夏のキャンプ、寝袋は何を使っているだろうか。
夏キャンプはノーブランド、化繊の封筒型シュラフを使っていたが、
いかんせん嵩張ることに対し解決策を先延ばしにしていた。
春、秋、冬はmont-bellのDown Hugger 650 #1を使用。
リミット温度が-10℃、コンフォート温度は-4℃だが、長年の使用により性能が落ち、10℃以下では体が寒さに耐えきれなくなってきた。
(しまう度、羽毛が舞っているような光景を見て見ぬふりをしていた。)
・夏場は薄くて身体をくるめられればそれでよい。そうであればコンパクトなものが欲しい。
・ダウンハガーを買い替えることなく冬場の寝心地を快適にしたい。
とある夏。大き目のタオルケットを寝袋代わりに持参してみたが、身体が冷え、実用的ではなかった。
そんな折に見つけたのが、Naturehikeのインナーシュラフ。
数あるインナーシュラフの中で、値段が手頃だったのが購入の決め手となった。
軽量、そして寝袋と比較すると極めてコンパクト。
寝袋として使えれば最高である。
果たして寝袋の代替えとして使用できるのか。
製品チェックから、真夏に使用したレビューを報告する。
Naturehike インナーシュラフ High elasticity sleeping bag liner
今回、夏キャンプ用寝袋として導入したのが、Naturehike インナーシュラフ High elasticity sleeping bag liner。
いままでの寝袋と比べると格段に小さく軽い。
ダウンハガーがオレンジなので重ねてもわかるよう視認性を出すために、色はカーキを選択した。
Naturehike インナーシュラフ 基本スペック
Naturehike インナーシュラフの基本スペックを見ていきたい。
パッケージ表示より、重さは380g。
シュラフのサイズは80cm×200cm。身体を包むのに十分な大きさだろう。
他にも性能について書かれてある。
- Allround elasticity:万能の弾力性
- water resistant:耐水性
- Skin friendly:肌に優しい
- Breathable: 通気性
これらの性能については検証していきたい。
コンフォート温度とリミット温度の表示はなかった。
以下基本スペックのまとめ。
品名 | High elasticity sleeping bag liner |
メーカー | Naturehike |
原産国 | 中国 |
サイズ | 80×200cm |
収納サイズ | 9×19cm |
重量 | 350g |
繊維の組成 | ポリエステル繊維:80% /弾性繊維:20% |
Naturehike インナーシュラフ 製品チェック
専用袋に本体は収納されている。
本体にはジッパーはない。
生地に伸縮性があるので、使用する際は口元を拡げ、このまま身体を潜り込ませる構造である。
首回りにはブラックのパイピング処理。
個人的には他の色が良かったかも。(ホワイトとか。)
肌触りは滑らか。
例えるならばUNIQLOのシルキードライのような肌触り。
専用バッグはループがついており、携帯に便利。
半面がメッシュ生地になっている。
口元の大きさは10cm弱。
スプリングコードストッパーがあるので口元を絞り込める。
多少ぐしゃぐしゃにたたんでも入りそうな広さがある。
Naturehike インナーシュラフ サイズ測定
収納時サイズ、及び本体サイズ、各重量を測定する。
木枠をつくり収納時のサイズを測定した。
実測値はΦ9cm、長さ19cmと表示通りのサイズであった。
重量は334.9g、表示の350gより5.1g軽かった。
平置きにし本体主要各部のサイズを測定した。
測定部位は一番広い口元の幅、一番短い足元の幅、そして全長を測定。
口元の幅は約82cm、足元の幅は約26cmだった。
肩幅に対しては十分な長さだが、足元に対しては若干短い印象。
全長は約194cmだった。
表示の80×200cmに対しては近似値であった。
重量は324.7gと単体ではさらに軽い。
Naturehike インナーシュラフ 手洗いができる
Naturehike インナーシュラフ、手洗いができる。
本体に洗濯絵表示がついていた。
洗濯絵表示より、下記のような取り扱いとなる。
- 手洗い〇
- 塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止×
- タンブル(※)乾燥禁止×
- アイロン仕上げ禁止×
- ドライクリーニング禁止×
タンブル乾燥とは:
機械(回転ドラム)の中で、洗濯物を回転させながら、熱風によって洗濯物の水分を除去する処理。
ちなみに手洗いの際、液温は40℃が限度であることに注意。
干し方の表示はなかった。
伸縮性があることから水分による型崩れが懸念される。
吊り干しではなく、平干し乾燥が適していそうである。
Naturehike インナーシュラフ 表示性能の検証
Naturehike インナーシュラフの表示より、各性能を検証する。
1.Allround elasticity:万能の弾力性
2.water resistant:耐水性
3.Skin friendly:肌に優しい
4.Breathable: 通気性
Naturehike インナーシュラフ 『万能の弾力性』を検証
Naturehike インナーシュラフの特徴の要といってよい伸縮性。
どのくらい伸びるのか検証してみた。
インナーシュラフに入ったときを想定し、横方向への伸びた長さを測定。
10cmの長さでテープを貼りつけ、片方を横方向へ引っ張ってみたところ、16cmまで伸びた。
約60%程の伸び率。
生地が伸びることで、ジッパーがなくとも出入りを楽にし、使用中も身体を圧迫しなそうである。
Naturehike インナーシュラフ 『耐水性』を検証
Naturehike インナーシュラフに傾きを持たせ、上から注射器から水を垂らしてみた。
しずくが垂れる様を期待したが、残念ながら水は吸い込まれた。
ゴアテックスなら話は別だが、耐水性があったら中が蒸れるのではないかと思った。
逆に吸水性が良い点なのでは??吸汗速乾であれば最高なのだが。
耐水性はない。表示しないほうが良いのではないかと老婆心ながら思う。
Naturehike インナーシュラフ 『肌へのやさしさ』『通気性』は実使用にて検証
Naturehike インナーシュラフ、『肌へのやさしさ』『通気性』は実使用にて検証することにする。
肌へのやさしさとは、皮膚に刺激や皮膚アレルギー等の悪影響を与えないかがポイントだと考える。
繊維製品の遊離ホルムアルデヒドは法規制(有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則(昭和49年厚生省令第34号))によりその使用を制限している。
繊維製品のうち、下着、寝衣、手袋及び靴下がその対象なので、インナーシュラフは寝衣に当たるであろう。
これは我が身をもって一晩過ごした状況をレポートしたい。
『通気性』についても実使用にてレポートする。
Naturehike インナーシュラフ たたみ方
Naturehike インナーシュラフを収納バッグにたたみ入れるのは、さほど難しくはない。
テントを収納バッグへしまう要領で、幅に合うよう折り込んでいくだけだ。
収納袋が若干大き目なので、多少雑にたたんでもストレスなく収納できる。
Naturehike インナーシュラフ 寝袋の代替えとなるか? 夏キャンプでの使用感をレビュー
Naturehike インナーシュラフ単品で、実際寝袋として使用できるのだろうか。
夏場、寝袋の代替えとして使用できるのか。また単体でのリミット温度はどの程度が適温なのか。
2回のキャンプを通し、検証したいと思う。
寝袋検証1 標高1,000m 蔵王坊平国設野営場で検証
8月某日。夏真っ盛り。
都心では34℃を記録した日。
前日の準備、バッグの中へコンパクトに収まるNaturehike インナーシュラフを見て感動。
バイク積載に嬉しいサイズ感。
はたして寝袋代替えなるか。真夏の夜の寝心地は如何に?!
わくわくとドキドキがないまぜになる。
この日選んだキャンプ場は山形にある蔵王坊平国設野営場。
こちらは標高1,00mの位置にあり、真夏でも気温は26℃と過ごしやすい。
ヘリノックスのコットにNaturehike インナーシュラフをセットする。
収納袋から出し、コットに広げてみた。
家ではトライしてなかったが、ちょうどコットの大きさに収まる大きさ。
ちょっと嬉しくなる。
バンドックソロベースのインナーにコット&インナーシュラフをセットし、夜を待つ。
場内に小川が流れるせいか、日中はブユとの闘いに明け暮れる。
ハッカ油をもってて良かった。
標高が高く、身体は肌寒さを感じたが、この日は寒さよりブヨを避ける気持ちが勝った。
夜になる。
気温は23℃。都心の熱帯夜とは大違いだ。ひんやりとした外気を感じる。
インナーテントのジッパーを開け、寝床に入る。
ちなみにズボンは脱いでTシャツと下着の状態。
長距離運転で尾骶骨が痛い。ズボンの圧迫からも逃れたかった。
Naturehike インナーシュラフはジッパーがないので口元から身体を入れる。
口元の広さと伸縮性があることから中に身体を収めるのは容易であった。
サラサラとして肌触りが良い。
但し、足のかかとがカサカサしていたせいか、生地が身体に引っかかるのは気になるところ。
足元は少々窮屈な感じであるが、伸縮性があるので自分好みの体勢を整えられる。
遮光性はどうか。
そのままの状態と伸ばした状態を確認してみた。
生地を伸ばさずそのままの状態でライトをみたが、ぼんやり見える程度。
生地を伸ばしてライトをみたら、ライトの輪郭がはっきり見えた。
テント内で使うので遮光性は特段気にはしないが、ライトの見え方より通気性は良いのではないかと思う。
しばらく横になったが、どうも背中と腰辺りが気になった。
シワになり、ダマになった部分が身体の一部を圧迫する。東北弁でいうところの『いづい』という表現がしっくりくる。
背面のシワを伸ばし、なるべくフラットな状態にした。
~~~~睡眠~~~~
いつのまにか寝入ってしまったようだ。
明け方5時、肌寒さを感じて起床。
このことより、23℃以下の環境下、Tシャツにパンツ一枚で寝るのは風邪をひくのでは?と、一抹の不安を感じた。
ズボンをはいて使用すれば大丈夫そうか。
事前検証でできなかった肌へのやさしさに関しては、一晩肌着で寝てみて、かぶれ等身体の異変を特に感じなかった。
片付けは雑に丸め込んでも大丈夫だった。
時短になって良い。
今回一晩使用し、寝ることはできた。
これで風邪をひかずに寝られるのならば、夏のキャンプにもってこいだと感じた。
【1回目、実使用検証の感想。】
- 軽量
- コンパクト
- ヘリノックスのコットにジャストサイズ
- 肌トラブルなし
- 撤収が楽でストレスフリー
- 乾燥肌に生地が引っかかる
- 生地のしわがダマになると身体の一部(背中、腰)に圧迫感を感じる
- 23℃下において就寝→明け方寒さを感じる
今回の使用において課題が見えた。
対策を打ち、インナーシュラフ単体使用、寝袋代替え作戦の可能性を高めることにする。
またリミット温度となる目安がどの程度であるのかも探りたい。
2回目の実使用検証に移る。
寝袋検証2 標高830m 尾瀬高原オートキャンプ場で検証
次いで8月某日。
明け方、Tシャツにメッシュのプロテクターといういでたちで赤城山の峠道を越える。
8月だというのに寒い。道路に設置された電光の温度計は24℃になっていた。
インナーシュラフの寝心地を心配する以前に、自分の服装でキャンプができるのかが心配になる。
2回目の検証に選んだキャンプ場は、群馬県、尾瀬高原オートキャンプ場。
こちらの標高は830m。
天気は曇り。後に雨になる予報がでていた。
キャンプ場へ着き、テントを設営するや否や大粒の雨が降ってきた。
コンディションが悪い。夏場の避暑地として選んだが、雨で身体が濡れ、日中でも肌寒さを感じる。
気温は25℃を超えることはなかった。
夕方には焚き火にあたり暖を取るほど。
夜になる。
奇しくも前回と同じく気温は23℃。
完全に服装のチョイスを誤った。来ているTシャツは吸汗速乾、ズボンは七分丈のポリ製でどちらも薄手の生地。
長袖は持ってくるはずもなく…。
はっきり言って寝袋にくるまって暖まりたい。
前回の教訓を元にズボンをはいて寝ることにする。就寝時間は22:30。
インナーシュラフがしわにならないようフラットにすることで身体に圧迫感は感じなかった。
靴下をはくことにより、踵のカサカサにインナーシュラフの生地が引っかかることもなかった。
この日は早朝4:00に起床し、バイクのロングランによる疲労があったからか、すぐに寝付いた。
翌朝6:30。寒さで目が覚めた。
キャンプ場の管理人さんに明け方の気温を聞くと18℃前後だったと教えてくれた。
【2回目。1回目の対策を施した実使用検証の結果。】
乾燥肌に生地が引っかかる→靴下を履くことで解消生地がダマになると身体の一部(背中、腰)に圧迫感を感じる→しわを伸ばすことで解消
- 就寝時23℃下、明け方に肌寒さを感じて起きる。→ズボンをはいても解消せず。
だんだんと掴めてきた。
もちろん年齢や性別、体格差もあると思うが、
2度の経験により、軽装での就寝では23℃がリミット温度であることを体感した。
気温が23℃以上であれば問題なさそう。
就寝時23℃程度の場合、体温調整用としてウインドブレーカー等を着用することで防寒対策をとる。また夏場であっても長ズボンの着用が望ましいと感じた。
※薄手のウインドブレーカーであればインナーシュラフと合わせても寝袋よりコンパクトに収まる。
夏場のキャンプ、まだ課題は残るが、
Naturehike インナーシュラフ、寝袋代替えの手ごたえを感じた。
Naturehike インナーシュラフ まとめ
Naturehike インナーシュラフを手にし、実際に夏キャンプで単体使用した結果、
寝袋の代替えとしての可能性を感じた。
高所にあるキャンプ場での使用は例外的にとらえても良いだろう。
おかげで23℃が自分の中でボーダーライン。基準となる温度感がつかめた。
海、川、湖、牧場、etc…高所じゃないキャンプ場はいくらでもある。
なんといってもこのコンパクトさと軽さは何物にも代えがたい利点であり、
ツーリングキャンパーにとっては最大の魅力である。
スペースが減った分、調理器具、大き目の焚き火台、予備の薪、嵩張るカップ麺などを余計に持っていくことができる。
Naturehike インナーシュラフ、寝袋と比べて素早く撤収できる。
この商品が3,000円程度と手頃な価格で手にすることができるのがよい。
今回は『夏季 インナーシュラフが寝袋の代替えとなるか』を調査したが、
冬場の保温力アップにも期待が膨らむ。
寝袋に本来の使用目的であるインナーシュラフをドッキングさせることにより、より快適な睡眠を得ることができるであろう。
また洗濯ができるのも良い。高価な寝袋のダメージを最小限に減らしてくれる。
一年を通し、活躍の場が見込めるインナーシュラフ。
キャンプ活動に可能性を拡げるアイテムであると悟った。