今回の目的地は、熊本県上天草市に浮かぶ小さな離島、『小島公園キャンプ場』です。
目の前には海面すれすれを貫く一本道。
等間隔に並ぶ電柱が、異世界への入り口のように島へと続いています。
海の上を走るような不思議な感覚で、島へと上陸。
そこには、格安の利用料で手に入る「小さな島の特等席」が待っていました。
九州一周キャンプツーリング第4夜。
四方を海に囲まれた、非日常的気分を味わえる、島キャンプの記録をお届けします。
小島公園キャンプ場、3つの魅力
- 島がまるごとキャンプ場
- 利用しやすい「低価格」設定
- 海と隣接したロケーション&釣りキャンプの好適地
島そのものに泊まる非日常感

周囲約200mの小さな島が丸ごと公園・キャンプ場になっており、
両脇を海に囲まれた一本道を渡って入島する瞬間が最大のワクワクポイントです。
四方を海に囲まれているため、どのサイトに設営しても常に波音を間近に感じ、まるで海と一体化したような特別な時間を過ごせます。
日常を切り離した「島泊まり」の醍醐味を存分に味わえるロケーションです。

驚異的な「低価格」設定
最大のメリットは、ソロだと1張1泊わずか850円という、とてもリーズナブルな利用料です。
1,000円でお釣りがくる、天草エリア屈指の格安スポットです。
海と隣接したロケーション&釣りキャンプの好適地

海の景色を間近に感じることができ、海と一体になるような開放感を独り占めできるのも、この場所ならではの贅沢です。
島の周囲すべてが釣りポイントのようなロケーションで、サイトからも即キャスティングが可能です。
テントの目の前で糸を垂らし、キャンプ食材を自給自足ができる環境が整っています。

小島公園キャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2025/7 | 晴/晴 |
| 名称 | 小島公園キャンプ場 | 小島公園キャンプ場 | 上天草市野外施設キャンプ場 |
| 場所 | 〒866-0101 熊本県上天草市姫戸町姫浦 | 0969‐56‐0777 |
| 業態 | 市営 | 指定管理:松島総合センター「アロマ」 |
| ロケーション | 島、臨海 | 小島海水浴場 |
| サイト | 区画サイト | 硬 □☑□□□ 柔 |
| サイト規模 | 小規模 | 全4区画 |
| 営業期間 | 4月〜10月末 | |
| 予約方法 | なっぷ | 予約はオンラインのみ。宿泊日の2日前まで。 |
| in / out | 14:00〜17:00/~10:00 | |
| 料金(利用プラン) | 850円 | |
| (内訳) | 入施設利用料 | 250円/張 |
| 使用料 | 600円/人 | |
| 駐車料金 | なし。駐車は陸側市営駐車場へ。 | |
| 備考 | バイクは横付け可 ※要確認 | |
| 受付時間 8:30~17:30 | ※管理人夜間不在 | |
| 売店 あり | 木炭500円 のみ | |
| レンタル あり | バーベキューセット | |
| 薪 なし | ||
| 設備 | トイレ:1ヵ所 | 水洗・洋式便座 |
| 風呂:なし/シャワー:あり | シャワー100円/3分(水のみ) | |
| 炊事棟:1ヵ所、水場2ヵ所 | ||
| 灰捨て場:なし | ||
| その他施設: | 神社、小島海水浴場 | |
| ごみ | 持ち帰り | |
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚き火台、焚き火シート |
| 薪の調達状況 | 可 | 易 □□□☑□ 難 |
| 電波状況 | 普通 | ※楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ □□□□☑ ファミリー | |
| 獣・虫 | カラス | |
| 場内路面状況 | 舗装路 | ※車は搬入出のみ入島可。※バイクは要相談 |
| 買い出し | スーパーマーケット | マミーマート 約20.8km |
| コンビニ | ニューヤマザキデイリーストア天草姫戸店 約3.3km | |
| 温泉 | 栖本温泉センター河童ロマン館 | 約23.0km |
小島公園キャンプ場 予約はどうする
予約は「なっぷ」からのオンラインのみ。事前予約が必須となっています。
- 公式サイト:小島公園キャンプ場(なっぷ) ※利用日の2日前まで予約が必要です。
小島公園キャンプ場 オーシャンビュー確約 サイトの様子
小島公園キャンプ場は、島全体がキャンプ場でありながら、
実は限定4区画のみ、という非常に贅沢な構成です。
キャンプサイトは全4区画

島の北側の海に面し、区画はA、B、C、Dの4区画あります。

A、BとC、Dが隣り合わせで、エリアは2つに分かれています。
明確な柵や仕切りはありませんが、歩道からサイト側に入り組んだスペースが絶妙な境界線になっており、隣との距離感を保ちながらプライベートな空間を確保できます。

地面の様子

地面は土ですが、質感はやや固めです。
鍛造ペグなど、しっかり食い込むタイプがあると安心です。
全サイトが「特等席」のオーシャンビュー

最大の贅沢は、すべてのサイトが海に直面していること。
どの場所にテントを張っても、目の前には遮るもののない天草の海が広がります。
朝起きてシュラフから抜け出した瞬間、そこにあるのは180度パノラマの海景色。
夜は波音をBGMに眠り、朝は潮騒で目が覚める。まさに海と一体になれるレイアウトです。
車両の乗り入れと駐車のルール

小島公園キャンプ場では、島内への車両乗り入れは原則として「荷物の搬入出時のみ」となっています。


一本道を渡った陸側に無料の駐車場があるので、設営や撤収が終わった後は、そちらへ車両を移動させるのが基本のルールです。

小島公園キャンプ場 施設の様子

施設は島内にコンパクトにまとまっており、最低限の機能が整っています。
島への入り口付近には管理棟、トイレと併設したシャワー棟が設置されており、キャンプサイトの反対側(バンガロー周辺)に炊事棟があります。
キャンプサイト側にある施設は、全サイトの中間位置(BCの間、Bの隣)に水場があります。

小島公園キャンプ場 管理棟

島へ上陸してすぐ右手側に進むと管理棟があります。
到着したら予約時の氏名を伝え、まずは受付を行います。
利用料金は事前のWEB決済で完結しているため、現地での支払いは発生しません。
注意事項の説明を受け、島内ルールをしっかりと確認し、許可を得てから設営を開始する流れとなります。
また、管理棟での販売品は「木炭」のみです。
薪や食料、飲み物などの販売はないため、必要なものはあらかじめ買い出しを済ませてから入島するのが鉄則です。
小島公園キャンプ場 炊事棟・水場

炊事棟(キャンプサイトの反対側)

画像左、プラスチック製の四角形のバケツが備え付けられている。

周りにはプラスチック製のカゴがいくつか置いてある。
キャンプサイトから島の反対側、バンガローエリア付近に屋根付きの炊事棟が1棟あります。
蛇口の隣には平らなスペースが確保されており、備え付けのプラスチック製バケツがあります。
釣った魚を下ろしたり、大きな調理器具を洗ったりするのにも十分な広さがあります。
棟の中央には大きな木製のベンチが配置されています。急な雨の際の避難に良さそうです。
炊事棟近くの水場(海側)

炊事棟からさらに海側へ向かって、炊事棟とは別に独立した水場が並んでいます。
炊事棟が混み合っている際や、海辺での作業のついでにサッと洗い物をしたい時に便利なスポットです。
キャンプサイト横の水場(Bサイト横)

キャンプサイトエリア内、BサイトとCサイトの間(厳密にはBサイト横)に、
キャンプサイト唯一の施設となる水場が設置されています。
島内のメイン施設(炊事棟やトイレ)は距離がありますが、ここだけはテントのすぐそば。
朝の洗顔や調理中のちょっとした給水など、日常的な利用であればここだけで完結するため、移動の負担を大きく減らしてくれます。
小島公園キャンプ場 トイレ

トイレは島の入り口付近に1棟あります。

手洗い場には鏡や、高い位置小物を置ける棚スペース、そして嬉しいことに石鹸も常備されています。
トイレは水洗式の洋式便座です。

小島公園キャンプ場 シャワー

このトイレ内に併設される形で男女別のシャワー室があり、コイン式で100円を投入すれば3分間利用することができます。

ただし設定は水のみとなっているため、特に気温が低い時期などは近隣の温泉施設と組み合わせて計画を立てるのが賢明です。
もし全身を流すほどではなく、足元の汚れを落とす程度でよければ、トイレ前に備え付けられている水道を利用するのが非常に便利です。

小島公園キャンプ場 灰捨て
焚き火については、焚き火台と焚き火シートを併用すれば可能となっていますが、消し炭や灰を捨てる場所は用意されていません。
そのため、基本的にはすべて持ち帰るのがルールです。
もし処理に困る場合は、念のため受付時に管理人さんへ相談してみるのがよいでしょう。
小島公園キャンプ場 ゴミはどうする?

以前は捨てることができたみたいですが、利用した時からちょうど1か月前にマナーが悪いため廃止になったとのことでした。
消し炭や灰を含め、すべてのゴミが持ち帰りとなっています。
小島公園キャンプ場 その他施設
島内にはキャンプに必要な基本設備以外にも、リゾート気分を満喫できるいくつか特徴的なスポットがあります。
バンガロー

宿泊設備としては、南向きに建てられた高床式のバンガローが3棟設置されています。
地面からの湿気や熱の影響を受けにくい構造になっており、日当たりも良好です。
テント泊とはまた違った、離島ならではの静かな夜を過ごすための選択肢として用意されています。
小島海水浴場

島へ渡る一本道の南側が『小島海水浴場』となっており、透明度の高い穏やかな海を楽しむことができます。
夏場であれば設営後、涼を取ったりするのに最適です。

えびす神社

炊事棟のすぐ隣には、鮮やかな青い屋根が目を引く『えびす神社』が鎮座しています。
Googleマップには掲載されていませんが、島内の案内板にはその名が書かれておりました。

【小島公園キャンプ場体験レポ】いざ、海を割る一本道の先へ!絶景のユートピアが「逃げ場のない」喧騒の檻へと化した夜

(40代男性バイクキャンパー 談)
数年前の九州キャンプツーリングで天草を訪れた際、視察したキャンプ場。
その独特なロケーションに心を奪われて以来、この地に来たら絶対利用したい憧れのキャンプ場となりました。
海を割ってまっすぐ伸びる海中道路。
その先に浮かぶ、わずか4サイトを有するだけの小さな島。
島全体がキャンプ場という贅沢な環境、そして調べて分かった安価な利用料。
今回の九州旅において、真っ先に予約を入れたのがこの場所でした。
それでは実際にこのキャンプ場で一泊した様子はどうだったのか…。
一晩すごした小島公園キャンプ場体験レポートをご報告します。

※道中の長崎~島原ツーリングの様子を共に辿りたい方は、このまま下へ読み進めてください。
※キャンプ場の詳細・滞在の様子をすぐに見たい方は以下のリンクから、ジャンプできます。
👉【滞在編】海を割る一本道の先へ。数年越しの再訪、小島公園キャンプ場へ悲願の上陸
【道中編】さらば長崎、いざ天草へ!船で越える県境と、スマホ熱暴走が招いた「ナビなき」タイムアタック

雲仙を背に、口之津港への南下

当日は長崎の川原大池公園キャンプ場を出発し、一路、天草を目指した。
雲仙から島原(口之津)を経てフェリーで海を渡るルート。
時間が読めない旅路ゆえ、当初予定していた雲仙観光は一切控え、島原上陸後に昼食と買い出しを済ませて早めに現地入りする計画を立てた。
長崎の中心部から国道34号を東へ。雲仙の西側の海をなぞるようにひたすら口之津港を目指す。

生鮮市場バリュー はまきや

日差しが強かったが、潮風を感じながらのライディングは心地よかった。

それにしても晴天が過ぎる。のどがカラカラ。
フェリーに乗る前に水分補給したい。
次、右がわにスーパーがあったら立ちよろうと思ってたところ、
気になってたドラッグストアが現れた。

九州はいってからやけに目についたリンゴのキャラクター。
九州独自のチェーンストアなのかな。関東では見たことがない。
食料品が意外と安く、この旅をつづける上でも収穫があった。
ドラッグストアモリ 口之津店

即時出航、さらば長崎

口之津港の受付窓口に到着するなり、係員から「すぐに出航です!」と告げられた。
島鉄フェリー口之津港
バイク250cc 1,800円

息つく暇もなく車体ごと乗船し、船は岸からみるみるうちに離れていく。
その時、ようやく遠ざかる雲仙の全景を捉えることができた。

バイクで走り抜けるのはキャンプツーリングの本懐ではあるが、こうして短い距離でも船旅を味わえるのも旅情をかき立てて良い。
やがて、対岸に鬼池港の姿が見えてきた。目には見えないところで海上の県境を越えたらしい。
あの先はもう、熊本県だ。

幻と消えた郷土料理と、炎天下のカツ丼
船上でリサーチしていた天草の郷土料理「押包丁(おしほうちょう)」。
小麦粉を練った平打ち麺の汁物という、その地ならではの味を求めてひた走った。
しかし、ようやく辿り着いた店の暖簾は無情にも下りていた。

うだるような暑さの中、冷たい水をがぶ飲みしたかったが叶わない。
スーパーの駐車場でバイクを止めると、地元の男性に声を掛けられた。
「東京から!?キャンプしに来たとですか?よかですねー!」
食いっぱぐれた「押包丁」に代わる名物がないか尋ねてみる。
「うーん、こっは何んもなかですよ。強いて言えば天草大王?そがん旨かっちもんでもなかですね(笑)」。
地元の人間にとって、あの高級地鶏さえも日常の延長に過ぎないのだろうか。
名物に旨いものなしとは言うが、なんだか肩透かしを食らった気分だった。
結局、スーパーをハシゴして手に入れたのは、名物でもなんでもない、驚安の299円カツ丼。
ダイレックス 天草店
ディスカウントスーパー 食材を調達
スーパーセンタータイヨーリンドマール店
カツ丼を仕入れたのはこちら 299円
誰もいない海沿いの公園のベンチで、灼熱の太陽を浴びながら、あつあつのカツ丼を掻き込む。

この上なくシュールな光景だ。
のんびりしてたら買い込んだ氷が溶けてしまう。キャンプ場へ直行せねば。
今釜新町公園
海に面した静かな公園。
弁当を食べるのに適した場所だった。

スマホの沈黙と、なぜだか突然始まったタイムアタック宣告

ナビに従い、無料の自動車専用道路を抜ける。
これ意味あったのかなぁ。
天草下島のウエストラインを越えたあたりで、事態は急変。
スマホが突然の熱暴走を起こし、ブラックアウト。生命線であるナビが沈黙した。
その時、暗い画面から着信音が鳴り響いた。
側道に緊急停車して電話に出ると、キャンプ場のスタッフさんからだった。
「本日利用されるかの確認です。何度かお電話したのですが…」。
時計を見ればまだ13時30分。チェックイン締切の17時までにはだいぶ余裕があるはずだが?
どうやら自分が当日利用者の『最後のひとり』らしい。
「行きます行きますあと1時間ほどで行きます着きます着かせます」。
ここまで来て予約をキャンセル扱いされてはたまらない。
頬の汗でべったり濡れたスマホをズボンで拭いた。
ここから思わぬタイムアタックが始まった。何故いつもこうなる…。
頼みの綱はやっぱり「ツーリングまっぷる」

スマホはすでに死んでいる。。
ここで救世主となったのが、もっててよかった『ツーリングまっぷる九州編』。
パニアケースに忍ばせて置いた。
アナログな地図を広げ、現在地を割り出す。
本来走りたかった『天草オレンジライン』はとっくのとうに通り過ぎていたが、代わりに入り込んだ県道34号線は、島とは思えないほど深い緑に包まれた山道だった。
視界が開け、道は心地よくうねる。

最後の最後、一度訪れたことがあるはずなのに直前で迷い、辿り着いたのは見覚えのないコインランドリーの前だった。

だが、ふと海に目をやると、そこには見覚えのある一本道と島が浮かんでいた。
あそこだったか…。
ただキャンプ場のこんな近くにコインランドリーがあったなんてラッキー♪
道を間違えた先に、洗濯の目処が立つという幸運。
不運がもたらした奇妙な縁を感じながら、私は海中道路へと駒を進めた。
【滞在編】海を割る一本道の先へ。数年越しの再訪、小島公園キャンプ場へ悲願の上陸

キャンプ島上陸っ!…したばってん
細い路地を進むと見覚えのある海の一本道。
そうそう、この道だ。
キャンプ利用者だけがバイク(車両)で渡ることを許される、島への唯一の道。

まるで海の上を走っているような、得も言われぬ高揚感。
うひょー。ついに、憧れのキャンプ場へ上陸!
あんなに急かされていた電話は何だったのかと思えば、単にスタッフさんの個人的な用事があっただけらしい。なーんだ。ははは…。
管理棟で予約氏名を告げ、受付を済ませる。
キャンプ利用の際に必ず聞く獣情報を『一応』確認した。
「けものはでらん。カラスはおるばってん。」 との答え。
獣も怖いけど、結局ヒトが一番怖いんだけどね。
サイトの空き状況を確認すると、既にBとDは埋まっていた。
残る選択肢はAかC。
「あんたバイク一人な。なら、サイトに横付けしてよかよ。」
管理人さんからの予期せぬ許可に、思わず腰に肘を当てガッツポーズをした。
運命のサイト選択
管理人さんの案内で現地を確認すると、先客はどちらのサイトもファミリーキャンパーだった。

島の外周にある歩道は狭く、バイクの横付けで圧迫する様が容易につく。
管理人さん自らが先導して案内してくれるのは有り難く心強い。
一応、双方のファミリーに挨拶を済ませ、バイク駐輪の了承を得た。
さて、AかCか。
挨拶をした際の印象が良かったDファミリーの隣、Cサイトに設営を決めた。
この「直感」による選択が、後に自分を追い詰めることになろうとは、この時はまだ知る由もなかった。
設営を終えると、目の前には遮るもののない大海原が広がっていた。
ちなみに、日光を遮るものも一切ない。

釣り竿を用意してこなかったことを悔やむほど、海が間近にある。

場内散策とぬるま湯のシャワー
まずは島内を一周。









さて汗だくとなった。シャワーへと向かう。
今日こそは温泉に、と思っていたが、そんな余裕はない。
島の人々が海水浴や釣りに興じている隙を突き、一台しか使えないシャワーブースを確保した。
水シャワーとは裏腹に、出てきたのはぬるま湯だった。
猛烈な暑さで水道管が熱せられていたのだろう。
次なるミッションは、溜まりに溜まった洗濯物の処理だ。
九州キャンプ泊4日目。吸汗速乾のTシャツはこまめに洗っていたが、問題はズボン。
正直、かなりプロっぽい匂いが漂い始めている。
生乾きの服もすべてまとめて、リセットをかけることにした。
コインランドリーという名の避暑地

先ほど見つけたコインランドリーへ、洗濯物の山を抱えて向かう。
冷房の効いた室内は、まさに別世界だった。
普通なら終わるころに取りに来るものだが、乾燥が終わるまで、そのまま居座り続けた。

乾燥機を2回転させたが、完全には乾ききらなかった。
この殺人的な暑さだ。キャンプ場のあの手すりにでも掛けておけば、まぁ、すぐに乾くだろう。
洗い立ての洗濯物をリアキャリアに括り付け、私は再び島へとバイクを走らせた。
コインランドリー
洗濯機 900円/17kg
乾燥機 100円/9分

キャンプ飯:ラウンドグリドルパン無双。『ざるちゃんぽん』の涼と『餃子』
サイトへ戻ると隣のファミリーが宴を始めていた。いい匂いが漂ってくる。
こちらも宴の支度に取りかかりますか。
今夜の献立は3品。
まずは1品目、名付けて『ざるちゃんぽん』。
長崎方面から来た名残もあり、ちゃんぽん麺をチョイス。
沖縄のキャンプ場でソーキそばを作った経験から着想を得た。

今回は鍋、ヤカンを排し、ラウンドグリドルパン一本に絞っている。

①まずは湯を沸かし、ちゃんぽん麺を投入。
②茹であがった麺を、わずかに固形で残っていた氷で一気に〆る。
③そばつゆにくぐらせ、冷たい麺を喉に流し込む。

ああ、この酷暑の中、求めていたのはこの「涼」だった。
2品目は冷凍餃子。

もはや冷凍のていをなしてはいないが、ラウンドグリドルパンの上で焼くだけなので問題ない。
100均のアルミ皿で蓋をし、もちもちして完璧な焼き上がりに…。

鍋を差し置いて持ってきた甲斐があったというものだ。大活躍だぜ。
3品目のたくあんを突きながら、氷を入れたチューハイで乾杯。
味よりも、その冷たさが火照った身体の芯に染み渡る。たくあんもね。


ふと、空の雲が赤らみ始めていたのに気づく。
しまった。ここは島の北側、決定的な夕陽の瞬間を見損なったことに気づき、急いで南側へと走る。

日は既に水平線の向こうへ潜っていたが、残照の夕焼けが海を染めていた。

完全に日が暮れた頃には洗い物も済ませ、手元には常温のお茶と溶けた氷の水だけが残った。
海を眺めようにも、そこにあるのは闇から聞こえる波の音。
もうやるべきことは何もない。暑さで意識がぼーっとする中、ただ暗い海に視線を向けて座っていた。
25時までの苦行
夜が深まるにつれ状況は一変する。
どこからともなく「一行」がぞろぞろと現れ、隣のサイトへ合流したのだ。
既に出来上がっていた隣の主が、待ってましたとばかりに息を吹き返し、「どんちゃん騒ぎ」の音頭を取り始めた。
「マジすか…。」
隣を隔てるのは、自分のテントの薄い布一枚。
海側のキャノピーを閉じ、反対側を開放して陣形を変えるが、気休めにもならない。
まだ21時だし。
まだ22時だし…?!。
終わる気配は全くない。
ビールが底をつき、焼酎の出番がきたらしい…。
万事休すだ。この時間からの焼酎は、終わりのない宴を意味する。
せめてもの抵抗を試みる。
電気を消し、テントを閉め切り睡眠アピール。…無意味だった。
彼らの世界に隣のソロキャンパーなどちっぽけな存在だった。
引きこもったテント内はメッシュ越しでも熱気がこもり、暗闇の中で延々とうちわを仰ぐ。
逃げようにも、ここは海に囲まれた小さな島。
一本道を戻って本土へ逃げる気力も行く当てもない。
苛立ちが限界に達し、私はテントを飛び出した。
時刻は23時。ふっ、と自虐的な笑いを漏らし、あの一本道のヘリに腰掛けた。

空を見上げる。そこには吸い込まれそうな満天の星空が広がっていた。

昨晩見た未確認飛行物体は見当たりなかったが、代わりに一筋の流れ星が夜空を裂いた。
神様、どうか、隣が早く寝静まりますように。
そんな切ない願いですら、24時を過ぎても「カレーが旨い!」とはしゃぐ子供たちの声に打ち砕かれた。
結局、宴を片付けるカチャカチャとした音まできっちり聞かされ、
時計の針は25時をゆうに回っていた。
脱出不可能な「喧騒の檻」の中で、私はただ胸の上で手を合わせ、テントの天井を凝視し続けるしかなかった。
熱紫線とインナーテントを襲う異形の這走蟲

テントの布地を透過する直射日光の熱を浴び、目を閉じているのに瞼の裏が紅く見えた。
温度計に目を落とす。最低気温27.8度、現在値は31.1度。
朝6:00過ぎにして、既に本日の最高気温をマークしている。

耳元では、波の音など木端微塵に粉砕するほどの勢いで、セミたちが「みんみん」と鳴き喚いていた。
その時、起きがけで開放していたインナーテントの隅から「カサカササ…」と乾いた音が響いた。
カニさんかしら?
なんとなしに視線向けた先にいたのは、驚くほど巨大なフナムシだった…。

一匹だけではない、ね。キミ、お仲間もいるの?
昨夜、メッシュ越しに感じていたあの気配の正体がこいつだったのかと思うと、全身に鳥肌が立った。中に入られたら終わりだ。次のキャンプ場でインナーテントを拡げる勇気はない。
もはや、一刻の猶予もなかった。
さんさんと照りつける太陽の下、滴り落ちる汗を拭う間もなく、一心不乱に撤収作業を進める。

撤収完了。ベンチに座り、わずかに残していた最後のお茶を喉に流し込んだ。

島からの脱出

パニアケースを締め、バイクに跨る。
ふと視線を向けると、昨夜の狂宴の主であるお隣さんと目が合った。
私は、何事もなかったかのように軽く会釈を送る。
すると向こうもまた、何事もなかったかのように会釈を返してきた。
これでいい…。
島から陸へ、あの一本道を渡る。
まさに『脱出』するような思いで、島をあとにした。

【まとめ】小島公園キャンプ場:絶景のユートピアになるか、逃げ場なき檻となるか

今回の小島キャンプ場への上陸から脱出までを振り返り、これからこの島を目指す
ソロキャンプライダーの皆様へ、私なりの実感を書き残しておきたいと思います。
実際に泊まって感じた「よかったところ」と「気になったところ」

海中道路を渡り、サイトから大海原を独り占めできる解放感は、他では決して味わえない特別なものです。
隣のキャンパーと物理的に距離を置くことは不可能です。
また、島内に日陰はなく、強烈な日差しからは逃れることはできません。
この島での滞在を充実させるためのポイント
この島を120%楽しむ、あるいは無事に一晩を過ごすためには、以下の備えを強く推奨します。
安価で、ロケーションが良く、且つ様々なアクティビティが楽しめる立地のため、地元のファミリーやグループに大変人気で賑わいます。
夜間は管理人が不在です。クワイエットタイム等は特に設けられてはいません。
ソロで静かに過ごしたい人には不向きです。
運を天にまかせるか、利用するのであれば、週末、連休を避け、平日の時間を狙うのがこの島でソロキャンプをする正解だと言えます。
隣とのサイトが近いため神経質な方は耳栓があるとよいでしょう。
精神を守る最後の術は「自ら音を遮断すること」だと痛感しました。
(私は耳栓が苦手なのでできませんが。)
また、このキャンプ場は「1サイト1テント」というルールがあり、タープを張るには2サイト分の予約が必要です。
日差しを避けるには、キャノピー(前室)を跳ね上げられるタイプのテントを選ぶのがよいでしょう。

折りたたみのポールがあるとキャンツーに便利。
こちらはツーリングドームとセットで携さえる伸縮式軽量ポール。
全体で4サイトしかないため、タープを立てるのにソロで2サイト占有するのは気が引けるのも事実です。
念のため、事前に現地へ問い合わせをすることを推奨します。
何もしない贅沢も良いものですが、目の前の海を前にすれば、釣り竿や水着を持ってこなかったことを心底悔やむことになるはずです。
コンパクトに収納できる折りたたみロッド
釣りキャンに最適。(今回は持ってこれなかった。。)
ライダーへの重要な注意点(バイク横付けについて)

ここからは大切なルールのお話です。
今回は島内利用者の中で私一人がバイクだったため、特別にバイクをサイトへ横付けする許可をいただくことができましたが、これはあくまで状況に応じた個別判断です。
必ず事前に管理人さんへ確認するようにしてください。
島内の周遊道は非常に狭く、バイク1台が通るのが限界です。
道中での離合(すれ違い)はほとんどできません。
また複数台で押し寄せるのも控えましょう。
許可がおりたとしても、歩行者の動線を妨げないよう、周りの方々への配慮を忘れず、
理解を得るようにしましょう。
終わりに:島に入っては郷に従え
安価でロケーションが良く、釣りや海水浴を心ゆくまで楽しめる。
ここは、地元のひとたちに愛される、大切な憩いの場所なのだと肌で感じました。
『キャンプ場ではこうあるべきだ』という、一般的な価値観を押し通すのはこの場所では無粋というものだと思いました。
あくまで、その場所を「利用させてもらっている」立場である、と。
初めて訪れた前回はいわば「視察」、今回2回目は覚悟を決めた「宿営」。
そして3度目は…、もっと涼しい春か秋に、できれば平日のひとけのない時を狙って、
こそっと再訪させてもらいたい―。そんな風に思える、不思議な魅力がこの島にはありました。
寝不足と熱紫線に焼かれた身体を休める間もなく、バイクを南へと走らせます。
目指すは鹿児島。
…いい加減、風呂に入りたい。
つづく



