九州一周キャンプツーリング、3日目、朝。
意気揚々とバイクに跨るも、まさかのエンジントラブル?!
なんと愛車V-Strom250の2気筒のうち1つが沈黙。
唐津のバイク屋に一縷の望みをかけ、息も絶え絶えな1気筒になった相棒に跨った。
「まさかここまできて、終わるのか…。」
旅の終了を覚悟した先に待っていた奇跡。
そして、トラブルを乗り越えた先に辿り着いた『乳待坊公園いこいの広場キャンプ場』の圧倒的な借景。
絶望から始まった1日の終わりに、安息の地として黒髪山・夫婦岩の前で、独り交わした祝杯の記録を綴ります。
乳待坊公園キャンプ場の魅力とは
乳待坊公園キャンプ場の魅力をまとめると、以下の3点が挙げられます。
- 圧倒的な存在感、目の前にそびえ立つ「黒髪山・夫婦岩」の借景
- 市営ならではのリーズナブルな利用料
- 佐賀観光に絶好の拠点性
目の前にそびえ立つ「黒髪山・夫婦岩」の圧倒的な存在感

このキャンプ場最大の特徴は、テントサイトの頭上を見上げると
夫婦岩の雄大な岩壁が迫るという見事なロケーションです。
周囲の景色を自分の庭の一部として取り入れる「借景(しゃっけい)」という言葉がありますが、
「借景」という言葉がこれほど似合う場所も珍しいでしょう。
荒々しい岩肌が刻一刻と夕日に染まっていく様を眺める時間は、何よりの贅沢です。
コストパフォーマンスと施設の充実さ

市営の施設ということもあり、リーズナブルな料金で利用できるのが大きな魅力です。
驚くべきは、この低料金でありながら設備とサービスの充実度が高いこと。
場内では無料Wi-Fiが利用でき、バリアフリートイレにはウォシュレット付きトイレ、
レンタル品も主要な道具がひと通り取り揃えられています。
清掃の行き届いた施設と絶景をこの価格で提供してくれる点に、
市営の底力を感じずにはいられません。

佐賀観光に絶好の拠点性:西九州を攻略する戦略的立地

乳待坊公園キャンプ場は、東に武雄、北に伊万里、そして南へ進めば有田と、
佐賀の主要観光スポットを網羅するのに最適な場所に位置しています。。
この主要観光トライアングルのちょうど中心に位置しており、どこへ向かうにもアクセスは抜群です。
ツーリングの「中継基地」としてこれほど心強い場所はありません。
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2025/7 | 晴/晴 |
| 名称 | 乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 | https://chimachibow-camp.com/ |
| 場所 | 〒849-2305 佐賀県武雄市山内町1864 | 080-2157-0357(管理人直通) |
| 業態 | 市営 | 指定管理 株式会社 ヒューテック |
| ロケーション | 広場 | 夫婦岩が目の前 |
| サイト | フリーサイト | 硬 □□□☑□ 柔 |
| サイト規模 | 中規模 | |
| 営業期間 | 通年 | ※公共施設のため利用前に要確認 |
| 予約方法 | 公式HP or TEL | 公式HPでは前日まで。当日飛び込みはTELのみ |
| in / out | in 11:00~20:00/out ~11:00 | |
| 料金(利用プラン) | 1,100円 | バイク1台、テント1張り |
| (内訳) | 入施設利用料 | 1,100円/人 |
| 駐車料金 | なし | |
| 備考 | ※タープは別途1,100円 | |
| 受付時間 8:00~20:00 | ||
| 売店 あり | ||
| レンタル あり | ||
| 薪 あり | 針葉樹 500円/1箱、広葉樹 1,000円/1箱 | |
| 設備 | トイレ:1ヵ所 | 水洗・洋式便座 |
| 風呂:なし/シャワー:あり | 100円/2分 | |
| 炊事棟:1ヵ所 | ||
| 灰捨て場:あり | ||
| その他施設:遊具、自販機 | ||
| ごみ | 持ち帰り | |
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚き火台、焚き火シート |
| 薪の調達状況 | 可 | 易 □□□□☑ 難 |
| 電波状況 | 普通 | ※楽天モバイル 無料Wi-Fiあり |
| 客層(主観) | ソロ □□☑□□ ファミリー | |
| 獣・虫 | 特になし | |
| 場内路面状況 | 舗装道路 | ※バイクのみ場内駐輪場あり |
| 買い出し | スーパーマーケット | Aコープ 山内店 約3.1km |
| コンビニ | セブン-イレブン 有田駅前店 約8.5km | |
| 温泉 | 黒髪の森温泉天童の湯 | 約1.6km ※休業中 |
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 予約はどうする
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場は完全予約制です。
オンライン予約が基本(おすすめ)
現在は公式サイトからのオンライン予約がメインの受付窓口となっています。
24時間いつでも空き状況がリアルタイムで確認できるため、ツーリングルートの調整をしながらスマホでサクッと予約できるのがライダーには嬉しいポイント。前日の18:00まで受け付けています。
- 乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 公式サイト
当日予約は電話で相談
もし計画変更などで「今日泊まりたい!」となった場合は、管理人直通の携帯電話へ連絡しましょう。 オンラインでは前日までの受付ですが、当日に空きがあれば対応していただける場合があります。
(受付時間は当日9:00〜)
- 管理人直通TEL: 080-2157-0357
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 サイトの様子
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場は、全面が開放的な芝生のフリーサイトとなっています。

- 全面芝生のフリーサイト
- サイトはメイン広場。北端に特等席がある
- サイト内にバイク専用駐輪スペースあり
- 夏場は直射日光がダイレクトに降り注ぐ
エリア構成:メイン広場と「北の特等席」

サイトは管理棟などの施設を含む広場がメインエリアとなります。
南から北へと広がる開放的なメイン広場は、舗装路に囲まれており、荷運びの動線が確保されています。

また、サイトの最北端には一段高くなった隠れ家的なスペースが存在します。

ここは1グループで埋まってしまうほどの広さですが、設営可能で、プライベート感を重視するなら早い者勝ちのスポットと言えるでしょう。

地面の様子

全体的に手入れの行き届いた美しい芝生が広がっています。
ペグの入りは硬め、アルミペグではひしゃげる可能性があります。
鍛造ペグが望ましいでしょう。
バイクの搬入と駐輪

この時立て札は逆光で視認できなかった…。

サイト内への車両乗り入れは不可となっています。
しかしバイクに限っては、トイレ手前にバイク専用駐車スペースが完備されており、サイトとの距離は極めて至近。
積載量が多い大型のツーリングバイクであっても、車と比べて圧倒的に搬入出が楽です。
※地面は芝なのでプレートがあると便利
絶景ポイント

夫婦岩(雄岩・雌岩)を正面に捉えながら設営したいのであれば、
サイト内東側にある「東屋の周辺」がベストポジションです。
ここからの眺めはまさに圧倒的で、このキャンプ場の醍醐味を凝縮したような特等席です。

設営のアドバイス
設営場所の注意点として、サイト内には空を覆うような樹木がほとんどありません。
夏場は直射日光がダイレクトに降り注ぐため、タープの使用を強く推奨します。(※ちなみにタープは別途1,100円かかる。)

少しでも涼を求めるなら、夫婦岩と反対側のエリアがおすすめ。
午前中であれば周囲の木立によって貴重な木陰が生まれるため、撤収作業を比較的涼しく進めることができます。

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 施設の様子
絶景やコスパだけでなく、高規格な設備が整っているのも乳待坊公園の魅力です。
清潔なサニタリー設備や無料Wi-Fiといった現代的な利便性に加え、場内にはこの土地ならではの歴史が刻まれた遺構もあります。

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 管理棟

管理棟は、趣のある木造2階建ての建物です。
受付は2階にあり、外観のクラシックな印象に反して、内部は近代的。
監視カメラも完備されており、防犯面でも非常に高い安心感があります。
受付では予約氏名を告げ、「乳待坊公園及び神六山公園使用許可申請書」に必要事項を記入します。
手続きを終えると、利用者の印として小さな三角コーンが渡されるのがこのキャンプ場ならではのユニークなルールです。

また、販売品は消耗品だけでなくオリジナルステッカーも用意されています。

焚き火用の薪はコンテナ単位で販売されており、針葉樹(500円)と広葉樹(1,000円)から選べます。


建物の下に無料で使えるキャリーカートが置いてありました。

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 炊事棟

炊事棟は場内1ヵ所です。
管理棟のすぐ横に位置しており、屋根があるので雨の日でも安心して利用することができます。
石造りの流しに水道が並び、流し台を囲むようにL字型に配置された釜土が並んでいます。

釜目を引くのは設置されたふたつの土釜です。

その土釜には色鮮やかな割れた陶器(陶片)が埋め込まれており、有田や伊万里といった陶磁器の町に近いこの場所ならではの遊び心と歴史を感じさせてくれます。

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 トイレ

トイレは場内に1ヵ所設置されています。
こちらに自販機も設置されています。
男女別のほか、バリアフリートイレも完備されています。
手洗い場には鏡がありますが、洗面台周りには小物を置けるスペースは限られているため、
洗面用具を持っていく際は、あらかじめポーチ等にまとめておくとスムーズです。

基本的に水洗の洋式便座ですが、バリアフリートイレにはウォシュレットが備わっているのが、
市営施設としては嬉しいポイントです。


乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 シャワーブース

場内には男女別に各1ブースずつシャワーが設置されています。
利用方法は入り口の把手にある札を裏返して「使用中」にするスタイルです。
料金は100円で2分間利用可能。
お湯を止めるとタイマーのカウントを停止できるという非常に親切な設計です。
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 灰捨て

炊事棟にブロックで囲まれた炭捨て場が設置されています。
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 ゴミはどうする?
ごみは全て持ち帰りです
乳待坊公園いこいの広場キャンプ場 その他施設
アスレチック

本格的なアスレチック施設があり、小さな子供でも楽しめる環境です。
チャコの原料採掘場跡

場内をふと見渡すと、山肌にぽっかりと口を開けた不思議な「洞窟」が目に飛び込んできます。
これはかつての「チャコの原料採掘場跡」だそうです。

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場体験レポ:V-Strom 250「片肺」の危機を越え、絶景!修験山を借景に完ソロキャンプ

「今回の旅は、ここで終わってしまうのか…。」
佐賀ツーリングの当日朝、愛車V-Strom 250を襲った突然の異変。アイドリングの不調とともに心は沈み、一時は旅の断念すら覚悟した最悪の幕開けでした。
しかし、職人の矜持(きょうじ)を感じる多大な助けと、九州一周という執念が実を結び、
私は不死鳥のごとく再び西へと走り出すことができました。
そんな激動の一日の果てに、ようやく辿り着いたのが佐賀県武雄市の「乳待坊(ちまちぼう)公園いこいの広場キャンプ場」です。
目の前にそびえる修験の霊山・黒髪山の圧倒的な迫力と、図らずも訪れた「完ソロ」の贅沢な時間。
トラブル続きで強張っていた心と体を解きほぐしてくれました。
絶望の淵から這い上がった先に出会った、この場所の魅力を余すことなくレポートします。
※道中の「エンジントラブルの顛末」を共有したい方は、このまま下へ読み進めてください。
※キャンプ場の詳細・滞在の様子をすぐに見たい方は以下のリンクから、ジャンプできます。
👉【滞在編】天を突く双璧に見守られながらの宿営 ほら貝の響きで明ける霊山の朝
【道中編】死の淵を彷徨った絶望の「片肺」走行と、奇跡の再始動

相棒の異変。過積載の原付2種と化したV-Stromで這い進む佐賀の路
キャンプ場で思わぬアクシデントに見舞われ、途方に暮れていた。
一度はエンストから立ち直り、再始動してくれたのはいい。
しかし、ヘルメット越しに伝わるその音は、いつもの力強い鼓動ではなく、妙に高く、力のない乾いた回転音に変わっていた。
走り出した瞬間に、背筋が凍る。
愕然とするほどパワーが落ちているのだ。
少しの登り坂すら息も絶え絶えで、時速は30kmにも満たない…。
後ろから追い上げる軽自動車に道を譲る。
これじゃあ、まるで過積載の原付じゃないか…。

昨日、あんなに美しく見えた玄界灘の青い海も、今はまったく心に刺さらない。
視界に入るのは、ただひたすらに続く路面と、不安定な数値を刻む速度計だけ。
ややもすればエンストしそうになる相棒をなだめ、祈るような気持ちでアクセルを絞る。
目的地はただひとつ。この危機を救ってくれるかもしれない、唐津のバイク屋だ。
非情な診断「片肺ですね」

ようやくの思いで辿り着いたバイク屋。
吉と出るか、凶と出るか。祈るような心地でメカニックの方に声をかけた。
「すみません、バイクの調子がおかしくて。診てもらえますか?」
メカニックの方がアクセルを空ぶかしする。
乾いた、どこか頼りない排気音が響く。
「これ、片肺ですね。」
聞き慣れない言葉に、耳を疑った。「カタハイ」とは?
「2気筒のうちの1気筒が死んでる、ってことです。つまり、250ccのパワーが半分の125ccになってるってことですよ。」
なんてこった。重症なのは肌身で感じていたが、まさかそんな重大なトラブルが自分の身に起きるとは。
「まだ九州ついて3日目なんです。…なんとか、なんとか直りませんか?」
食い下がる私に、メカニックの方は淡々と現実を告げた。
「いや、すぐは無理ですよ。パーツを注文して届くのを待って…。ここに1〜2週間滞在するなら再始動できますけど、そうでなければここでレッカーですね。」
どちらも選べない無情な二択と無謀なラストプラン
頭が真っ白になった。 足もないこの場所で、費用をかけて1〜2週間も滞在し続ける余裕はない。
かといって東京までのレッカー代や諸費用云々…。そして何より、夜通し走って九州まで来て、
わずか2県目でギブアップするという事実が、悔しくて、情けなくてたまらなかった。
「…ちょっと、考えます。」
メカニックの方を一旦戻し、私は逃げ場のない炎天下の駐車場にひとり立ち尽くした。
とにかく、動かないことは…、ない。
頭をよぎったのは、明日の長崎。
念願だった「軍艦島クルーズ」の予約を取り付けていたのだ。
今日予約しているキャンプ場へ向かい、一泊する。
明日の用事だけはなんとか済ませて、そこから新門司のフェリーへ這いつくばってでも辿り着き、
トンボ帰りするか…。
しかし、予想される道のりは今来た道より山あり谷あり、混雑も激しくなるだろう。
壊れかけた相棒にさらなるムチを打つ、あまりにも無謀なプラン。
だが今自分を納得させるプランはその一択しか頭になかった。
そこへ、先ほどのメカニックの方が心配そうに近づいてきた。「どうします?」
私は絞り出すような声で、その無謀な計画を口にした。
「いや、無茶すぎますって!! 今は動けていても、片方に過度な負荷がかかっている状態。最悪、エンジンが全壊して完全に止まりますよ…。」
プロの言葉が、一縷(いちる)の望みを断ち切るように耳に響く。
あまりのショックに、ただただその場に立ち尽くし、うなだれるしかなかった。
佐賀に奇跡の村、現る。感謝感激起死回生。復活のスパーク
その時、メカニックの方がポツリと言った。
「…ちょっと待ってて。」
なんだろう。もうどうにでもなれ、そんな自暴自棄な気持ちで待っていると、再び戻ってきてこう告げた。
「ちょっと、診てみましょう。」
え、診てくれるの? すがる思いで相棒を預け、私は冷房の効いた室内で審判を待った。
スマホの充電も切れかけ、不安な帰路を調べることすらできない孤独な時間。
どれくらい経っただろうか。
サッシの扉がガラガラと開く。
「直りましたよー!」
その声に、一瞬耳を疑った。が、次の瞬間、暗雲としていた目の前がぱあっっとひらけた感覚がした。
原因は片方のプラグ故障。
なんと、店にある不動車から適合するパーツを移植し、急場を凌げるよう手を尽くしてくれたのだ。

「せっかく九州に来たんだから、ツーリング続けてほしいですからね。」
まさに死地から人々を救う救世主と崇めずにはいられない。
唐津のメシア、ブラックジャックがここにいた。
「7万キロ走ってますからねぇ。どこかしら不具合はでますよ。東京帰ったら反対側もリペアしといたほうがいいですよ。」
そのアドバイスを心に刻み。復活したエンジン音を聞く。
再び響き渡る、完璧な2気筒のアンサンブル。
ああ、これだよこの音。よかった。本当によかった。
佐賀の人の温かさとプロの仕事に、もう唐津には足を向けて眠れない。
レッドバロン唐津

「井出ちゃんぽん」へのリベンジ

安心したら、猛烈に腹が減った。
時刻は12:00をまわったところだった。
向かったのは、昨日定休日で涙を飲んだ「井出ちゃんぽん」。
注文を済ませ待つ間、机に突っ伏し作戦会議を練る。
当初の予定は大幅に狂ったが、どうしても譲れない場所があった。
それは「本土最西端の地・神崎鼻(こうざきばな)」だ。
実はかつて、最西端だと思い込み、決死の覚悟で悪路を突き進んだことがあった。
しかし後になって、そこは「本土と繋がった道の最西端」に過ぎなかったと知る。
しかも当時は途中で道が封鎖されて到達すらできなかったという苦い記憶…。
日本の東西南北の本土四極。最西端だけを残してしまった心残りを、今日こそ払拭しなければならない。
目的地をナビにプロットしたその時、お待ちかねのどんぶりが目の前に置かれた。

「あつっ…旨っ!」
空腹に染み渡るその味は、起死回生の喜びも相まって格別だった。
本場・長崎のちゃんぽんが海鮮の旨味を凝縮した白濁スープだとすれば、
ここ唐津の井出ちゃんぽんは、山盛りの野菜の甘みが溶け出した濃厚な豚骨ベース。
いまの身体が求めていたのは、まさにこの味だった。
佐賀でのタスクはこれですべて完了とする。
心もお腹も満たされ、私は再び蘇った相棒に跨った。目指すは、本土の西の果て。
井手ちゃんぽん 唐津店
井出ちゃんぽん並盛 920円

本土最西端の地到達!本土四極制覇 — なぜ平戸ではなく、佐世保の「神崎鼻」なのかという疑問?
伊万里を越え、有田を越え。ナビが指し示す方向へひたすら突き進む。
主要道から外れ、静かな漁村へと足を踏み入れた。
最西端という響きから想像するような賑やかさは、ここにはないようだ。
辿り着いたのは、神崎鼻(こうざきばな)公園。
そこには売店も何もない、そっけなさが漂う駐車場があるだけだった。

本当に、ここであってる?
不安を抱きつつ看板に目を向けると、そこには確かに「日本本土最西端」の文字。
どうやらここからは、自分の足で向かうらしい。

舗装された急斜面を歩き、標識に従って進んでいくと、海へと続く細い下り階段が現れた。

「ここか…!」
バイクツーリングキャンプを始めてから、一体どれほどの月日が流れただろうか。
北の最果て宗谷岬、荒涼とした景色を越えていった東の納沙布岬、嵐の中、強風に叩きつけられた南の佐多岬。(西だけは平戸だとばかり思い込んでいたけれど…。)
数々の景色を思い出しながら、私はとうとう日本の東西南北・本土四極制覇を達成した。

日本本土最西端の地
神崎鼻(こうざきばな)公園

その証となる「勲章」を授かりに、佐世保市小佐々支所へと向かう。
無事に達成はしたものの、頭の中にはひとつ疑問が浮かんでいた。
「なんでここなんだろう? 平戸のほうが断然、西にあるはずなのに。」

支所の2階へ上がり、無事に証明書を手にしたところで、思い切って窓口で尋ねてみた。
「なんで佐世保が本土最西端なんですか?」
すると係の方は、少し困ったような、それでいてどこかお隣の平戸へ遠慮するような表情で教えてくれた。
「確かに平戸のほうが西に位置しているのですが、地理上の分類ではあちらはあくまで『島』なんです。神崎鼻は、九州本土と地続きの点として、緯度・経度に基づいた最西端。国土地理院にも認められた証書が、下の階にあるんですよ。」
1階に飾られた立派な証明書を紹介してくれながら、「やはり、たまに聞かれるんですよね」と笑う係の方。そのやり取りに心が和み、お礼を述べて支所を後にした。

本土四極踏破という大きな節目。 心地よい達成感を胸に、今夜の宿となるキャンプ場を目指して再びアクセルを開けた。
佐世保市小佐々支所
最西端証明書がもらえる施設のひとつ
※他にも郵便局や道の駅でも入手できる。

【日本本土最西端証明書の交付について】
今回訪れた佐世保市小佐々支所の他、佐世保市役所、道の駅、郵便局、飲食店等でも入手できる。
日本本土最西端証明書の交付について
時計は既に15:00を回っていた。
買い出しを済ませ、一刻も早くテントを張り、休息の時間を確保したい。
道すがら、風情ある陶器店や窯元の看板がいくつも目に入ってきたが、今はその雰囲気だけを肌で感じ、先を急いだ。
Aコープ 山内店

【滞在編】天を突く双璧に見守られながらの宿営 ほら貝の響きで明ける霊山の朝

乳待坊公園いこいの広場キャンプ場到着 予期せぬ絶景の宿営地だった
キャンプ場へ近づくにつれ、二層の巨塊が目の前にどんどん迫ってくる。
「なんだ、ありゃあ…?」 思わず声が漏れた。
なんの前情報もなかった。ただ単に料金と旅のルート上という理由だけで、昨晩スマホで予約したキャンプ場。
いざ到着してみれば、天を突くような双璧がサイトから見上げる位置にそびえ立っていた。
凄まじい迫力だ。

勝手がわからず場内に入り込んでしまったが、すぐにスタッフの方が駆けつけてくれ、バイク置き場を指示してくれた。

よくここまで踏ん張ってくれた、ありがとうVスト君。
辺りに他の利用者はいない。
貸し切り状態の静寂の中、受付らしい木造の建物へと向かった。
2階へ上がると、先ほどの方が受付をしてくれた。ふと部屋を見渡すと、オリジナルのステッカーが目に入る。これがあると、キャンプ場運営に力が注がれているのだろうな、というのが伝わってくる。

受付を済ませ、設営の目印になる小さな三角コーンを受け取った。
九州の厳しい暑さにだいぶ体力を削られていた私は、思わず尋ねた。
「場内に日陰がないようですけど、あの岩山の近くだと朝方は陰になりますか?」
「いやいやいや、反対側のほうがまだ全然マシですよ。」 聞いて正解だった。
再びサイトに戻り、今夜の拠点を吟味する。
バイク置き場から近く、かつ、あの双璧を特等席で眺められる場所。
場内の東屋の周りにベンチが並ぶ一角を見つけ、「よし、このキャンプ場の正解はここだ」と確信した。

ようやく、安寧の宿営地が完成した。

場内散策 ひょうたん型のキャンプサイト探索と5秒間の洞窟探検
場内はすべてフリーサイト。
手入れの行き届いた芝生が美しく、平坦な地形のおかげで隅々まで見渡すことができる。

外周の半分には堀が巡らされ、さらにその周囲を舗装路が囲んでいた。
上空から見れば、おそらく「ひょうたん」のような形をしているのではないだろうか。
ひょうたんの頭の部分にあたる北側の舗装路外、一段高い場所に階段を見つけた。

上がってみると、グループなら2〜3張はできそうな広場が広がっている。
ここも設営可能とのことだ。
場内を見下ろす特等席のような特別感はあるが、トイレや炊事棟からは最も遠く、
例の「双璧」は拝むことはできない。

初見の今日、やはりあの風景を切り取って一夜を明かしたい私にとっては、先ほどの場所が正解だとうなずく。
設営時からちらちら見ていて気になっていたものがある。
地上に突如として出現した、まるで「鼻の穴」のような二つの洞穴だ。

立て札には「チャコの原料採掘場跡」とある。
「チャコの…」といったら『海岸物語』と決まっているものだと思っていたが、
『原料採掘場』?
コウモリでも潜んでいるのではないかと身構えたが、キャンプ場の場内散策をルーチンワークとする身としては足を踏み入れざるを得ない。
意を決して中へ入る。コウモリはいないが蜘蛛の巣が…あぶぶぶぶ。
左の穴から入って、右の穴からこんにちは。
わずか5秒の洞窟探検だった。

お子様にとってはちょっとした探検気分が味わえる。場内にはアスレチックも併設されているのでキッズたちにはいい環境かも。
今夜もどうやら私一人の貸し切り状態。
夜の静寂の中でこの穴を眺めるのは、少しばかり気になりそうだ。(不気味な鼻息とかでないよねぇ…。)
サイトを囲む舗装道をぐるりと一周し、私はようやく自陣へ戻った。
シャワーの秘訣 100円のタイムアタック

今日はさまざまな「汗」をかいた一日だった。
温泉でゆっくりと疲れを癒やしたかったが、あいにくそれに避ける時間はなかった。
まずはシャワーを浴びて、心身ともにリフレッシュすることにした。
ここのコインシャワーは100円で2分。
よし、2分もあればワンコインで達成できる。
ここで、自己流、シャワーの流儀をご披露したい。(最短1分でも可能。実績あり。)
- 事前に洗体用のナイロンタオルに液体せっけんと水を含ませておく。
- 手の届く場所にシャンプーのフタを開けて待機。
- その横に、100円玉をセット。
100円を投入した瞬間、頭からシャワーを浴び、即シャンプー。
シャンプーの泡はそのままに、間髪入れずにせっけんを含ませたタオルで全身を泡で包み込み、
あとは時間が切れるまで頭から一気に洗い流す。
幸い、ここのシャワーは一時停止ができる優れものだった。
結果は100円ポッキリで余裕の勝利。
しかし、真夏の夜のシャワー室は蒸し風呂状態。
外へ出ると幾分かはマシだが、それでも九州の夏がまとう熱気は依然として肌にまとわりついた。
晩餐会 唐津へ向けて感謝の盃
火照った体を落ち着かせ、いよいよ本日の晩餐会を始める。
サイトに蚊が多かったことと、芝を火で傷めたくなかったこともあり、炊事棟へと舞台を移動して調理を開始した。
今回の旅の相棒は、FIELDOORのラウンドグリドルパン。

面積はあるが、ほぼフラットな形状なのでキャンピングシェルベースの最上部にすっぽりと収まり、パッキングの邪魔にならない。
広い面で調理しやすく、何より後片付けが楽なのが最高だ。
濡れたスポンジでこすり、さっと洗い流すだけ。
なんだかんだで時短になるし、
これがあればタレ付きの肉も臆せず食材の検討材料に入れることもできる。
今夜のメニューは、近くのAコープで仕入れた「九州かしわむすび」と「味付け豚ハラミ焼肉」。

サーモグラスに氷を山盛りにし、チューハイを注ぎ込む。
パチパチと弾ける泡が引き、シュワシュワシュワ…という音を聞くだけで、喉が鳴る。
今日一日、本当にお疲れ様でした。
唐津の空に向けグラスを掲げた。

もしバイクが直っていなかったら、今この場所に辿り着けただろうか。
こうして明日の予定を立てられる喜びを噛み締める。
何でもないようなキャンプライフが、幸せだったと思う…。そんなことを思う夜。
誰もいないキャンプ場は、虫の声で満たされていた。
あまりの声量に、どうかしているのではないかと疑うほどだ。

寝苦しい暑さは残っているが、心身の疲労はとうに限界を超えている。
私は吸い込まれるように、ぬるりと寝床へ潜り込んだ。

霊山の目覚めと、岩盤の上の宿営地

「ぶぉぉぉぉーん…」
遠くから響く、ほら貝を吹くような音で目が覚めた。
テントのジッパーを開けると、空は見事なまでの快晴。
こりゃ今日もまた、暑くなるぞ。今はまだ木陰に守られているが、ジリジリと迫ってくる日差しに晒されるのも時間の問題だろう。
ベンチに腰を下ろし、朝の光に照らされる夫婦岩を眺めながらパンをかじる。
サイトには、昨日とは違うスタッフさんが姿を見せていた。

「おはようございます。なんだか、ほら貝のような音が聞こえたんですけどなんでしょう。」
「ああ、あれね。修験者さんがこの山に登っているんだよ。霊山だからね。」
へぇ、と驚きながら岩壁を見上げる。
あんな切り立った岩山を登る人がいるのか。
そういえば、キャンプ場の隅に山道へと続く入り口があったのを思い出す。
…絶対に行かないけれど。

もうひとつ、気になっていた点を尋ねてみた。
「炊事場の横や奥のサイト、岩肌に囲まれているようにお見受けしましたが…。」
「うん、ここは元々が岩盤だからね。岩を削り出して平らにならして、芝を張ったんだよ。」



元は巨大な岩盤だった場所を、これほど綺麗な芝生広場にしたのか。
一体どれほどの工費がかかったのだろう。恐るべし、武雄市の財源力。
日光とのせめぎあい、そして次なる旅路へ
感心している間にも、日差しが容赦なくテントへと迫っていた。急いで撤収に取り掛かる。
まだ木影はわずかにあるものの汗はだらだら、撤収完了。

危なかった。あと少しで逃げ場を失い、強烈な直射日光に焦がされるところだった。
だがその反面、朝一番で洗濯し干しておいたTシャツは、驚くほどカラカラに乾いている。
バイクに跨り、エンジンをかける。
これほど近くにいながら武雄温泉に浸かれなかったのは心残りだが、
また次に来る理由ができた、と思えばいい。
最後に夫婦岩をちらりと見納め、相棒と共に次なる目的地へと走り出した。
まとめ:乳待坊公園いこいの広場キャンプ場に一泊して実感。ツーリングキャンパーの絶好の拠点である理由と注意点
トラブルを乗り越え、夫婦岩を目の前に一晩を過ごしたからこそ見えてきた、
この乳待坊(ちまちぼう)公園いこいの広場キャンプ場の真価。
利用しやすいコスパと充実の設備はもちろんですが、
なぜここがライダーにとって『選ぶべき場所』なのか、リアルな感想をまとめます。

ここが良かった!ツーリング拠点としての最適解

何といっても、目の前にそびえる夫婦岩(黒髪山)の圧倒的な姿。
全国各地のキャンプ場を巡っていますが、これほど特徴的な風景を醸す場所はなかなかありません。
この景色を拝みにくるだけでも、ここを訪れる価値があります。
キャンプの充実度合が違います。
サイトのすぐ横にバイクを駐輪でき、愛車の安全を常に視認できる安心感。
車の場合は離れた駐車場を利用する必要があるため、バイクならではの「優越感」に浸れるのもポイント。
チェックインが20:00までと遅めに設定されているのが非常に心強いです。
今回のような突発的なトラブルや、予定が押しがちなロングツーリングにおいて、この時間の余裕は有難い点です。
ツーリングの「駆け込み寺」としても重宝しそうです。
(※到着が遅れる場合は、必ず事前の連絡を忘れずに!)
武雄温泉、伊万里、有田、さらには長崎方面へのアクセスも抜群。
今回は機会がなく残念でしたが、次回はここを連泊の拠点にして、じっくりと佐賀を巡りたいと思いました。
注意点と気になったところ
遮るものが少なく、直射日光にさらされやすいのが難点。
日中はかなり暑くなるため、タープがあると重宝します。
朝方なら夫婦岩の反対側(東側)に日陰ができるので、撤収を考慮するとそのあたりの場所を狙って設営するのがコツです。
9:00~17:00の間、無料でデイキャンプが開放されています(要予約)。
特に絶景が拝める東屋やベンチ付近は、日中の人気が集中するスポットと思われます。
静かに過ごしたい、あるいは狙った場所を確保したい場合は、チェックインのタイミングや設営場所に工夫が必要だと感じました。
おわりに:トラブルの先に見えたもの
旅の終わりを絶望したあの朝が、遠い昔のように感じられます。
事前の点検を尽くしていても、抗えないトラブルは起きてしまうもの…。
けれど、唐津の神様のおかげで、再び九州ツーリングを続けることができました。
「何が起きても受け入れる覚悟」と、「そこからどう動くかという判断力」、
そして最終的には「運」、がバイク旅をするために必要なのではないかと。
正直なところ、その状況を受け入れる覚悟など持てず、執念で足掻きまくったわけですが、
今回は「運」のみに導かれ、こうして夫婦岩の絶景の前に立つことができました。
無事に旅を続けられるのは、あの時救ってくれた唐津のバイク屋さんのおかげです。
本当に感謝しています。この場を借りて、改めてお礼を伝えさせていただきます。
さて、次は長崎の地へ。
いってみますか。




