉郷の各宿は、日帰り入浴の終了が15:00前後と驚くほど早い。余裕を持った到着を。また定休日もまちまちなのでお目当ての温泉があれば利用日を事前に検討。
  • 休暇村キャンプ利用者の恩恵: キャンプ利用者なら19:30まで入浴できる。これは間に合わなかった時の最後の手段にも。

拠点としてのポテンシャル

  • 連泊に強い: 施設内にコインランドリーがあるのはありがたい。
  • 小銭(100円玉、50円玉)必携: 洗濯機や乾燥機の支払いに小銭は必須。あと洗剤も。

バイカーへの注意喚起

  • 林間サイトの段差に気をつけろ: 林間オートフリーサイトの駐車スペースへの乗り入れには、拳大の段差がある。スロープがないため、慎重に突入しないと、底付きや転倒、パンクの恐れあり。

    ※朝見かけた管理人さんに『スロープがあると助かる』と、ライダーの切実な声としてお伝えしました。スロープついてたら私を讃えてください。(笑)
薪を使って即席のスロープを作った。
  • 真夏の「防寒着」を備えよ: 標高が高く、夜は18℃台まで下がる。ライディングはもちろんだが、防寒着がないと、湯上がりに震えることとなる。

買い出しと燃料

  • 事前の買い出し: 温泉郷に入るとスーパーやガソリンスタンドは皆無。田沢湖周辺までには準備を済ませておくのが鉄則。

最後に:次回の自分への宿題

『次に来る時は、もっと効率よく湯めぐりを楽しみたい。』
そう思わせてくれるだけの魅力が、ここにはありました。

あの赤い帽子のキノコくんにまた来るよ、と約束した通り、
再びこのブナの王国へ、今度はタイムスケジュール(?)を携えて戻ってきたいと思います。

東北ツーリング5県目完了。残すは山形のみ! 今回の車載のようす
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