アウトドア用の靴を新調!
とうとうKEENのジャスパーを手に入れた。
アウトドアショップで良く目にするも(無印良品のキャンプ場でも見かけたかな。)、キャンプギアが優先でなかなか手をつけられなかったアウトドアシューズ。
ジャスパーのMulti/Pale Olive。
一足で左右の色が違う。茶色とオリーブを組み合わせた斬新なデザインが気に入った。
さて今回KEENのシューズを手にしたことで、KEENという企業に興味を持った。
何故アウトドアシューズとしてのメーカー認識となったのだろうか。
KEEN社とはどのような企業であるのか。
このアウトドアシューズとして選んだKEEN社、及びジャスパーを徹底解剖。
使用感と共にレビューしていきたい。
【KEEN】 とは
KEENの成り立ち
2003年、創業者ローリー・ファーストは「サンダルは、つま先を守ることができるのだろうか?」という疑問をきっかけに、KEENの歴史は幕を開ける。
つま先を衝撃から守るトゥ・プロテクション機能を搭載した、KEENの記念すべき創業モデル“NEWPORT(ニューポート)”がその答えとなる。
革新的なアイデアが搭載されたハイブリッド・フットウェア*の登場はスポーツシューズの世界に革命をもたらし、KEENの名を瞬く間に世界中に広めた。
アメリカ、オレゴン州ポートランドに本拠を置き、環境負荷を低減する製法を用いて革新的なハイブリッド・フットウェアを展開している。
KEENの信念~【KEENエフェクト】
『すべての課題にポジティブな変化を。私たちはKEEN EFECT=キーン効果と呼んでいます。』
引用:KEEN WEBサイト
当然ながら歩きやすさ、機能性、利便性はもちろんのこと、
環境保護、気候正義、そして災害支援、ジェンダー平等など社会正義への取り組みを
「キーン・エフェクト」と呼び、この活動の推進に参加している。
『高い安全品質基準・生産過程において環境負荷を軽減するモノづくりをしている。』
家庭用品品質表示法では表示の規定はあるものの、特に遵守しなければならない安全性に関し定める法令は少ない。(スポーツシューズ工業会等基準は除く。)
そんな国内への上市にあたり、KEENはワークシューズに対しASTM規格を遵守している。
より高いレベルの品質管理を行うということは、品質方針が明確であり、作業標準が整備されている。または、品質にコストをかけることを惜しまないということ。
製品の安全性への意識が高いことが伺える。
安心・安全な製品づくりはどの企業においても責務であるが、
KEEN社は『企業責任という言葉は好きではない』と言う。
ポジティブな思考。それがより高いレベルの品質管理を行っていることに自然とつながっているのだろう。
『KEENの理念-環境負荷軽減の取り組み-』
KEENは2003年の創設当初から『Consciously Created(地球と人にやさしいツクリカタ)』
という理念を実践し続けている。
例えば一般的にインソールの消臭に使われる殺生物剤は、自然に生きる生物さえ殺してしまうという。
KEENはその殺生物剤を100%排除。
代替えとして天然微生物で防臭するインソールを採用。
それにより環境中に排出される有害物質を毎年7トン削減している。
アウトドア用品で不可欠な耐久性撥水加工において、一般的に過フッ素化合物(PFC)が使用されているらしい。
PFCとは自然界の生物にも影響を及ぼす有害物質である。
KEENは2014年以来PFC不使用の撥水加工へと転換したそうだ。
このことにより環境中に放出される有害物質を年間150トン以上削減している。
また革製品であれば鞣し加工等により汚水を垂れ流す懸念があるが、
化学物質の使用や河川への処理水を軽減する認定工場を採用。
製品にリサイクルPETを利用することでCO2の排出抑制、SDGsにも貢献している。
環境負荷を考えるには時間やコストもかかる。
下請けの理解や協力、選定などのサプライチェーンの構築、仕組みづくりも大変である。
企業が本気で取り組まなければ成せないことであると思う。
『災害支援への取り組み』
KEEN社には「Giving Back: 社会への還元 」「 Taking Action:市民活動支援」
という行動規範が根付いている。
2004年のスマトラ島地震。
当時の手元資金が100万ドル(約1億円)。
その50%を被災者の緊急支援を行うNPO団体に寄付し、残りの50%をKEEN独自の寄付プログラムを設立した。
要は100%の予算を投じたわけだ。
並の考えではなしうることは出来ないだろう。
この時をきっかけにKEENは被災者の生活再建を支援し続けている。
日本における災害も例外ではない。
記憶にも新しい西日本豪雨災害や熱海土石流災害等に対しても被災者の助けとなる活動を支援している。
『人種やジェンダー平等』
KEENは人種問題やジェンダー平等に対し関心が高い。
アウトドアを通しジェンダーギャップの寄稿を自社のサイトに積極的に掲載している。
その声を合わせ、より強いコミュニティー作りに力を注いでいる。
一歩一歩、草の根運動ともいえる働きにより多様な人種やジェンダーに対する世間の意識を、
世界の意識を変える原動力を作り出す一助となることだろう。
『アウトドアを誰もが楽しめるように活動する団体への応援』
KEEN社は『コンサベーション・アライアンス・ジャパン(CAJ)』というアウトドアフィールドの保全を目指す団体に参加している。
このCAJ環境保護基金は海外のみならず、日本各地のアウトドアにまつわる地域の保全活動に使われているものだ。
我々がKEENのシューズを購入すると、アウトドアを誰もが楽しめるように活動する団体への応援にもつながっている。
故にKEEN社製品とはアウトドアとの親和性も高いのだと思うに至った。
KEEN(キーン)ジャスパーのレビュー
【KEENジャスパー 製品構成】
構成されるパーツは、本体、中敷き、靴紐の3パーツ。
その他、カラー違いの予備の靴紐が付属する。
【 KEENジャスパー 特徴】
KEENジャスパー 【本体】
一足で左右に異なる色を配色した斬新なデザイン。
左右各外側には『KEEN』のロゴ入り。
アッパーに採用されているスエードが肌触りのよい質感と色合いを醸している。
ベロは表地が天然皮革、裏地はメッシュ生地。
ベロ裏にサイズ表示がある。
サイズ表示は左からEU(ユーロサイズ)、US(アメリカインチ)、UK(イギリスインチ)、
と我々日本人には馴染みのない単位があるが、ちゃんとcm表記もあるのでご安心を。
それだけ世界規模で展開しているということか。
靴紐はつま先から始まり、足をしっかりホールドしてくれる。
踵(かかと)を包み込む内腰は厚みがありクッション性がある。
靴紐のホールド感と内腰の厚みにより歩行の際には足が躍ることはないくらいの密着感。
それ故足が蒸れてはくるのだが、メッシュ生地になっており吸湿性に優れたライニング素材を採用しているとのこと。足の蒸れ感を軽減してくれそう。
靴底はブラック地に黄色いKEENのロゴ。
フラット面に千鳥格子のような窪みがあり、グリップ性が良く耐滑性がありそうである。
ノンマーキングラバーアウトソールを採用しているとのこと。
床を汚さず、屋内でも利用が可能ということか。
そのシーンでの使用用途は頭にはおいておこう。
一足(本体+紐+中敷き)の重量は片足379.2gであった。
KEENジャスパー 【中敷き】
中敷きはフットベッド一体型ミッドソールとなっている。
通常のスニーカーであればミッドソールはアウトソールの内側にあるもの。
一体となっていることで肉厚感があり、モチモチとしたクッション性。
フットベットはアナトミックフィットと表記があるよう、
解剖学に基づいて開発された足裏の起伏に対応する立体的な凹凸が施された中敷きのこと。
一般的には足のトラブルを緩和する役目、矯正する役目も持っているため、健康靴に使用されることが多いという仕様が取り入れられている。
つま先部の厚みは4mmであるが、踵の部分は厚みが25mmもある。
これだけ厚みがあると衝撃を大分和らげそう。足への負担も軽減させてくれそうである。
また森や磯などへ訪れた際、突起物から足の裏を守ってくれそうな安心感がある。
重さは53.0gを計測。
中敷きはリサイクルPUにコルクを混ぜ込んだ環境配慮型。
全体的には黄色地、足裏が当たるところに黒背景に英語で環境負荷に対する取り組みのメッセージが書いてある。
『WE’RE ON A JOURNEY TO LIGHTEN OUR ENVIRONMENTAL FOOTPRINT,
WARK THE WALK,
AND GIVE BACK MORE THAN WE TAKE.
EVERY STEP MAKES AN IMPACT.
CONSCIOUSLY CREATED FOR A BETTER PLANET.
KEEN
ANATOMIC FIT』
私たちは環境フットプリント(原料が採掘されて廃棄されるまでの間に、環境に対してどのくらい負荷をかけたのかを計算する)を明るくするための旅に出ています、
WARK THE WALK、
そして、私たちが得る以上のものをお返します。
すべてのステップが影響を及ぼします。
より良い惑星のために意識的に作成されました。
KEEN
アナトミックフィット
KEENジャスパー 靴紐(シューレース)
靴紐は替え用の紐がついており、予備用としても嬉しい。
また色違いなので気分によって使い分ける等カスタマイズ性がある。
因みに私は予備紐のほうがグリーンのフィールドに合う感じがしたのでこちらを採用することにした。
紐を変えるだけで印相がガラリと変わる。
くつ紐自体は凹凸構造となっている。
このためシューホールへの食いつきが良い。
ひも長さは長い。
1.5mメジャーでは測りきれなかった。
長さは約171cm。
太さは約4mm。シューホールの径も約4mm。
違うメーカーの替え紐を購入する際には参考にしていただきたい。
KEENジャスパー 耐久性と取り扱いの注意
フットベッド一体型ミッドソールについて。
素材がPU(ポリウレタン)ということで劣化の懸念を想像した。
PU素材とは加水分解をおこしやすい素材である。
加水分解とは水分と結びつくことでボロボロと劣化していくことである。
よく箱にしまっていた靴を久しぶりに取り出してみると表面がボロボロになっていたという残念な現象が思い浮かぶのではないかと思う。
KEEN社に耐久性について問い合わせをしてみた。
耐久性としてはどのくらいの品質保証を視野にいれているものなのだろうか。
『使用状況や保存状況、メンテナンスで変わりますが、早ければ製造から3年ほどで加水分解し始めます。』
こちらの問いに真摯に返答いただいた。
これはどんな製品においても、素材の特性上仕方のないことであることは理解しよう。
大事な靴を永く使うためには
ヘビーローテーションで履き続けたり、湿気のあるところへの保管には注意すること。
KEENジャスパー 保証期間がある?
KEEN社はKEEN製品を正規販売店で購入した場合、購入から1年の製品保証期間を設けているらしい。
未使用状態での不具合ならともかく、この手厚い保証期間。
そこに信頼性がまた生まれる。
サイズ選びに注意!
KEENのサイトに『この商品の着用感はきつめです。0.5cm大きめをお勧めいたします。』
とある。
はて、何故なのかと思いつつも素直に0.5cm大きいものをチョイスした。
靴の入り方はちょっときつめだが、サイズは0.5cm大きいものを選んでちょうどぴったり。
これは中敷きが関係している。
以下、中敷きを測定してみた結果である。
私は通常25.0cmであるが、25.5cmを購入。
中敷きの長さはつま先から踵端まで約26.0cmであった。
踵部分が肉厚で実際に足が中敷きに収まるサイズが25.0cmだった。
今まで見栄を張って人前では25.5cmと言い25.5cmの靴を若干ぶかぶかになっているのに慣れて生活していたが、
KEENの靴を履くことで堂々と25.5cmといえる時が来た。(笑)
それはさておき、自分の足のサイズより0.5cm大き目を選ぶのは必須といえる。
できればショップで履いて確かめてから購入したほうが良い。
KEENジャスパー 使用感
当方のアウトドア使用シーンとしては、キャンプがメインとなる。
キャンプ場へ赴く移動手段はバイクが主体となる。
また、キャンプ場近くの景勝地に立ち寄ったり、多少のトレッキングも行動範囲となる。
長時間の連続使用、荒天時の様子など、
それぞれのシーンにおけるKEENジャスパーの使用感をレビューしたい。
その1 KEENジャスパー 滝での使用
滝の飛沫で濡れたプラ擬木の階段も滑ることなく上り下りできた。
その2 KEENジャスパー キャンプサイトでの使用
傾斜のあるところや、
夜間、暗闇のサイト内で凸凹の道も移動でトラブルなく歩くことができた。
その3 KEENジャスパー バイクでの使用
地面と点で接していても滑ることなく安定感を保てた。
グリップ力があり多少の坂道でも乗車しながら足を使って車体をバックすることができた。
その4 KEENジャスパー 靴紐の結びがほどけやすい
一日中履いていると、何度か靴紐の結びが解けていることに気づく。
紐が長いせいなのか、丸紐だからか…。
確かに平紐と比較すると丸紐は摩擦抵抗が低く、ほどけやすいものである。
対処法として、蝶結びでできたループをもう一回堅結びすることで大分解消できた。
その5 KEENジャスパー 雨天時は履くな!
キャンプで連泊ともなると、予想外の天候に見舞われることも少なくない。
雨天時、本来もつ吸水性がいかんなく発揮され、吸水される雨水の量は半端なかった。
本体に限らず、中敷きも空洞があるのか多量の水分を吸水する。
普通に日干し乾燥させるのに晴天時で1日~2日はかかった。
たまたまキャンプとキャンプの中日(なかび)、ビジネスホテルでのこと。
雨でびしょびしょになった靴をリカバーしようと乾燥に奮闘。
靴紐がつま先からあることにより、ベロがつま先からひっくりかえせるのが不幸中の幸い。
中敷きを取りだし、本体内部にティッシュを敷き詰め、ドライヤーで温風を当てて乾かす。
中敷きはバスマットで包み、上から地団太を踏んで水分をタオルに吸水させた。
一時しのぎであったが、なんとか履いても我慢できるほどまでには回復。
それでも使用後にはきちんとメンテナンスをお忘れなく。
防水仕様ではないので、これは致し方ない。
天候不問、ヘビーローテーションで連続使用を考えるならば防水仕様である、ジャスパーツーウォータープルーフや、ヴェンチャラー防水ハイキングシューズも試してみたいと思う。
まとめ
今回実着し、概ねその快適性を実感した。
バイクソロツーリングキャンパーにとって積載性は重要ポイントである。
いかにアウトドア用としてもわざわざこの靴を別に持っていくことには抵抗があった。
なぜなら今までのスニーカーだと足がつかないため(私の場合)、踵が高いブーツを履かなくてはいけなかったからだ。
しかしながらこのKEENのジャスパーは底厚。
問題なくその懸念は払拭された。
また靴底のグリップ感がとても良い。
点で地面をホールドしてくれる。
停車中濡れた路面(マンホールや白線)での安定感。
バイク乗りにはわかるだろうが、傾斜のある場所で乗車しながらのバイクの取り回しもこのグリップ力が大いにカバーでき、いつものブーツより快適性がアップしたと感じる。
但しバイクブーツではないのであくまで個人の意見である。
(勿論バイクブーツには他に堅牢性や安全性があるわけでその使用目的ははっきりしている。)
くるぶしまでの高さはジャスパーにはないのでそこは留意願いたい。
ギアチェンジする際は紐に引っかかる場合もあるので、紐はしっかりしめること。
キャンプ場では重い荷物を積んでの台車移動。
路面が多少凸凹でも、滑りやすくても、ストレスなく移動ができた印象が強い。
河原の移動で小石を踏む衝撃や、コケを踏んでぬるりと滑る対策効果も期待できそうだ。
キャンプと共にツーリングとなると途中で思わぬ景勝地に出くわすことがある。
例えば小高い山の上への軽いトレッキングや、滝等がそうだ。
滝道は結構歩くことも多い。
特に滝となると、その近くまで行って瀑布を味わいたいと思うのは人間の性というものだ。
当然ながら路面は濡れている。
スニーカーやいつものブーツであればぬるりとコケることもあるので、
いつも細心の注意を払いながら及び腰で近づいていたものだ。
しかしどうであろう。ここでもその靴底のグリップ力が功を奏している。
軽やかなステップでいつもより楽々移動できることを感じた。
中敷きにはリサイクルPUにコルクを混ぜ込んでいるといい、いま流行り(?)のSDGsにも自分が貢献しているという満足感が得られる。(笑)
但し雨天時には不向き。
ジャスパーの快適さを雨天時にも味わいたいのであれば防水仕様のラインナップも今後視野に入れたい
と思った。
今回KEENという企業の理念にも触れ、アウトドアとの親和性の高さにも気づきがあった。
KEEN社は『天井のない場所すべてを“アウトドア”と定義』している。
これからのキャンプライフ、山、川、海、(街も)、どんなフィールドでも活躍してくれることであろう。