ロングツーリングの成否は、パッキングの精度で決まります。
特にキャンプ道具を満載した状態での悪天候や悪路走行は、一歩間違えれば致命的なトラブルに繋がりかねません。
私がV-STROM250で過酷な旅路を完走するために徹底したのは、『落下させない』『濡らさない』『すぐに取り出す』という3つの鉄則。
7年かけたロングツーリングキャンプ旅を経て、失敗と改善を幾度となく繰り返し、
ようやく辿り着いた「現在の理想のカタチ」をここに紹介します。

フルパニアから、あえて「トップケース」を外す理由


V-STROM250といえば純正のフルパニアスタイルが定番ですが、私はあえてトップケースは外しています。
その理由は、シート上からリアキャリアにかけての積載面積を最大化し、より低重心で自由度の高いパッキングを実現するためです。
トップケースを排することで、大型のバッグや長尺のテントを理想的な位置に配置できるようになりました。
一番の強みは、結果として積載の総量を大幅に増やせたこと。
結果として、悪路や強風下でも挙動を乱さないより実用的な旅の仕様へと進化させています。
シート積載 2段重ね

下段:キャンピングシェルベース+カスタム(2ℓペットボトル×2本)
焚き火台、テーブル、キッチンツール等の重量物および硬いギア(主にキャンプ場で使う道具類を集約)
積載の土台(ベース)には、底面がフラットで型崩れしないタナックス「キャンピングシェルベース」を選択。
トップケースを排し、シート後部の広い面をフル活用することで、理想的な「低重心積載」を実現する。
バックルによるワンタッチ脱着が可能であり、設営・撤収の劇的な時短に直結する。
また、シェルベースの天面は硬くフラットなため、キャンプサイトではそのまま大型テーブルとして機能する。
地面に直接置きたくないギアの避難場所や調理台として活用できる。
カスタム
モールシステムのペットボトルホルダーをシェルベースの左右持ち手に設置し、2ℓペットボトルを2本収納できるようにしている。



上段:90ℓミリタリーバッグ
寝袋、着替え、防寒着、その他軽量なかさばる布類・生活雑貨、下段に入りきらなかったキャンプ道具等(主にインナーテント内で使うものを集約)
シェルベースの上には、圧倒的な収容力を誇る90ℓミリタリーバッグを積載する。
全体的にフラットな長方形タイプのため二段積みがしやすく、長期間のキャンプに必要な全装備を飲み込みつつ、走行時の横幅を抑えたスリムなシルエットを維持する。
ここには寝袋や衣類など、「かさばるが軽いもの」を集中させる。下段に重量物、上段に軽量物を配置する「重心の鉄則」を徹底し、積載時のふらつきを最小限に抑え込む。
固定紐で強いテンションをかけて抑え込むため、多少の変形を許容する柔軟な荷物を入れるのが運用上のコツである。
また、このミリタリーバッグはリュックのように背負うことも可能。バイクを降りた後、駐車場からサイトまでの運び入れにおいて抜群の機動力を発揮する。
スペーサー:シートとバッグの隙間埋め
100均の滑り止めシート、グラウンドシート
V-STROM250のシートとリアキャリアの間に生じる段差(隙間)を解消し、積載の安定感を根本から底上げする。
まずシート面に100均の滑り止めシートを敷き、その上にグラウンドシートを厚みを調整しながら折りたたんでスペーサーとして挿入する。
この「面」で支える下地作りにより、前後左右へのズレを封じ込める。


ヘリノックスのコット下にちょうど良く、インナー生地を傷めないようにしている。
これがスペーサーとしてもちょうどよい。
固定:ROK straps × ツーリングネットLL

単なる「固定」に留まらず、旅の機動力と安全性を両立させるための、盤石のシステムである。
走行中の「荷崩れ」を防ぐため、最強の保持力を誇るROK strapsとツーリングネットLLを併用する。
ROK strapsは豪雨下の激しい突き上げや悪路の振動でも緩むことなく、片側のゴムが強いテンションを保ち、強固な固定を維持し続ける。
バックルによるワンタッチ脱着が可能なため、設営・撤収時のストレスを排除する。
ツーリングネットは万が一の脱落を防ぐフェイルセーフとして機能するだけでなく、移動中の拡張スペースとして運用する。
買い出し後のエコバッグ、道中で濡れたタオルや手ぬぐい、即座に取り出したい小物を一時的に保持するのに大活躍する。
ちなみにツーリングネットLLに挟みこんでいるアイテムはこちら。
サイドパニア:防水性を活かした「絶対防衛圏」
V-STROM250の純正パニアは、その高い防水性とタフな構造が最大の武器です。
使いたいときにすぐ出せ、絶対に濡らしたくないものを格納しています。
施錠できるので貴重品保管も安心です、
【右パニア】精密機器類・ガジェット・バーロック・積載義務書類等(絶対に濡らさない)

撮影機材(ミラーレスカメラ・レンズ等)、モバイルバッテリー、ツーリングまっぷる、バーロック、軽自動車届出済証や自動車損害賠償責任保険証明書等。
カメラ本体、レンズ、周辺アクセサリー類は、機動力を確保するためにパーゴワークス(PaaGo WORKS)の「FOCUS L」へ一括集約。
パニアを開けてバッグごとすぐに持ち出せる状態にしている。
他は、一目で中身を判別・取り出しができるようできるだけ縦に収納している。
カスタム
パニア内部のデッドスペースを活用。モバイルバッテリーとカメラ用充電器を強粘着の面ファスナーで壁面に固定。
走行中の振動でもズレることなく「移動中に充電が完結するシステム」を構築した。


【左パニア】食料格納用(出し入れをスムーズに)

保冷バッグ(食材)、氷嚢
スーパーでの買い出し後、パッキングの動線を最短化。
あらかじめパニア内に保冷バッグをセットしておくことで、冷たい飲料や生鮮品、スイーツなどを駐車場で即座に格納できる仕組みにしている。
また、独自の工夫として小さい氷嚢(ひょうのう)袋を常備。
スーパーのサービスでもらえる※保冷用の氷をこの袋に移し替えて利用することで、保冷バッグ内の浸水を防ぎつつ、食材をキャンプ場まで効率よく冷やすことが可能。
※氷をいただくときはスーパーのルールに従いましょう。
リアキャリア:重量級・長尺物の積載

ROK straps(2本組)、100均の固定紐
テント(コールマン アテナワイドツーリング130)、コット
テントやコット等、重量級の長尺物は、まず100均の固定紐で一塊にまとめ、キャリアへ直接ROK strapsで締め上げる。
車体の最後端かつ積載の「終点」となるこの位置を強固に固定することが、重要な鍵となる。
最大のメリットは、他の荷物と完全に独立させているため、テントだけの先行設営が可能になる点である。
それにより拠点確保後の身軽な移動もスムーズに行える。
また、天候や状況に応じて「荷物」と「テント」を切り離して撤収の段取りを組めるため、パッキング作業のタスク分けが容易になる。
泥汚れの付着したテントをバッグ内に入れず、外付けにできる点も極めて合理的である。
大型バッグの上に積まず、キャリアの低い位置に直接配置することで、重心の上昇を徹底して抑制する。V-STROM250の堅牢なキャリアをフル活用した、安定感重視の積載ポイントである。

モノを固定するにはいいが、これだけを使っての積載固定は懸念あり。
ツーリングに最適なアテナワイドツーリング130は廃盤品。
万が一壊れた場合は下記を購入想定。
エンジンガードバッグ:即応性と安定を両立する「最前線」

雨具(上下)、コンパクト傘、防水シート、サンダル
工具類、パンク修理キット、タオル、クリーナーシート、非常水(500ml)、等
左側のバッグには迅速な対応を要する雨具一式を集約する。
これは雨路面の傾斜がある不安定な場所であっても、サイドスタンドが接地し車体が安定している「左側」に荷重をかけることで、停車時の転倒リスクを最小限に抑えるためである。
右側には、使用頻度は低いが緊急時に迷わずアクセスすべき工具やパンク修理キット、メンテナンス用のシートを格納。また、非常水は左右の重量バランスを最適化するため。
さらに、エンジンガードバッグの隠れた利点は「転倒時のクッション」としての機能である。キャンプ場の未舗装路などで万が一転倒した際も、バッグ内の荷物が衝撃を吸収し、車体やガードへのダメージを劇的に軽減させる。
そのため、バッグ内部には精密機器などの「壊れやすいもの」を一切入れない**のが鉄則である。

タンクバッグ・ハンドル周り:旅を支える「コントロールタワー」

ライディング中の利便性と、停車時の機動力を司る「情報・貴重品拠点」として運用する。
タンクバッグ
財布、サイドスタンド用プレート(木板)、飴・グミ等の携行食ポーチ
タンクバッグには財布などの貴重品のほか、キャンプ場の未舗装路で必須となるサイドスタンド用の木板を常備。降車してすぐに足元へ差し込める動線を確保。
また、高速道路等の長距離走行における眠気覚ましや口寂しさを紛らわせる携行食(飴・グミ)をポーチにまとめ、ブラインドタッチで取り出せる位置に配置。
ちなみにロングキャンツーで常備している携行食。
グミは数あれど、最終的に行きついたのがこのタフグミ。特にカフェインジンジャーレモンが旨い。
自分はこれしか買っていない。
歯ごたえが良く歯で少しずつかみちぎり咀嚼し眠気覚ましに。朝食にありつけなかった時にも重宝する。
生梅飴は梅肉を梅味のキャンディーでコーティングされており味変が楽しめる。
自転車用ハンドルバッグ
カスタム

モバイルバッテリー(給電用)、バイクグローブ
ハンドル周りにはKaedearのハンドルブレースを装着し、マウント類の剛性を確保。
そこに防水性のある自転車用ハンドルバッグを流用することで、充電中のモバイルバッテリーやグローブの専用収納スペースを構築する。
バッグの固定には無印良品のミシン目入り結束テープで4カ所止め。
沈み込みを防止させ安定感を持たせつつ、必要に応じた脱着性も確保している。
さらに、頻繁な開閉に耐えるようファスナーのスライダーをZlideOn(ズライドオン)へ換装し、耐久性と操作性を徹底的に強化。(正直いえば純正ファスナーがすぐ壊れた。)
自転車用パーツの弱点を独自のカスタムで克服し、過酷なツーリング仕様へと最適化させた。



開きやすいようにジッパータブを装着。

使用した自転車ハンドルバッグに適応するズライドオン
給電:走行中に完結させる「電力マネジメント」

【USBポート】スマートフォン給電
ハンドル周りのUSBポートから、ホルダーに装着したスマートフォンへ常時給電を行う。
ナビを絶やすことなく、豪雨などの過酷な条件下でも情報難民になるリスクを回避。
走行中の充電により目的地到着後の残量を保つ運用を徹底。
【シガーソケット】ガジェット充電用
多ポート仕様(USB & Type-C)のソケットを装着し、モバイルバッテリーや撮影機器の充電拠点を構築。
走行中に充電させることで、キャンプサイトでの夜間電力や翌日のバックアップ電源を確保する。
下記掲載品はおススメしない。5ポートでType-C付、安かったので購入したが半年も持たず壊れた。
耐久性悪い。
カスタム
差し込み口への独自の雨避け施策である。
新品ヘルメットのシールドに貼付されていた耐久性・柔軟性に優れるフィルムを再利用し、
ワイヤーで固定。防水性を向上。

雨対策:過酷な豪雨をしのぐ備え

【モンベル ストームバイカー(上下)】レインウェア
モンベル ストームバイカーは、バイク専用設計による圧倒的な防水透湿性を据える。
長時間の豪雨走行においても浸水を許さず、走行風によるバタつきを抑えることで体力消耗を最小限に抑制。
内部の蒸れを逃がしながら「体温低下」という最大の敵を徹底して食い止める、まさに雨天行軍の要である。
ワークマン「イージス」との比較
かつてはコスパ最強の「イージス」を愛用していた。防水性能自体は極めて優秀だが、長距離では「重さ・嵩張り・ゴワつき」が難点だった。
一方、ストームバイカーは軽量かつ伸縮性に富み、動きが極めて軽快。価格こそ張るが、悪天候時の「運行ストレス」が劇的に軽減される恩恵は計り知れない。
雨の日を「耐える時間」から「快適な移動時間」に変えるための、価値ある投資だったと思える。

【スマホ防水ケース】
ソフトな質感で安価ながら、カエディア製のホルダーにも収納可能で、激しい雨からスマートフォンを完全に保護した。
雨でごわついた厚手のグローブをはめたままでも、片手で簡単にスマートフォンの取り外しができる操作性の高さに助けられた。
【コンパクト傘】
軽さとスリムな収納性が魅力。重量わずか100g。エンジンガードバッグにも難なく収まり、バイクを降りてからすぐに取り出して使える。
まとめ:過重積載との付き合い方と、安全への意識

この長年の試行錯誤の上で完成させたパッキング術によって、圧倒的な積載量と走行時の安定感を手に入れ、数々のロングツーリングやキャンプをこなしてきました。
しかし、当然ながらそこには無視できないデメリットも存在します。
それは、総重量が増しすぎてしまい、停車時の取り回しが極めてしにくくなるという点です。
そのため、車体を支える際の靴底のグリップ力にも徹底してこだわっています。
私は、滑りやすい路面でも確実な足運びを支えてくれるKEENの靴を長年信頼、愛用しています。
走行中は安定していても、一度足を止めれば「過重積載」であるという事実に変わりはありません。
どれほどパッキングを工夫していても、滑りやすい路面で足元をすくわれてしまえば、すべてが無に帰してしまいます。
そのため、私はこの装備で走る際は、ダートや砂利、土の路面などの悪路は極力避けるようにしています。
これは、数々の現場を切り抜けてきた長年の勘が教えてくれる、安全への防衛本能でもあります。
自分の運転技術を過信しすぎないこと、そしてナビを盲信せず、時には「変な林道へ案内されていないか?」と疑う冷静さを持つこと。
「落ちない、濡れない、すぐ出せる」というパッキングは、あくまで安全に旅を完遂するための手段です。
物理的な限界をしっかりと理解した上で、より一層の安全運転を心がけること。
それこそが、V-STROM250でサバイバルツーリングを心から楽しむための、最後にして最大の鉄則です。






