枕崎から本土最南端・佐多岬を経て、宮崎方面へ。
翌朝の日南海岸ツーリングを見据え、その拠点として選んだのが、
鹿児島県東串良町にある「ふれあいの森キャンプ場」でした。
しかし道中、山川港での「フェリー欠航」により佐多岬への最短ルートは断絶。
絶望のまま桜島経由の100kmを超える大迂回を強いられ、削られていく時間と体力。
日没間際、ようやく辿り着いたキャンプ場は、すでに閉館…?。
今回は、予期せぬトラブルを意地と根性で走り抜いたツーリングの記録と、
執念で辿り着いた安息の地「ふれあいの森キャンプ場」での一夜をレポートします。
ふれあいの森キャンプ場の魅力
- 【絶妙な距離感】 佐多岬を「通過点」にし、翌朝の宮崎入りを楽にする戦略的中継地点
- 【志布志湾エリア唯一の無料】 無料で泊まれる貴重な存在
- 【車両横付け可】 テント横にバイクを置ける安心感と利便性
【絶妙な距離感】 佐多岬から宮崎方面へ進むための拠点
佐多岬周辺には無料の大泊野営場もありますが、あえてそこを通り過ぎ、翌日の日南海岸ツーリングを見据えて志布志湾まで距離を稼いでおく。
疲れが溜まる夕刻、宮崎の手前で一息つけるこの場所は、ロングツーリングにおいてまさに「絶妙」な位置にあります。
【無料キャンプ場】 志布志湾沿いこのエリア唯一の無料宿泊地
佐多岬を越え、宮崎県境を目指す志布志湾沿いのルートにおいて、無料で利用できるキャンプ場は極めて希少です。
有料施設が点在するこのエリアにおいて、実費0円の恩恵をご当地グルメやガソリン代に回せる、旅人の心強い味方と言えます。
【サイト内車両横付け可】 荷運びゼロ、防犯面も万全
何よりも魅力的なのが、無料でありながらフリーオートサイトであること。
広大な松林サイトへのバイク乗り入れ・横付けが可能です。
テントのすぐ横に愛車を駐輪できるため、パッキングの負担が激減するのはもちろん、夜間もバイクを見守ることができる安心感は、ソロキャンプライダーにとって何よりのメリットと言えます。
ふれあいの森キャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2026/7 | 晴/雨 |
| 名称 | ふれあいの森キャンプ場 | 公式ページ(東串良町) |
| 場所 | 〒893-1615 鹿児島県肝属郡東串良町川東4989−6 | 0994-35-1881 |
| 業態 | 町営 | 東串良町 |
| ロケーション | 松林 | 広大な松林サイト |
| サイト | フリーオートサイト | 砂 硬 □□□□☑ 柔 |
| サイト規模 | 大規模 | 100張以上可能(非常に広大) |
| 車両乗り入れ | 可 | バイク・車ともにサイト内横付け可能 |
| 営業期間 | 通年 | 定休日 毎週月曜日・第1火曜日・第3火曜日 |
| 予約方法 | 電話 or 現地受付 | 管理棟休館時は 現地QRコードにて受付 |
| in / out | フリー | |
| 料金(利用プラン) | 無料 | |
| (内訳) | 使用料 | 0円 |
| 駐車料金 | なし | |
| 設備 | 管理棟:あり | 7/1~9/30 9:00~18:00 10/1~6/30 9:00~17:00 |
| 売店 | 不明 | |
| トイレ:あり | 水洗・バリアフリー対応 | |
| 風呂:なし/シャワー:あり | 100円/15分 | |
| 炊事棟:あり | ||
| 灰捨て場:なし | ||
| その他施設: | アスレチック施設 | |
| ごみ | 持ち帰り | 消し炭、灰を含む |
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚き火台、焚き火シート |
| 薪の調達状況 | 可 | 易 ☑□□□□ 難 |
| 電波状況 | 良好 | ※楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ □☑□□□ ファミリー | |
| 獣・虫 | ネコ、蟻 | ※蟻の大群にたかられた |
| 場内路面状況 | 未舗装 | ※砂。サイドスタンドプレート推奨 |
| 買い出し | スーパーマーケット | タイヨー 串良店 約7.4km |
| コンビニ | ローソン 肝属東串良店 約6.7km | |
| 温泉 | 高山温泉ドーム | 約8.4km |
ふれあいの森キャンプ場 予約はどうする

【要確認】予約・受付のルール
基本は事前予約、窓口受付ですが、到着が遅れても現地で手続きができる仕組みになっています。
原則は「電話予約」
利用が決まったら、まずは管理事務所へ予約電話を入れましょう。
- 電話: 0994-35-1881(8:30 ~ 17:00)
- 休館: 毎週月曜、第1・第3火曜(電話不通)
閉館後・休館日は「QRコード受付」
閉館後や休館日に到着してしまった場合も諦めなくて大丈夫です。
- 手順: 管理棟付近に掲示されている受付用QRコードをスマホで読み取る。
- 登録: 専用フォームから必要事項を送信すれば申請完了。
※無料ですが「無断利用」は厳禁です。必ずこのデジタル受付を行ってください。
ふれあいの森キャンプ場 サイトの様子

- 松林のロケーション
- フリーオートサイト
- 地面は砂
松林のロケーション

サイト全体が広大な松林の中にあります。
海沿いの立地ながら、密集した松の木々が「防風林」として機能しており、風の影響を軽減させています。
フリーオートサイト

乗り入れ可能、テントの真横に駐輪できるフリーオートサイトです。
パッキングの負担が激減するのはもちろん、夜間もバイクを身近に感じられる安心感は、ソロライダーにとって何よりのメリットと言えます。
場内は砂地ですが、主要な導線部は踏み固められているため走行は可能です。

ただし重量車は特に足を取られやすいため、油断大敵です。

設営場所を決める際は、必ず事前に歩いて路面状況を確認してから、バイクを移動させることを強くお勧めします。
地面の状況 砂地

地面は砂地です。
部分的に芝が生えていますが、全体的に柔らかい砂地が広がっています。
ペグの入りは非常に良好ですが、抜けやすさを考慮し、長めのペグ(25〜30cm以上)を使用するのが無難でしょう。
また、サイトの大部分は松の枝や落ち葉に覆われています。
乾燥した松の枝や松ぼっくりといった「天然の火種」が豊富に落ちていますが、周囲の松葉に火が移らないよう、設営場所を整えてから焚き火シートを敷くなど、万全の火気管理を心がけましょう。
ふれあいの森キャンプ場 施設の様子

公道を挟んで南に管理棟のある円山公園、北にバイク乗り入れ可能なキャンプサイトが広がっています。サイト内にある施設は炊事棟とアスレチック設備のみです。
炊事棟から公衆トイレまでかなりの距離があるため、場所の検討をしてから設営したほうが良さそうです。

ふれあいの森キャンプ場 管理棟(MARUMARINE 円山公園管理センター)

キャンプサイトから公道を挟み、南側にある円山公園の奥にあります。
キャンプ場利用の際は円山公園管理センターにて受付が必要です。
万が一、閉館後・休館日でも受付できる『QRコード』が窓に貼り付けられています。

この施設内でシャワーが利用できるようで、100円でなんと15分だそうです。
(但し開館時に限る。)
訪問時は既に閉館していたので中の様子をはじめ、販売品、薪等情報は得られませんでした…。
ふれあいの森キャンプ場 炊事棟

キャンプエリア内に炊事棟が1棟あります。
屋根付きの炊事棟は、中央に頑丈な木製テーブル、その周囲に水道と釜土が配置されています。

特筆すべきは薪の無料提供がある点です。

木のベンチの上に提供された木がそっと置かれています。
焚き火をするのにありがたいサービスです。

ふれあいの森キャンプ場 トイレ(公衆トイレ)

キャンプエリア外にある公衆トイレは、内装が大理石造りの立派な施設です。
手洗い場には鏡と十分な荷物を置くスペースがあります。

男女別のトイレは水洗の洋式。バリアフリートイレも完備されています。
予備のトイレットペーパーがあるのは大変心強いです。


屋外には足を洗える水道や自動販売機も完備されており、自動販売機も設置されています。


ただし、キャンプエリア内からかなり遠い位置にあります。
炊事棟からでも200mほどの距離があるため、あまり遠くなりすぎないよう設営場所を選んだほうが良さそうです。
ふれあいの森キャンプ場 灰捨て
灰捨て場の有無については明確な情報が得られませんでした。
貴重な無料キャンプ場を維持するためにも、灰や消し炭は持ち帰ることを前提とした装備で臨むのが賢明です。
火消し袋(アッシュバッグ)等をあらかじめ用意しておくのが無難です。

また、サイト内での焚き火に関しては「直火禁止」です。
乾燥した松葉や枝が多いため、延焼防止の観点からも焚き火台と焚き火シートは必携。
万全の火気管理を心がけましょう。
ふれあいの森キャンプ場 ゴミはどうする?

ゴミは全て持ち帰りとなっています。
ふれあいの森キャンプ場 その他施設

キャンプエリア内の炊事棟のすぐ隣には、作り込みのしっかりした本格的なアスレチック場が併設されています。
松林の景観に溶け込むような温かみのある造りながら、大人でも目を引くほどの本格的なアクティビティが楽しめそうです。
薩摩~大隅最短ルート封鎖?!本土最南端まで100km超の大迂回を経て執念で辿り着いた「東串良町ふれあいの森キャンプ場」体験レポ

前泊した「火之神公園キャンプ場」を出発し、薩摩半島から大隅半島へ。
最短ルートのフェリーを使い、一気に本土最南端・佐多岬を目指す―。
翌日の宮崎入りも見据え、キャンプ場もしっかりと押さえた完璧なスケジュール、のはずでした。
しかし、晴天であるにもかかわらず、港で突きつけられたのは、
まさかの「欠航」…。
閉ざされた最短ルートの代わりに待ち受けていたのは、鹿児島湾をぐるりと回る100km超の大迂回でした。
本土最南端へ向けて激走したツーリングの記録と、
翌日の宮崎入りを死守すべく、日没が迫るなか執念で辿り着いた、東串良町『ふれあいの森キャンプ場』での滞在記をお送りします。
※道中の枕崎~鹿児島湾をなぞり佐多岬までのツーリングの様子を共に辿りたい方は、このまま下へ読み進めてください。
※キャンプ場の詳細・滞在の様子をすぐに見たい方は以下のリンクから、ジャンプできます。
👉【滞在編】激走を走りぬいた安息地:東串良町「ふれあいの森キャンプ場」での一夜
【道中編】薩摩から大隅へ、執念の100km超の大迂回。目指すは本土最南端!
前日は鹿児島県、薩摩半島の南端にある『火の神公園キャンプ場』に身を置いていた。
見据えるのは対岸の大隅半島。
その最南端にある「佐多岬」までのルートを幾度となく確認する。
しかし、野営地ではテントを激しく叩く強風と、サイト内まで飛沫を上げる荒れ狂う波だった。
不安に駆られ、スマートフォンの画面でフェリー会社のサイトを開くと、トップページには「欠航」の文字。翌日の状況は、当日になってみないと分からないという。
ここから最短ルートの山川港を目指すか、それとも最初から陸路で桜島方面へとまっすぐ行くか。
その決断ひとつで、当日の走行距離とツーリングで立ち寄る場所の内容が変わってくる。
フェリー南九、山川営業所の営業開始は7:30。
狙っていた10:00発の便に合わせるなら、朝電話で確認してから動いていたのでは到底間に合わない。
当日、朝。
ふと見上げた空は、抜けるような快晴。波も昨晩に比べれば、いくぶん落ち着いたように見えた。
迷っている暇があるなら、信じる道を行くしかない。
そう自分に言い聞かせ、V-Strom 250のエンジンを始動させ、キャンプ場をあとにした。
出航への賭け:山川港で路頭に迷う彷徨える旅人
10:00の出航に間に合わせるためには、遅くとも30分前には港に到着しなければならない。
やれやれ、またもタイムアタックの始まりだ。もはや観光を楽しむ余裕など微塵もない。
ただひたすらに、眼前からじわじわと迫りくる開聞岳の雄姿をみながら進み続けるのが、
せめてもの観光だと割り切る。

山川港へ到着したのは9:30直前。
波止場にはフェリーが停泊し、乗船客の姿も見える。 欠航ではないようだ。
「おっしゃ!」と心の中でつぶやき、小走りで窓口へ向かった。
「あの、バイク一台…」 言葉を投げかけた瞬間に返ってきたのは、痛烈で非情な一言だった。
「バイクは高波のため、欠航です。」

車は乗船できるのに、バイクだけが拒絶される。この差が、なんとも切ない。
タイトなタイムスケジュールを必死にこなし、フェリー航路にすべてを賭けたが、無残な結末。
あのまま直接桜島を目指していたほうが、いくらかマシだったという後悔が頭をよぎる。

青い空、白い雲。海は皮肉なほどキラキラと輝いていた。
フェリー南九 山川営業所

気持ちを落ち着かせるため、近くの道の駅でスケジュールの組み直しを構想する。
行けぬものは行けないのです。そう事実を受け入れるしかない。
今日の佐多岬を諦め、そのまま東串良町のキャンプ場へ向かい、明日再アタックするか?
いやいや、それではルート効率が悪すぎる。明日は明日の目的地があるのだ。
ならば、せめて桜島まで走り、そこからフェリーに乗って少しでも距離を短縮して佐多岬を目指す、か。
道の駅 山川港

せっかくここまで来たのだ。悔いだけは残したくない。
そう腹をくくり、再びV-Stromのエンジンを始動。
桜島を目指して北上を開始した。

彷徨:鹿児島湾をなぞり、桜島フェリーへ
三角形に例えるなら、自分は今、余計な一辺をなぞっているだけではないか―。
そんな思考が頭をよぎるたび、気力が削がれていく。
まさか鹿児島湾の縁を忠実になぞる羽目になるとは。
ヘルメットの中、無表情で北上を続けていた。
途中、ワークマンを見つけ、これ幸いと冷感長袖Tシャツを購入した。

九州の陽射しは容赦ない。
かつて日焼けで病院沙汰になった経験がある身としては、素肌を晒すのは自殺行為だ。
愛用している同タイプのシャツを毎日洗濯する手間を考えれば、予備の確保は旅を継続するためのリスク管理なのである。
ワークマンプラスⅡ 指宿店

湾曲する鹿児島湾の向こうに、ようやく桜島の姿が現れた。

鹿児島港のフェリーターミナル付近まで辿り着いたものの、バイクの進入路に迷い、3度目のトライでようやくゲートに辿り着く。


係員に誘導されたのは、乗船口のすぐ手前。

「ここでいいの?」と問えば、「いいんです」と力強い返事。
チケットは後払い。未払いのまま乗り込むシステムに、不思議な感覚を覚えながら乗船した。
鹿児島港 桜島フェリーターミナル
750円(125cc以上、大人1名)

甲板へ上がれば、桜島はもう目の前だ。 山川港での拒絶が嘘のように、何の支障もなく船に乗れたことに、まずは深く安堵する。
船内をうろうろしていると、蕎麦屋の品書きが目に留まった。

『名物 桜島そば。』
ここで腹ごしらえを済ませることに決める。
立ち食いスタイルのカウンターで小銭を渡し、丼を受け取って船内の椅子に腰を下ろした。
ごぼう天がサクサクと香ばしく、つゆを含ませると旨みが広がる。 しかし、とにかく熱い。
ほどなくして下船案内のアナウンスが流れ、ハフハフと慌ただしくそばをすすり込んだ。

記憶の断片:桜島上陸と垂水にある「現在・過去・未来」を示す場所
フェリーはほどなくして桜島へ着岸した。
このままスルーで上陸みたいな雰囲気だったが、そんなことはない。
高速道路のような料金所が待ち構えている。

久しぶりに降り立った桜島は快晴で、今回は幸いにも灰が舞う気配はない。

桜島から垂水(たるみず)へと駒を進める。
流れる景色とともに、かつてこの地を訪れた際の記憶が鮮明に蘇ってきた。
道の駅「たるみずはまびら」に立ち寄る。

自分にとっては、ここらへ来たら必ず足を止める思い出深い場所だ。

当時は500円ほどで海鮮丼を食べた記憶があるが、今や物価高騰の波に押され、気軽に手を出せる代物ではなくなっていた。
だが、立ち寄った真の目的は建物の中ではない。
少し離れた海沿いの遊歩道。そこは自分にとって、「現在・過去・未来」を象徴する場所なのだ。

かつて自転車で九州を一周していた際、足を痛めて旅の断念を決めかねてうずくまっていたのが、
まさにこの場所だった。
その窮地を救ってくれたのが、当時この付近でラーメン屋を営んでいたご主人。
足が動くまで住み込みでバイトをさせてもらった、あの数日間の出来事…。
道の駅は新たに出来たが、ここだけは変わってない。
再びこの場所に立つと、当時の記憶が鮮明に呼び覚まされる。
『先へ進むか、諦めるか、それとも留まるか』



降り注ぐ日差しを浴びながら、あの頃の様にしばらくの間、遊歩道に腰を下ろして物思いに耽る。
やがて、ゆっくりと腰を上げた。
さて、では先へ進むか、今の俺よ。
独りごちて、本土最南端・佐多岬へと再び舵を切った。
道の駅 たるみずはまびら たるたるぱあく

本土最南端の到達
気合を再注入し、一路佐多岬へと向かう。
鹿屋から海岸線を走る国道269号線は見どころも多い道だが、かつて主要なスポットを巡り終えていたことが幸いした。わき目も振らず、ただ一気に佐多岬までひた走る。
大泊野営場の辺りを通り過ぎた。
以前ここを訪れたときは、まさに台風の真っ只中だった。
猫に絡まれ、荒れ狂う波に怯えながら過ごした記憶が鮮明に呼び起こされる。
だが、今回の野営地はここではない。翌日の行程を考え、より宮崎寄りの場所を目指す必要があるのだ。さらば。
佐多岬へと続く峠道は、激しい風が吹き荒れていた。
過重積載のV-STROM 250が横風にさらわれそうになるのを必死に堪え、車両で行ける最南端の地点へと到着した。

観光所で本土最南端の証明書を授与される。
これでこの旅、本土最西端に続き、最南端を制覇。

岬の先端までは、徒歩でかなりの距離を歩く必要がある。
それを熟知していたため、今回は深追いせず駐車場からその景色を眺めるに留めた。

佐多岬観光案内所
※最南端証明はひとり一枚です!

トラブルはあったものの、なんとかこの日のツーリングタスクは達成した。
残されたミッションは、今夜のキャンプ場へと滑り込むことだけだ。
本来なら佐多岬からそのまま海沿いを駆け抜け、志布志湾方面へと抜けたいところだったが、
もはやそんな時間は残されていない。
日没までの残り時間と、今夜の食料を確保するための買い出しを考慮すれば、
一度鹿屋市街まで戻るルートを選択するのが、最も現実的で、かつ確実な判断だった。
せっかく走破した道を、再び逆方向に辿る。それも、かなりの距離を戻らなければならない。
正直に言えば、この行程がこの日のツーリングの中で一番しんどかった。
往路では右手にその雄姿を見せていた開聞岳を、今度は左手に見据えながら、ただひたすらに鹿屋を目指す。
景色は既視感に溢れ、一刻も早く辿り着きたいという執念だけが、アクセルを握る手を動かしていた。

【滞在編】激走を走りぬいた安息地:東串良町「ふれあいの森キャンプ場」での一夜
鹿屋での買い出しを終え、志布志湾に向かって真東へと舵を切る。
スーパーセンタートライアル鹿屋店
買い出し:氷が安い 2kg 98円

視界が開けた瞬間、目の前に現れたのは見渡す限りの直線道路だった。

北海道では見慣れた光景だが、ここ九州では珍しい光景だと思った。
激走を続けた一日の終わりにふさわしい、静かな高揚感を与えてくれる。

やがて「柏原海岸」を示す標識が現れる。
案内に従い進んでいくと、目的地の立て札が視界に入った。

松林の合間にひっそりと佇む、今夜の宿営地。 ゆっくりとその中へと滑り込んでいった。
閉ざされた管理棟|救いの突破口QRコード
道端の『ふれあいの森』の表示に従い、敷地内へと足を踏み入れる。
砂だ…、思わず身構える。
スタックの恐怖が頭をよぎるが、バイクは辛うじて前進を続けてくれる。
おそるおそる先へ進むも、そこにあるのは炊事棟らしき建物のみ。管理棟のような建造物はない。

一度公道まで引き返し、真正面に伸びる砂の道へと狙いを定めた。

あてが外れた上、砂に足を取られスタックしたらどうしよう。
しかし、もはや時間は残されていない。ええい、ままよ。意を決して突入する。
『円山公園』の表示に従い、さらに奥へと進む。予想以上に走り込んだ先で、ようやく管理棟らしき建物が姿を現した。

スタンドの安定を確認するやいなや、小走りで駆け寄るが人の気配がまったくない。
ドアに手をかけるが、施錠されている。ふと掲げられた案内板には「本日休館」の文字が…?!

空はまだ明るいが、時計をみると時刻は18:30を過ぎていた。
九州へ渡る前、一応電話し氏名は伝えておいた。
「来たらいいよ」とフランクな言葉をもらっていたはずだったが、どうすればよい…?。
電話をしてみる。すると建物内に自分が切らない限りいつまでも鳴り続く呼出音…。
他に当てなどない。 最後の気力を振り絞って辿り着いたゴールだったので、精根尽き果てる寸前だった。
うなだれて、暗いガラス窓から中を覗き込もうとしたその時、ひとつの掲示が目に飛び込んできた。
「管理棟受付がお休みの時は、下記フォームよりお申し込みください」

まさに突破口を見つけた瞬間だった。
幸いにも楽天モバイルの電波は良好。
QRコードを読み込むと、驚くほどあっさりと申し込みが完了した。

あぶねー、危うく路頭に迷うところだった。
九死に一生を得た心地で再びバイクに跨り、先ほどの松林のサイトへと引き返した。

完ソロ再び 設営場所選び
再びバイクを走らせ、キャンプ場へと進入する。
場内をくまなく見渡すが、テントの影ひとつない。
今夜もまた「完ソロ」が確定した。
無料のキャンプ場での独占状態はむしろ不安の種でしかない。
周囲に広がるのは、炊事棟とアスレチック、そして北の果てまでどこまでも続く砂地の松林だけだ。


深入りするのは危険だと本能が告げる。
過重積載のV-STROM 250で、調子に乗ってこのまま奥の砂地へ踏み込めば、
今度こそスタックの餌食になるだろう。
空から雨がパラパラと落ちてきた。
炊事棟のすぐ近くを今夜の拠点と定め、バイクを押して移動させた。


はるか彼方にあるインフラ、設営区域ははたしてどこまで?
場内散策といきたいところだが、見渡す限りどこもかしこも一様に砂の地面と松の木が続いている。
残された唯一のインフラはトイレだが、その姿はすぐには見当たらない。
東側の松林の隙間に、かすかに緑色の建造物が見えた。


宿泊施設か?
右をみると公道からあのドームまで砂利道が続いている。


しなだれていた掲示を拡げてみると、薄れた文字で『この先キャンプエリアではない』との表示。
『この先』というのはあのドームら辺ということなのか?この近辺なのか?はて。


砂を踏みしめて進んでいくと、ようやくトイレを発見した

遠い…。しかも地面が砂のため、一歩進むごとに地味に体力が削られていく。
このキャンプ場攻略は、トイレ近辺に設営するのがよさそうだが、
先ほどの『キャンプサイトではない』の文字が気になる。
自陣へ戻ろうと振り返ると、背の低い外灯が点々と並んでいるのに気づく。
どうやらこれが、夜間のトイレへの道しるべとなっているらしい。
夜間、暗闇の中でのトイレ移動には重宝しそうだ。


管理棟までの距離を半分ほど引き返したところで、一本の立て札が立っているのに気づく。

板面には何も貼られていなかったが、すぐ下に『車両乗り入れ禁止区域』と書かれた一枚の紙が落ちていた。

スタックへの警告か、あるいは環境保護のためか。
ということは、トイレの近くには設営できないということなのか。
それとも、車両を置くこと自体が制限されているのかな。
遅く到着した報いをうけ、情報を得る手立てがない。
いずれにしても、「トイレは絶望的に遠い」ということだけは、理解した。

雨の松林、闇夜の珍客とキャンプ飯
雨がざあざあと本降りになり、たまらずテントに籠もる。
誰もいないはずのサイト。だが、音はしないがなんだか背後に奇妙な気配を感じるのはなぜだろう…。
気のせいだと言い聞かせ、スーパーで買い込んだ夕飯を広げようとしたその時、足元を蟻の大群がうごめていた。
これはかなわん。
慌てて荷物をまとめ、炊事場へと避難する。

クーラーボックスから氷を取り出し、ようやく一日の「ご褒美」にありついた。

今夜の献立は、稲荷ずしと桜島鶏つくねの一味マヨ。

ロングのキャンプツーリングに出ると、カツカレー同様、なぜだか無性に稲荷ずしが食べたくなる。
組み合わせたのが「桜島」の名を冠したつくね。ご当地感も加えたかったのだ。
やはりテントの裏手方向が気になる。

視線を向けると、違う角度からひょっこりと一匹のネコが顔を出した。
雨宿りかな。だが、情けは無用、食べ物を分け与えるわけにはいかない。

ネコがそっぽを向いた瞬間、今度は「緑の弾丸」が私の頭を弾いた。

またこいつか。テーブルの上で仰向けになり、不器用なブレイクダンスを披露するカナブン。
割り箸の袋で体勢を戻してやると、あろうことか、のこのこと私の身体を登り始めた。

ずいぶんと人懐っこいカナブンだ。 指先に誘導し、人差し指を突き立てる。
緑のダンサーは、そこを滑走路にして闇夜へとフライトしていった。
テントを激しく叩きつける豪雨の中、意識が遠のいていく。
この日の激走と大迂回の疲労は、嵐の音さえも気にならないほど深かった。
雨雲との駆け引き撤収とルービンの謎を残して

翌朝、テントのジッパーを開けると、そこには鮮やかな青空が広がっていた。

温度計に目をやると、最低気温が27.0℃、最高気温が36.4℃??

砂地に足を取られながら遠いトイレを済ませると、『探し猫』のポスターに目が留まった。

あれ?もしや昨晩テントの陰から覗いていたあのネコではないか。
写真よりげっそりしていたが、顔立ちが似ていたような?
ポスターの連絡先にダイヤルしてみたが、あいにく応答はない。
あの雨宿りを共に過ごしたにゃんにゃんが無事に家族のもとへ帰れるよう、心の中で祈るしかなかった。
テントに戻るやいなや、再び雨が降り始める。
海の近くゆえの不安定な天候なのか。

雨雲の隙間を縫うようにして、撤収作業を進めた。

炊事棟へ一時避難し、昨日ワークマンで手に入れた真新しい冷感長袖Tシャツに袖を通した。さらりとした肌触りが、新しい一日の始まりを告げる。

ふと掲示板に目をやると、『ルービンみにきて』という一文が。

どうやらこの近くの見どころらしいが、『ルービン』とは一体何なのか。

じゃあ、見に行くか。
ナビにそのルービン畑をセットして、キャンプ場を後にした。

まとめ:ふれあいの森キャンプ場の感想と攻略法

実際にV-STROM 250でサイトに乗り入れ、日没間際の設営と夜を過ごして分かった「現場のリアル」をまとめます。
ふれあいの森キャンプ場 利用してみて感じた「よかったところ」と「気になったところ」
無料で且つ、車両を横付けできるのは最大の魅力です。
積載重量のあるバイクにとって、荷解きのしやすさは正義と言えます。
たとえ管理棟が閉まっていても、窓口にあるQRコードからオンラインで利用申請が可能です。
日没間際の到着で「宿なし」を覚悟した瞬間、このシステムには本当に救われました。
広大な場内ですが、利用できるトイレは東側の松林の奥にひとつだけ。
しかも、そこに至る道は「砂地」です。一往復するだけで体力を消耗します。
場内の導線は一見踏み固められているように見えますが、その実態は「砂」です。
バイクのスタンド沈み込みやスタックの危険が常に付きまといました。
ふれあいの森キャンプ場 攻略法
この経験を踏まえ、現地で失敗しないための攻略ポイントとして以下の2点を提案します。
場内走行ルートの選択

場内への入り口は、初見のライダーにとって最大の難所です。
「ふれあいの森」の看板に従ってキャンプ場へ入り、調子に乗ってそのまま奥まで進むと、砂地の洗礼を受ける可能性が高いといえます。
たとえ導線が踏み固められているように見えても、過信は禁物です。
まずは「円山公園」の表示に従い、管理棟付近まで進んで受付を済ませましょう。
そこでも決して深追いはせず、サイドスタンドが沈み込まないよう、プレートを敷くか固い場所を慎重に見極めるのが、安全な攻略への第一歩です。
インフラを加味したサイト選び

場内はどこまでも松林が続いており、場所によるロケーションの優劣は、さほどありません。
そのため、設営場所を決める際に最も考慮すべきは「炊事棟とトイレの距離をどうとるか」という点です。
利用できるトイレは東側の松林の奥にひとつしかなく、想像以上に距離があります。
夜間の移動も深い砂に足を取られるため、往復するだけで体力を消耗します。
また、トイレ付近には「車両乗り入れ禁止区域」の制限があるほか、
そこが公衆トイレを兼ねた駐車場でもある点には注意が必要です。

実際に利用した際も、キャンプ場利用者以外の一般車が夜間に数回出入りしていました。
防犯面での安心感や、炊事棟の利便性を総合的に判断すれば、
『トイレへの道しるべとなる背の低い外灯が視界に入る範囲、かつ炊事棟に近いエリア』を拠点にするのが、最も現実的で賢明な選択といえます。

最後に
トイレの掲示板に、猫の捜索ポスターが貼られていました。
もし、この松林であの猫を見かけた方がいれば、ぜひポスターの連絡先へ知らせてあげてください。
夜、共に雨宿りしたあのネコがそうだったかはわかりませんが、
無事に家族のもとへ帰れることを願っています。
雨雲との駆け引きを制し、パニアケースを閉める。
真新しい長袖Tシャツを正し、私は再びV-STROMのエンジンを始動させました。
次の目的地は宮崎。さらなる北上を続けて旅は続きます。

つづく





