
長野県南部、南信地方に位置する伊那谷地域。
中央アルプスと南アルプスに挟まれた、陣馬形山の山頂にあるキャンプ場。
読み方を「じんばけいざん」と思っていたが、正しくは『じんばがたやま』。
標高は1445m。
ゆるキャン△でも取り上げられた、かの有名な地。
まえから行きたい行きたいと思うも、しばらく閉鎖中で機会を得られなかったが、
ようやく念願叶っていってきた。
前日、松本のビジネスホテルで宿泊しての気合の入れ込み。
午前中は路面凍結を避けるべく昼間のINを心がけた。
一晩過ごした感想としては、『絶景』の一言に尽きる。
今回は陣馬形山キャンプ場のレポートをしたい。
場内散策の様子、おススメサイト、雲海の楽しみ方も紹介する。

陣馬形山キャンプ場の魅力 絶景の宝庫
- 中央アルプス、南アルプスの荘厳な景色
- 伊那谷の夜景
- 運が良ければ雲海が見れる
1445Mの世界。
キャンプ場の西には中央アルプス、東には南アルプスの山々がそびえている。


時間の経過とともに移ろいゆく景色が飽きない。
また雲の上から見下ろす、天竜川沿いの細長い盆地、伊那谷の景色も絶景。

また夜になれば星が近くに見え、伊那谷の街灯がまばゆく光る夜景が綺麗。

朝は南アルプスから朝日が昇り、

運が良ければ雲海が見れる。

このような絶景を楽しむため、キャンパーのみならず、登山家や写真家も多く訪れる地。
ちなみに雲海の楽しみ方をたまたま居合わせた写真家さんに教えてもらった。
後術にて紹介する。
陣馬形山キャンプ場 予約はどうする?
陣馬形山キャンプ、2022年より有料化。
予約は陣馬形山キャンプ場H.Pより、なっぷの専用フォームで申し込みとなる。
陣馬形山公式サイト / Mt. Jinbagata
人気の360(サンロクマル)サイトはソロ枠、グループ枠があるので競争率は激化する。
陣馬形山キャンプ場 基本データ
訪問年月 | 2021/11 | 晴 |
名称 | 陣馬形山キャンプ場 | 陣馬形山公式サイト / Mt. Jinbagata |
場所 | 〒399-3801 長野県上伊那郡中川村大草1636 | 070-3106-1050 |
業態 | 公営 | ※企業に管理委託 |
ロケーション | 山間 | |
サイト | 3エリア フリーサイト (但し各エリア設営数制限あり) | 芝 硬 □□☑□□ 柔 |
サイト規模 | 中規模 | 約20区画 ※聞き込み情報 |
営業期間 | 4月中旬~11月末 | |
予約方法 | H.Pより | |
in / out | 13:00~17:00/~12:00 | |
料金(利用プラン) | 計 2,500円 | ※バイク1台、テント1張、1名 空-ku-ソロ レギュラーシーズン |
(内訳) | 駐車料金 | 込 ※追加 バイク+500円/台,車+1,000円/台 |
入場料 | 1,000円/人 | |
利用料 | 1,500円 ※空-ku-ソロ レギュラーシーズン | |
受付 | 受付時間 9:00~16:00 | |
売店 あり | 販売品豊富 | |
レンタル あり | ※焚き火シート無料レンタル | |
薪 | 900円/0.5コンテナ ※針葉樹・広葉樹 1500円/1コンテナ ※針葉樹・広葉樹 400円 ※竹 | |
設備 | トイレ:1棟 | 水洗・洋式 ※冬季手洗い断水 |
風呂:なし/シャワー:なし | ||
炊事場:1棟 | ※冬季断水 | |
炭捨て場:1カ所 | 炊事場併設 | |
その他施設 | 展望台,共有広場 | |
ごみ | 持ち帰り | |
直火の可否 | 不可 | |
薪の調達状況 | 易 □□□□☑ 難 | |
電波状況 | やや繋がりにくい | ※au |
客層(主観) | ソロ □□☑□□ ファミリー | |
害虫・害獣 | なし | ※聞き込み情報 |
管理棟までの路面状況 | 林道から駐車場手前まで舗装道。 一時搬入口まで砂利道。 | ※駐車場は砂利 |
サイト内路面状況 | – | オートキャンプ場ではない |
買い出し | スーパーマーケット | 中川ショッピングセンターチャオ 約12.8km |
コンビニ | ファミリーマートJA中川店 約13.0km |

陣馬形山キャンプ場 場内散策
陣馬形山キャンプ場を散策した様子を自作MAPと画像でまとめた。
陣馬形山キャンプ場 場内MAP
陣馬形山キャンプ場のMAPを作成した。

陣馬形山キャンプ場 場内散策の様子
各所の様子はMAPで確認できるよう①~㊵まで番号を付けた。
以下掲載する画像の番号が上記MAP上の番号場所で撮影した風景である。
散策する気分で参考にしてほしい。







勾配がある舗装道。



























陣馬形山キャンプ場 サイトの様子
サイトは3エリア。
最上段にある『360(サンロクマル)』。
中層部にある『空(KU)』。
最下層にある『森(Mori)』。
その他、皆が景色を楽しめる『共有広場』がある。
各エリアとも先着順のフリーサイトとなる。
区画を仕切るものはないが、各エリア設営数には制限がある。
陣馬形山キャンプ場 360(サンロクマル)

最上段に位置する最も人気のサイト。
『360』が表すように、360度景色が見渡せる絶景の地。
西側には伊那谷の様子と中央アルプスが見え、東側には南アルプスが見える。
西向きに張るテントが多いが、東側に設営しても良いとのこと。
割り当てされる組数は9組。
内訳はソロ4組、グループ5組。
ソロの利用の場合は特に競争率が高くなる。




陣馬形山キャンプ場 空-KU-

中層部に位置する横一線に広がるサイト。
360と比べ景観は劣るが、伊那谷の景色と中央アルプスの景色が楽しめる。
南アルプスは見えない。
共有広場の屋根が景色を遮るのが少し残念なところ。
そのため場所により見える景色が異なる。
割り当てされる組数はソロ、グループ問わず5組。

陣馬形山キャンプ場 森-MORI-

最下層に位置する広場のような地形。
前方は森に囲まれており、360や空-KU-で見れる景色は見られない。
割り当てされる組数はソロ、グループ問わず6組。
他のサイトと比べると広く使え、静かに過ごすことが出来そう。



陣馬形山キャンプ場 共有広場

空-KU-と森-MORI-の中間層にある。
ベンチが置かれており、キャンパーだけではなくトレッキングの方も利用できる場所。

景色を遮るテントはなく、中央アルプスを見ながらゆっくりした時を過ごすことができる。
陣馬形山キャンプ場 地面の様子

今回利用した空-KU-の地面の様子。
土の上にウッドチップが撒かれている。
硬すぎず、やわすぎず。
どんなペグでも刺さりは良さそうだが、風が強い日が多いそうなので
しっかりとペグダウンすることを心がけたい。
陣馬形山キャンプ場 おススメサイト
おススメは何といっても『360』。
どこに設営しても満足できる景色を堪能できるであろう。
しかし人気ゆえ、平日といえども競争率が高い。
ここでは、360と空-KU-の景観の比較、空-KU-のおススメ場所、森について検証する。
360と空-KU- 見える景色の比較
空-KU-と、360。同じ方向をみた景色の比較。


360のほうが景色の広がり、奥行きを楽しめることがわかるであろう。
空-KU- のおススメ場所
空でのサイト選びは共用広場の屋根の位置がポイントとなる。
共有広場の左(南側)から
1.炊事場の屋根、
2.共用スペース用の屋根が連なり、少し離れて
3.共用スペースの屋根がある。
この2.と3.の屋根の間がポイント。
その左右へどう設営するかで景色の見え方が変わる。
伊那谷の景色、雲海を見たい場合は屋根の間の右側をおススメする。


中央アルプスを楽しみたければ屋根の間の左側が良い。


空-KU-は横一線に設営するサイト。
サイト中央に設営する場合、他のテント間に挟まれる位置となることに注意。
施設(トイレ、管理棟)への移動は隣のテント裏を横切るか、共用広場へ降り遠回りする必要がある。
森-MORI- について
テント内からの景観は他のサイトからは劣るものの、
俯瞰でみると中央アルプスを背景に、素晴らしい写真が撮れるのである。

360を利用したことがあるリピーター、
とにかく陣馬形山でキャンプを楽しみたいという方には、
競争もなく、静かで、広く使えるのが良い点と考える。
陣馬形山キャンプ場 施設の様子
各施設の様子。
いたってシンプル。
管理棟、炊事場、トイレ、炭捨て場、各1カ所ずつ。
陣馬形山キャンプ場 管理棟


受付はこちら。

中はスタイリッシュな内装。外観とのギャップがある。
各種クレジット、電子系マネーでの支払いが可能。

販売品は豊富。
センスの良い雑貨等が陳列されている。



手書きのボードには日の入、日の出時間、天気や道路状況など情報がびっしり書かれている。

管理棟入り口には薪が置かれている。
薪はコンテナ単位で販売。
1コンテナで1,500円。1/2コンテナで900円。(量は目安とのこと)
竹薪は一束400円。こちらはコンテナ分には含まれない。


ゴツめの薪が多い印象。
管理棟前にキンドリングクラッカーとハンマーが置かれている。
斧がなくてもこちらで加工できるので安心。遊びごごろを感じさせる。

陣馬形山キャンプ場 炊事場

共有広場に一カ所。
水のみ。調理スペースあり。

冬季は断水されているので、水の持参を忘れずに!

陣馬形山キャンプ場 トイレ

トイレは売管理棟横に一カ所。
男女トイレの他、バリアフリートイレが併設。


きれいに清掃されており清潔感がある。
大便器は2つ。洋式。

冬季は手洗い場も断水!手洗い用の水の準備も忘れずに。

それでは便器の水は流れないのか?
それはご安心を。便器の水はタンクの水で排水しているとのこと。
陣馬形山キャンプ場 炭捨て場

炭捨て場は炊事場に併設。
ザルがあり、炭と灰を分別するようだ。
キャンプ場のルールに従い廃棄しよう。
陣馬形山キャンプ場 空-KU-を利用。冬季節水ミニマムソロキャンプ。

人気のキャンプ場、平日を狙ったが360は予約できず。空-KU-を利用。
共有広場の屋根が景色を邪魔する。悩みに悩んで伊那谷の景色が見えるところへ設営した。
青い空、白い雲。天気は快晴!風もない。
『こんな風もなく天気がいい日は珍しいですよ』とは管理スタッフさんの言葉。
松本市でおつとめ価格で仕入れた大量のパンが昼、兼夜飯。
まずはカレーパンをバーナーで炙って腹ごしらえ。

今回はミニマムギアに揃えたため、焚き火台はコンパクト性と灰の捨てやすさを重視し
FLAME STOVEを投入。
綺麗な景色を見ながら薪を加工する。

見ていていつの間にかジェンガに興じていた。

夕日にみとれていたら日が沈み、あっという間に闇と寒気に見舞われた。

股の間で焚火をし、暖をとって寒さをしのぐ。

夜は伊那谷の夜景がきれい。

前泊したビジネスホテルでもらった信州名物で余韻に浸る。

冬季断水は知っていたが、トイレの手洗いまで断水だったとは、誤算であった。
所持していたのは何故か1ℓの炭酸水のみ。

手を洗うのも、歯磨きするのもこの炭酸水を利用。
炭酸水で歯磨きをすると、しゅわしゅわと口の中が爽快であるという発見をした。
朝方。テントには霜が降りていた。

寒いわけだ。
伊那谷のほうへふと目をやると、雲海が発生中!

今まで雲海が見えるといわれるキャンプ場へいったことはあるが、
初めての見る景色に寒さを忘れて大興奮。
荒天が多いというこの地で、天気に恵まれ、最高の思い出ができた。

特別企画 陣馬形山キャンプ場 雲海の攻略法

テントから雲海を見て興奮し、展望台へ駆けあがり写真をパチリ。
展望第には多くの写真家がカメラを持って待ち構えていた。
日の出が終わってもその場を離れようとしないので、何を狙っているのか聞いてみた。
朝感動してみていた景色は写真家曰く、
『ありゃ、川霧だよ。ここでの雲海てのはね、もっと広がるものなんだ。』
時間の経過とともに川霧が広がっていくのを写真家の皆さんは狙っているという。
陣馬形山キャンプ場。
キャンパーのみならず、写真家の人気も高い。
とある写真家に聞いた陣馬形山の雲海の楽しみ方を伺ったので紹介したい。
雲海が発生する条件

- 天気(前日天気が良いこと。当日風がない、または弱いこと。)
- 地形(空気がたまりやすい盆地。川があること。)
雲海とは放射冷却により空気が冷え、
翌朝、温かい水面の上に冷たい空気があることで発生する霧。
水温と気温の温度差が大きいほど、蒸気霧の発生する量は多くなる。
伊那谷という盆地と、そこを流れる天竜川が雲海発生の好立地。
その条件を兼ね備えているのが陣馬形山。
川霧の広がりによる雲海が見られる。
川霧と雲海 日の出から34分 最大の広がりを見せる雲海

展望台で日の出前から1時間、雲海の広がりを観察した。
ポイントとしては伊那谷に見える橋までが雲海が最大になる目安になるとの情報。
刻一刻と移ろいゆく景色。
日の出(6:48)から34分後の7時22分。雲海がMAX状態になるのを目の当たりにした。

川霧と呼ばれる状態から雲海と呼ばれる状態まで、日の出前からの様子を時間経過と共に追っていく。













陣馬形山キャンプ場 まとめ ツーリングソロキャンパーとしての感想
バイクで1445mの世界へ。
くねくねと細い道を上っていく。
ところどころにキャンプ場までの目印があるのがありがたい。
以前から来たくて来たくてしょうがなかった。
平日を利用しやっと利用することができた。
長い期間、山崩れの通行止めから始まり、コロナ禍ということもあってしばらく閉鎖されていたが、
第3セクターが入り、奇しくもこの年(2021年)より有料化となったとのこと。
以前は無料で利用できていたらしい。
いつからキャンプ場であったかは定かではないが、
昭和の初め、ここら一帯は放牧地となっていたとのこと。
それから登山者の山小屋として現在の管理棟、トイレが設営。
登山家や写真家が多く訪れ、知る人ぞ知る穴場のキャンプ場だったらしい。
中央アルプス、南アルプスに挟まれた絶景。
正に『天空のキャンプ場』と呼ぶにふさわしい。
ところが有名になってしまったことでモラルのないキャンパーで溢れ、カオス状態となり、
やむなく有料化に踏み切ったそうだ。
スタッフの皆さんは地元の方が多い。
お話を伺う機会があった。
『この景色、環境を大事にしていきたいんですよね。伊那谷の良さをみんなにわかってもらいたい。
1年目ですが、これから色々試行錯誤を重ね、皆さんに愛されるキャンプ場を作っていきたいんです。』
案内の看板などは景観を邪魔しないようにデザインされているらしい。
管理棟にはストーブが設営中であった。
今度訪れるときにはどのような変貌を遂げているだろうか。
いや、無理に変貌を遂げる必要はない。
変わらぬ景色で、キャンプをまた楽しみに来たいと思った。