富山での滞在(どやまらんど明日)を終えて次に向かったのは、能登半島のシンボル「軍艦島」こと
見附島(みつけじま)を望む絶景スポットでした。
今回の目的地は、石川県珠洲市にある「見附島シーサイドキャンプ場」。
実はここを訪れるのは2019年以来、2度目となります。
震災を経た2026年の再訪。
以前の記憶とうっすら重なりつつも、周辺には仮設住宅が立ち並び、
キャンプ場の区画自体は以前より縮小され、施設の復旧作業が続いている途中の姿がありました。
今回は、富山〜能登半島珠洲までのツーリングルートや買い出し情報を含め、「見附島シーサイドキャンプ場」のリアルな最新の様子を詳しくレポートします。
見附島シーサイドキャンプ場の魅力

【至高のロケーション】見附島×愛車で過ごす特別なソロキャン空間
このキャンプ場最大の魅力は、なんといっても能登のシンボル「見附島(軍艦島)」を目の前に望む圧巻のロケーションです。
追加料金(500円)を支払うことでバイクのサイト乗り入れ(横付け)が可能となり、荷物の多いツーリングでも搬入がスムーズなだけでなく、一般の観光客では絶対に味わえない「見附島と愛車」を背景にした贅沢なキャンプサイトを作り出すことができます。
日差しを遮る松林の木陰にテントを張り、心地よい波音を聴きながら愛車を眺めて過ごす時間は格別。
ツーリングの拠点としてはもちろん、旅の記憶に強く残る特別なひとときが過ごせます。
見附島シーサイドキャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2026/7 | 晴/晴 |
| 名称 | 見附島シーサイドキャンプ場 | 能登見附温泉 のとじ荘H.P |
| 場所 | 〒927-1222 石川県珠洲市宝立町鵜飼 | 0768-84-1621(のとじ荘) |
| 業態 | 公営 | 管理委託:のとじ荘 |
| ロケーション | 海辺・松林 | フレッシュライン見附公園内 |
| サイト | フリーサイト | 草地 硬 □□■□□ 柔 |
| サイト規模 | 中規模 | 震災影響により縮小 |
| 車両乗り入れ | 可 | バイク乗入可(要追加500円) ※段差あり(詳細は本文にて) |
| 営業期間 | シーズン営業(春~秋頃) | のとじ荘へ事前確認推奨 |
| 予約方法 | TEL | 0768-84-1621(のとじ荘) |
| in / out | 9:00~17:00/~12:00 | |
| 料金(利用プラン) | 2,300円 | テント1張、バイク1台、ソロ利用 |
| (内訳) | 入場料 | 800円/人 |
| サイト使用料 | 1,000円 | |
| バイク乗り入れ料 | 500円 | |
| 設備 | 受付:あり(のとじ荘) | フロントにて手続 |
| (売店:なし) | ||
| (レンタル:なし) | ||
| トイレ:あり | 1ヵ所のみ稼働中 | |
| 風呂:なし/シャワー:なし | 隣接「のとじ荘」または周辺温泉を利用 | |
| 炊事場:あり | トイレ前にある水場を利用 | |
| 灰捨て場:なし | ||
| ゴミ捨て場:なし | ゴミ袋無料支給。 撤収後のとじ荘へ持込 | |
| その他施設 | 見附島公園、海岸歩道 | 周辺に仮設住宅設置エリアあり |
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚火台&焚き火シート |
| 薪の販売 | なし | |
| 薪の現地調達状況 | 難 □□□☑□ 易 | |
| 電波状況 | 良好 | ※楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ □■□□□ ファミリー | |
| 獣・虫 | カラス | ※食品・ゴミの放置厳禁 |
| 買い出し | スーパー(ドラッグストア) | ゲンキー野々江店 約7.7km |
| コンビニ | ファミリーマート 珠洲宝立町店 約1.9km | |
| 温泉 | のとじ荘海浜 / あみだ湯 | 約0.5km / 約8.3km |
予約から受付までの流れ・注意点


予約は電話受付のみ
受付窓口(能登見附温泉 のとじ荘): 0768-84-1621
当日の流れ
「のとじ荘」のフロント(2F)へ向かい、受付をする。
会計は現金決済のみ対応。バイク乗り入れ希望であれば追加費用(500円)。
注意事項の案内を受けたのち、『利用許可証』と『ゴミ袋』を受けとり駐車場、またはキャンプサイトへ移動。
チェックアウト
撤収は翌日12:00まで。
『利用許可証』と『ゴミ』を「のとじ荘」のフロントへ渡しチェックアウトします。
見附島シーサイドキャンプ場 サイトの様子&設営のアドバイス

キャンプサイトは見附島正面から南のほうへ広がる少し離れた海沿いのエリアにあります。
松林サイトで、真夏の日差しを遮る木陰があります。
また海側であれば潮風が流れ、サイトから見附島を眺めながら過ごすことができます。


サイトの主な特徴

- サイトタイプ: フリーサイト(解放エリアにて※設営推奨エリア)
- ロケーション: 松林、海岸沿い
- 地面の状況:草土 ※根が露出
- 駐車場:見附島観光客と共用 ※サイトまで距離あり
- 車両乗り入れ: 500円で乗り入れの権利を得られるが、境界に段差があるため実質的にサイト内進入困難。導線はダートのため立ちゴケに注意!
- 焚き火ルール: 直火禁止(要焚き火台、焚き火シート)


⚠️搬入時の注意点

駐車場から持ち込みの場合、距離があり足場が悪い点に留意。
サイトまでは凹凸があり、石が敷かれたダート道。更にはサイトを囲う縁石が高いため、キャリーカートは適していません。

大装備は避け、UL装備が望ましいでしょう。
⚠️バイク乗り入れ時の注意点(実質的な進入箇所は一ヵ所?)

500円でバイクの乗り入れ許可は得られるものの、「どこからでもサイト内に入れるわけではない」点に注意が必要です。
サイトの周囲はダート道になっており、全体が拳(こぶし)大ほどの高さの縁石で囲まれています。
特に海とは反対側の縁石は段差がかなり高く、バイクでの進入は不可能です。

唯一の進入できそうなルートとして、見附島正面口に近い場所(サイトへの階段がありプラスチック製の段差スロープが設置されている箇所)があります。

導線は未舗装のダート路面となるため、積載状態での足場確保や立ちゴケには十分ご注意ください。
💡静かに過ごすためのおすすめ設営戦略
見附島の「真ん前」は絶好の撮影スポットですが、日中は観光客が頻繁に行き交うため、キャンプをするには人目が気になって落ち着かない場面もあります。

また、現在稼働している唯一のインフラ設備(トイレ兼水場)は見附島正面から駐車場の中間地点に位置しているため、その導線も確保する必要があります。
おすすめ:【見附島から少し離れた松林エリア】

観光客の視線を適度にかわしつつ、テントから見附島を眺めて静かに過ごすなら、正面から少し距離を置いた海沿いの松林エリアに設営するのがベストです。
見附島の姿を眺めながら波音に包まれたキャンプを過ごすことができます。
見附島シーサイドキャンプ場 施設・設備の実態――復旧途上にある場内環境
震災後の影響により、場内の設備や利用環境にはいくつかの大きな変更点・制限があります。
設備状況を整理しました。

見附島シーサイドキャンプ場 受付(のとじ荘フロント)

キャンプ場内に独立した管理事務所はなく、隣接する温泉宿「のとじ荘」の2階フロントで受付けと精算を行います。
なお、薪などのキャンプ用品の販売はありません。焚き火をする際は事前にホームセンターなどで調達が必要です。
見附島シーサイドキャンプ場 水場

現在稼働している独立した炊事棟はありません。
見附島正面口と駐車場の中間地点にある公衆トイレ屋外設置の水場を利用する形となります(飲用可能)。
シンクはなく蛇口がひとつあるのみですので、混雑時は譲り合って利用しましょう。

見附島シーサイドキャンプ場 トイレ

トイレは見附島正面口と駐車場の中間地点、および駐車場内の計2ヵ所に設置されています(いずれも公衆トイレ)。


どちらも水洗・洋式でウォシュレット付きなのが嬉しいポイント。
手洗い場には鏡や小物を置くスペースがあり、コンタクトレンズの着脱などにも便利です。
※なお、トイレの手洗い場で食器類などの洗い物をする行為は厳禁です。

見附島シーサイドキャンプ場 灰捨て
場内に独立した灰捨て場はありません。
灰や消し炭は完全に消火した上で、燃えるゴミとして廃棄可能だそうです。
見附島シーサイドキャンプ場 ゴミはどうする

受付時に専用のゴミ袋(黄色=燃えるゴミ/透明=缶・ビン用)を2種類受け取りチェックアウト時にフロントに預けて廃棄が可能です。
※ごみの廃棄場所は場内にはありません。
※空のガス缶などは回収不可
入浴施設
隣接する「のとじ荘」で日帰り入浴が可能です。
「のとじ荘」日帰り温泉
受付:19:00まで
料金:600円
また、車で少し走ればNHKドラマ『ラジオスター』のロケ地として有名な「海浜あみだ湯」などの入浴施設もあります。
【石川キャンプツーリング①】富山~能登(珠洲)ツーリング記|見附島シーサイドキャンプ場体験録
能登半島の先端近くに位置する絶景スポット、見附島(みつけじま)。
かつてこの地を目指し、まだ慣れない手つきでタープを張り、波音を聞きながら過ごした日の思い出が深く心に残っています。

その後、能登半島を襲った大震災。
あれから約2年半。当時巡った能登のキャンプ場の中には閉鎖を余儀なくされた場所もある中、
見附島シーサイドキャンプ場が営業を続けていることを知り、
ほっと一安心すると同時に、どこか込み上げるものがありました。
当時の思い出を胸に刻みつつ、期待とほんの少しの不安を抱えながら、再び能登半島を目指します。
震災を経た見附島、そしてキャンプ場の現状は一体どうなっているのか。
実際に再訪した「見附島シーサイドキャンプ場」で一晩を過ごしたリアルな最新体験談を、
富山から能登半島へと向かうツーリングの模様とともにお届けします。
※道中のツーリングの様子から一緒に辿りたい方は、このまま下へお進みください。
※キャンプ場の詳細や滞在の様子をすぐに確認したい方は、以下の目次からジャンプできます。
【道中編】宇奈月〜珠洲ツーリング|目指せ能登半島の先端へ
富山全域では雨予報が出ていたが、幸いにも今いる宇奈月(黒部市明日キャンプ場)周辺は雨を免れていた。
天気予報を確認すると、これから向かう能登方面は晴れとのことだ。
富山湾の向こう、水平線の霞の中に遠く見えている能登半島。目指すは、その最先端に位置する珠洲(すず)である。

天気が崩れぬうちに雨雲から逃げ切るべく、足早に滞在していたキャンプ場を後にした。
東山円筒分水槽|涼やかな湧水とスズメバチの奇襲
能登へ向かう前に、まずは昨日回りきれなかったスポットへ一つだけ寄り道することにする。
向かったのは、富山県魚津市にある「東山円筒分水槽(ひがしやまえんとうぶんすいそう)」だ。

バイクを駐車。
東京からのロングランで振動でガタついたか、ドリンクホルダーのボルトを増し締めしておかなきゃなと思いつつ工具を取り出そうとした、まさにその時だった。
「ぶぶぶぶぶぶん!!!」
凶悪な爆音とともに、巨大なスズメバチがバイクを襲来。

うへぇ、これじゃ作業どころかキーも抜けない…、とりあえず先に見学してこよう。
一旦蜂から距離を置き、分水槽へ向かうことにした。

目の前に広がる分水槽は、美しく清らかな水がコンコンと湧き出ており、溢れ出た水が描く波紋と涼やかな水音が実に心地よい。真夏のツーリングで火照った身体と気持ちを、目からも涼ませてくれる癒やしの空間だ。
パワースポットの冷気と絶景を堪能しバイクの元へ戻ってみたが、奴は相変わらずフロント周りを占領しており、飛び立つ気配は一切なかった。
このままでは出発すらできないため、意を決して積載していた三脚を手に取り、注意深くお引き取り願うことに。
なんとかスズメバチを追い払い、無事にボルトの増し締め作業を完了させた。
「ふぅ…」と大きく一息をつき、冷や汗をかいたものの無事に再出発の準備が整った。
ちなみに、いまさらながら後ろの看板に目をやると、きっちり「クマ」「ハチ」に注意という警告板が掲げてあった。
東山円筒分水槽

絶景の富山湾シーサイドラインと新たなコレクションアイテム?
魚津を離れ、爽快なシーサイドラインを目指して「新湊大橋(しんみなとおおはし)」へと向かう。
橋へと差し掛かると、ぐんぐんと空に向かって登っていく高いアプローチ道路が現れる。
そのダイナミックな勾配は、まるでジェットコースターの序盤のようで思わずテンションが上がる。

高い視界の左手には高岡市街地の街並みが広がり、右手には富山湾の美しい海と港に鎮座する「海王丸」の姿が一望できた。
新湊大橋

最高のドライブロケーションのまま富山湾沿いを快適に走り、富山屈指の定番スポット「雨晴海岸(あまはらしかいがん)」へと立ち寄る。

本来であれば富山湾越しにそびえ立つ立山連峰の雄大な姿を拝みたかったところだが、あいにくこの日はガスが出ており絶景はおあずけとなった。
外の暑さから避難するように「道の駅 雨晴」へ入ると、館内はひんやりと冷房が効いた快適な空間だった。
そこでふと、「マンホールカード売店で配布中」という気になる掲示が目に入る。
「マンホールカード…? なんだいそれは?」
気になって売店で尋ねてみると、一枚のカードを手渡された。
表面には「高岡市」と記され、雨晴海岸の風景がデザインされたマンホール蓋の写真がプリントされている。

昨日のダムカードに続き、思いがけず新たなコレクションアイテムを手にしてしまった。
「これって全国的にあるものなのか…? やばい、この調子で行くと旅の目的がまた一つ増えてしまう。」
新たな沼の予感に苦笑いしつつ、道の駅を後にする。
道の駅 雨晴

道中、氷見市内で壁面に描かれた「忍者ハットリくん」の巨大壁画を横目に走り抜け、いよいよ能登半島へと進入する。

能登半島突入|復旧への道筋とコスパ最高極上能登前寿司
山間の峠道に入り、ナビを頼りにどこをどう走っているのかも曖昧なまま、いよいよ石川県へと突入する。

頭の中は「旨い魚が食べたい」の一心だ。
途中、氷見の海鮮丼の看板に強烈に惹かれたが、ここはぐっと踏み止まる。
今回の旅の目的地はあくまで能登半島は珠洲(すず)だ。せっかくなら、目的地である奥能登の街に少しでもお金を落としたいという想いがあった。
能登島経由のルートも頭をよぎったが、現在の現地事情や道路状況の把握に不安があったため断念。そのまま能登半島の本土を一直線に進むことにした。

走るにつれて増えてくる、つぎはぎだらけのアスファルト補修跡。
しかし、バイクの車輪を取られるような大きな段差を感じるほどではない。
沿道で大きく倒壊した家屋を目にすることもなく、一見すると平静を取り戻しているかのように見えた。
途中、一ヵ所だけ自然渋滞に巻き込まれたものの、大きな支障もなくスムーズに走破。昼食のアテとした目的地である能登町(宇出津)の「もりもり寿し 能登総本店」に到着した。

店内に一歩足を踏み入れると、パリッと清潔な白い正装を纏った店員さんに丁寧な接客でカウンター席へと案内された。
目の前には回転レーンが流れているものの、その内側では職人さんが目の前で丁寧に握りを手仕込みしている。
「ここ、回転寿司屋だったのか?」
店内は一般的な回転寿司チェーン店とは一線を画す、落ち着いた高級感のある佇まいだ。
迷うことなく、お得なランチセットを注文。

次の目的地をナビにセットする間もないほどの素早さで、色鮮やかな寿司が盛られた皿が目の前に差し出された。

一貫口に運ぶ。ネタの新鮮さ、色艶、脂の乗り…文句なしにめちゃくちゃ旨い。
能登の海の幸が凝縮された絶品寿司を心ゆくまで堪能する。

そして驚くべきは、このクオリティでランチセット1,580円という圧倒的コスパ!
能登の寿司文化のハイレベルさに、ただただ深く感心させられた。
もりもり寿し 能登総本店
平日限定おまかせ握り10貫みそ汁付 \1,580

巨大なイカに食べられる放浪キャンパー
絶品寿司に大満足した後は、さらに能登町を北上する。
富山エリアでは今頃激しい雨が降っているのかもしれないが、こちらは完全なピーカン。
直射日光がまるで熱線のように肌に刺さり、ジリジリと体力を削っていく暑さだ。
道中、「真脇遺跡(まわきいせき)」という歴史スポットがあるようだが、あいにく本日は休館日のようだった。
ならばと、どこかで耳にしたことのある話題のスポット「イカキング」を一目拝んでいくことにする。
公園の広場に置かれているのを想像していたが、到着したのは「イカの駅つくモール」という観光施設。
その店先にドーンと居座っていたのは、想像以上にリアルで生々しい巨大なイカのオブジェだった。

「うわ。この造形、リアルすぎる…!」
さっそく愛車を近くに寄せ、その巨体とバイクを一緒にフレームへ収めて写真をパシャリ。
撮影を終えてシートに跨がり出発しようとしたその時、観光バスからゾロゾロと賑やかな団体客のご一行が降りてきた。
何気なくバックミラー越しにその様子を眺めていて、驚愕する。
なんと、イカキングの下をくぐり抜け、その「口」の部分からひょっこり顔をのぞかせて記念撮影ができる構造になっていたのだ!
「んんっなんと、そんな仕掛けがあったのかぁ…!」
思わず心の声が漏れて口に出てしまったのだが、運悪く(いや、運良くと言うべきか)近くにいた観光客のグループにバッチリ聞こえてしまっていた。
「あら! せっかくだからお兄さんも撮ってあげるわよ!」
親切な申し出を断る術もなく、大勢の観光客の熱い視線を一身に浴びながら、イカキングの口から顔を出してパチリ。
満面の笑み…とはいかず、どこかぎこちない微妙な笑みを浮かべた放浪キャンパーの姿がそこに記録された。

気恥ずかしさに包まれつつも丁寧にお礼を述べ、そそくさとその場を後にした。
この後は途中いくつか気になるスポットもあったが、この殺人的な暑さ。
「一番の絶景と体験は本命の見附島にあり!」と、寄り道を切り上げて一気にキャンプ場を目指すことにした。
イカキング

【滞在編】見附島シーサイドキャンプ場体験録

灼熱のツーリングを乗り越え、ついに本日の目的地である見附島周辺へと到着した。
予約した際、電話口で「受付はノトジゾウにて行なってください」と案内されていた。
ノトジゾウ…? はて、『能登地蔵』なんてスポットが近くにあっただろうか?
当時の記憶を思い起こすも、まるで思い出せない。
既にキャンプ場の敷地付近へ到達し、ナビの案内も終了してしまった。
どこで手続きをすれば良いのかとうろうろしていると、キャンプ場駐車場のすぐ近くに
「のとじ荘 キャンプ受付」という案内看板を発見した。

あ…『のとじ荘』か。
「能登地蔵」ではなく、隣接する温泉宿「のとじ荘」のことだったのだと、ここでようやく聞き違いに気がついたのだった。
のとじ荘での受付|震災後のリアルなサイト案内

勘違いに苦笑いしつつ、「のとじ荘」のエントランスを潜る。

館内に入ると「温泉」と「キャンプ受付」を示す案内矢印があり、指示に従ってエレベーターで2階の受付フロントへと向かった。
エレベーターを降りると、そこには空調のしっかり効いた快適な空間と、ガラス窓の向こうに青い海がちらりと見えた。

ヘルメットを脱ぎ、全身にべっとりと汗をまとった状態でその涼しさに包まれると、
「あぁ、もう今日はここに泊まりたいかも…」という甘えた思考が一瞬脳裏をよぎる。
しかし、スタッフの方から利用申請書を手渡され、すぐさまソロキャンパーとしての我を取り戻した。
「バイクの乗り入れはご利用されますか?」
昨晩は設備整う屋内サイトで楽をしてしまった反動か、せっかくなら愛車とキャンプを楽しみたいと迷わず即決。追加料金を払い、乗り入れの手続きを完了させた。
受付では、場内の設営エリアについて丁寧な説明を受けた。
手渡された白黒のマップには、鉛筆で囲まれた開放エリアが示されている。

スタッフの方によると、震災の影響により現在正常に稼働しているインフラ設備は、見附島正面口近くにある公衆トイレと水場のみとのこと。
「海沿いの奥側のエリアも設営自体を禁止にしてはいませんが、水回りから距離が離れすぎてしまう点と、現在周辺に仮設住宅が立ち並んでいるため、あまりおすすめはしていません」
と、現地のリアルな状況を教えてくれた。
あわせて近隣の買い出しスポットなどの情報も教えてもらい、受付が完了。
さて、準備は整った。
実に7年ぶりとなる再訪――「見附島シーサイドキャンプ場」のサイトへ、いざ向かうとしよう!
乗入アタック失敗と設営場所探し
先ほど通り過ぎた見附島の観光客用駐車場へとバイクを滑り込ませる。

ここからキャンプエリアへ乗り入れるのだが、サイトへと続く導線は想像以上に深い石砂利のダート道だった。
この深い砂利道に囲まれているエリアこそが、先ほど案内にあった現在開放されているキャンプサイトだ。
まずはサイトの位置関係を確かめつつ、目の前に現れた能登のシンボル「見附島」へと向かった。

絶景の撮影スポットということもあり、断続的に観光客が訪れては写真を収めている。
「あぁこの景色…? でも、なんとなく違う気もするような…」
久しぶりの見附島を前に若干の違和感を覚える。
近くには以前なかったはずの真っ赤な「LOVE」の文字を象ったオブジェが設置されていた。

まぁ、見附島は今晩一晩中ずっと眺められる。
サッと記念撮影を済ませ、本日の設営場所選びに取りかかることにした。
先ほど通過した深砂利のダートを伝いながら、サイトの周囲をぐるりと一周してみる。
あれえ、当時の記憶が全く思い出せない。まるで初見のキャンプ場のような感覚。
ダート道からサイト側を覗くと、全体を囲む縁石の段差があまりにも高く、どこをどう見渡してもバイクで乗り入れられるような導線が見当たらない。


乗り入れ料金支払ってるんだけども…。
首をかしげながら一周し、見附島正面口の近くまで戻ってきたところで、3段ほどの階段にプラスチック製の段差スロープが設置されている場所を発見した。

一部は落ち葉に隠れて見えにくくなっていたが、なるほど、どうやらここから進入する構造らしい。
「よし、ここから一点突破か!」
意を決し、ハンターカブのアクセルをひねって段差へアタック!…したものの、見事に失敗。。

1段目、2段目までは勢いよく乗り越えたものの、最上段だけ落ち葉が堆積していただけで、段差スロープがなかったのだ。そのままトラクションがかからず身動きが取れなくなってしまった。
幸いにも車体底部を擦ってはいないようだが、下手に粘って深追いすれば転倒や破損など致命傷になりかねない。
車体が段差で浮いているためサイドスタンドすら立てられないという、非常に危なげな姿勢のまま、
なんとか車体を降りる。
慎重に車体を押し引きして取り回し、乗り入れ進入をあっさりと諦めることにした。
ここってオフ車限定のバイク乗入なのか??
段差スロープのある近辺は石枠で囲まれた場内唯一の区画エリアのようになっていた。
バイクをここに停め設営地候補にどうかと思案したが、見附島正面近くのため、いかんせん観光客の往来が激しく、人目が気になる。

そこで、視界を少しずらした海沿いのエリアへ張ることに決めた。
ちょうど程よい木陰を作り出す松の木があり、その下にはベンチがポツンとひとつ設置されている。
テントを置いても見附島の雄姿がバッチリ目に入る最高のロケーションだ。

「よし、ここを今夜の宿営地とする!」
松の根を避け、試行錯誤の末、能登の海風と波音を間近に感じられる拠点が決まった。

サイト吟味で一度周回したものの、設営前に改めて場内をじっくり探索してみることにする。
まずは今から7年前、2019年に初めてここを訪れた時に自分が設営した場所を探してみる。

「たしか、この辺りだっただろうか…?」と記憶を頼りにその場所を眺めてみるが、あまりに遠い記憶だからか、それとも景色そのものが変わってしまったのか、まったく確証が得られない。
かつて幕を張ったであろうその場所には、現在ポケモンのモニュメントがポツンと佇んでいた。

続いて、駐車場側の砂利道外周を歩いてみると、一棟の木製の建物が目に入る。
現在は完全に閉鎖されており、窓から中を窺い知ることもできなかったが、おそらく震災前に使われていたかつての炊事棟や管理施設なのだろう。
ここが使えればキャンパーとしては遥かに便利なのだが、事情を考えればこればかりは仕方のないことだ。

一通り探索を終えて自分の拠点へと戻り、木陰のベンチに腰掛けて今晩の買い出し情報を調べることにした。
事前に目星をつけていた地元のスーパーを検索してみると、まさかの「定休日」であることが発覚。
慌てて別のスーパーを探すも、ここからそこそこの距離がある上、このエリアのスーパーはどこも閉店時間が「18:00」と非常に早い。
腕時計に目をやると、現在時刻は既に17:00を回っていた。
今から急いで買い出しに向かうべきか一瞬迷ったが、自分の中で絶対に譲れない優先タスクがあった。 それは、どうしてもこの旅で訪れたかった「銭湯」へ行くことだ。
「よし、まずは何よりも銭湯を堪能しよう。晩飯は最悪、コンビニ飯に頼ればいい」
そう決めて、夕刻になってもまだ観光客が断続的に訪れる見附島を一旦後にすることにした。
ドラマ『ラジオスター』のロケ地「海浜あみだ湯」と斬新すぎる外気浴
キャンプ場から国道249号を北上し、海側へとバイクを走らせる。

若山川に架かる橋へ差し掛かると、橋の端には色鮮やかな恵比寿様と灯籠がずらりと並んでいた。
何か特別な観光地へ向かっているかのような独特の雰囲気を感じつつ橋を渡り、目当ての銭湯「海浜あみだ湯」に到着した。

実はここ、ドラマ『ラジオスター』に登場する「すずの湯」のロケ地となった場所なのだ。
今回の北陸遠征を前に熱心に観ていたドラマだけに、その空気感を体感すべく「絶対立ち寄るスポット」として心に決めていたのだった。
建物自体の外観はドラマのものとは多少異なるものの、入口にはしっかりと『すずの湯』と書かれた看板が置かれている。

「ここがまさにあの場所だったんだ…!」という証を確認し、高揚感とともに中へ足を踏み入れた。

靴を下駄箱へ収めると、すぐ右手には昔ながらの番台。入浴券は券売機で購入するシステムだ。
入浴料は500円という、実にありがたい銭湯価格。さっそく500円玉を投入するも、新硬貨だったためか何度もチャリンと返却されて首を傾げてしまう。見かねた番頭のお姉さんがすぐさま旧硬貨に交換してくれ、無事に券を購入することができた。

自前のタオルを1枚手に取り、期待を胸に浴室へ入ると、そこにはなんとも味わい深い空間が広がっていた。
レトロな風情が漂う洗い場と、その反対側には綺麗な翡翠(ヒスイ)色の湯船。
驚いたことに浴室は2階建て構造になっており、2階へ上がるとガラス窓越しに能登の海を一望できる。
掛け湯をして一通り場内を見て回ると、最奥に「サウナ」があるのを発見した。
予期せぬサウナの存在に思わず心の中でガッツポーズ。いざ入ろうと扉を見ると
「サウナマット(専用タオル)を敷いてご利用ください」との注意書きが目に入る。
「なにーっ!? 番台でもらってくるシステムだったのか…?」
まさかタオル一枚、半裸のまま番台まで戻るわけにもいかない。
脱衣場へ戻り、濡れた身体にへばりつくパンツを引き上げていると、棚の上にサウナ専用の黄色いタオルが積み重ねて置いてあった。
準備を整えていざサウナ室へ。
こじんまりとした室内だが室内温度はバッチリ高く、じわじわと心地よい汗がダラダラと流れ落ちていく。 室内には時計がないため、テレビに映る大相撲の取組を4番終わるのをじっと見届けてから室外へ出た。
水風呂はキンキンとまではいかないものの、サウナで火照った身体をクールダウンするには十分な心地よさだ。
ふと横を見ると、外へ通じる謎の扉がある。 「従業員用の裏口かな?」と思いつつ眺めていると、なんと外から裸の男性がスリッパを脱いで入ってきた。
「おぉ、ここで外気浴ができるのか…!」
勝手を理解し、脱ぎ捨ててあった2足のスリッパの1足をつっかけて扉を開けてみる。
…と、そこはなんと普通に「公道」だった。
右を見ても左を見ても、フツーにアスファルトの道路。
股間にあてたタオルがひらひらと海風で煽られる。
全裸でここに立っていて本当にいいのか…!?と思いつつも、目の前の圧倒的な解放感に思わず笑ってしまう。
サウナを2セット満喫した後は、2階の湯船へ移動。
少しくすんだガラス窓の向こうに、夕暮れ近い海が広がる。
窓枠に張られた蜘蛛の巣に引っかかり、潮風を受けていつまでもくるくると回り続けているタンポポの綿毛を、湯に浸かりながらただただぼんやりと眺めていた。
すっかり長湯を楽しみ、浴室を離れてロビーへと向かう。

ソファーに腰を下ろすと、奥の間には畳敷きの床の間のようになっており、どこか田舎の親戚の家に帰ってきたかのような懐かしさに包まれる。

ふと机の上に目をやると、地元ラジオへのメッセージカードと投稿ボックスがそっと置いてあった。
建物の見た目から内観まで、何から何までドラマと完全に一致しているわけではなかったが、
確かにそこにドラマでみた片鱗を感じ取ることができた。

それ以上に、この土地ならではの空気感とディープなローカル文化を全身で味わえたことが、何より最高の体験となった。
銭湯を後にすると、ちょうど仕事終わりの地元住民たちが続々と吸い込まれていくところだった。
地域に愛されている「海浜あみだ湯」。
わざわざ足を延ばして本当に良かったと思える、忘れられない一湯となった。
海浜あみだ湯
入浴料 500円
営業時間 14:00~21:00

超絶破格GENKY!北陸ツーリング最強の補給基地を発見

風呂上がり、晩飯の買い出しはどうしようか、と思案しながらバイクを走らせていると、
「GENKY(ゲンキー)」という看板が目に飛び込んできた。
地元のドラッグストアか。まぁ、氷くらいは売っているだろう。
正直そこまで期待もせずに店内へ足を踏み入れたのだが、想像以上に広々としたフロアが広がっていた。
吸い寄せられるように店内奥の弁当売り場へ向かい、その価格表示を見て思わず二度見…そして驚愕した。
なんと、300円でお釣りが出る価格の弁当がズラリと並んでいるのだ。
しかも、そこからさらに「値引きシール」まで貼られているではないか。
「うそだろ、どんだけ安いんだここ…!?」
どれにしようかと目移りしながら迷っていたその時、現場帰りと思われる作業服を着た男性の一行がどやどやと雪崩れ込んできた。陳列された弁当たちが次々となくなっていく。
もはや悩んでいる猶予はないと判断し、咄嗟に値引きシールが貼られた「お稲荷さん」を確保した。
🛒 ゲンキーでGETした戦利品一覧(税別)
- いなり寿司:199円(さらにここから20%引き!)
- 氷(1kg): 99円(ソロキャンにピッタリなジャストサイズ)
- スポーツドリンク(2ℓ): 98円(殺人的な暑さの水分補給)
- コーラ:89円(嗜好品)
- アイスコーヒー無糖:108円(嗜好品)
- ドーナッツ:99円(ご褒美)
- レジ袋: 無料配布!(今時なんと大きめのビニール袋を無料で付けてくれる)
規格外の価格設定だ。 おまけに有料化が当たり前のこの時代に、大きめのレジ袋が無料でもらえるという太っ腹ぶりにも感動してしまった。
たまたま飛び込んだドラッグストアが、まさかこれほどまでに充実した店だったとは…。
これは今後の北陸ツーリングにおける、間違いなく最強の補給基地になる、と晩飯以上の大きな収穫を得て大満足で店を後にしたのだった。
ゲンキー 野々江店

乗り入れ作戦 サイトへ再度アタック!
ゲンキーでの買い出しを終え、帰り道は国道を避け、あえて海沿いの細い道をチョイスした。
海沿いとはいえ実際に海が見えるのは遥か遠くで、基本的には静かな住宅街をどこまでも突き進んでいくルートだった。
ふと西の空を見ると、茜色の綺麗な夕陽が静かに沈みかけていた。
どこかノスタルジックな情景に包まれながら、のんびりと愛車を走らせる。

キャンプ場へと戻ると、昼間あれほど賑わっていた観光客の姿が一気に引き去っていた。

静まり返った浜辺で、ここに来てついに能登の象徴「見附島」を完全独占できた。

見附島を背景に、静かな海辺で愛車の写真を心ゆくまで撮影する。
これぞまさに、この場所に泊まるキャンパーだけに許された最高の特権であり、贅沢の極みと言えるだろう。
ひとしきり撮影を満喫した後、設営場所まで戻り、改めてバイクの乗り入れを試みる。
…が、やはりどう見ても高い縁石の段差が立ちはだかり、そのままでは到底進入できそうにない。
うーむ、何か手はないか…?
あごを触りながら思考を巡らせた瞬間、先ほどアタックに失敗した見附島正面口にあった「プラスチック製の段差スロープ」の存在が頭に浮かんだ。
そうだ! あのスロープをちょいと拝借してくればいいんじゃないか!?
さっそく歩いて向かい、スロープを持ち上げてみるとプラスチック製のため軽々持ち運ぶことができた。 自分の設営ポイントの縁石へとスロープをセットする。

見渡す限り、今夜のサイトはどうやら自分ひとりの「完ソロ」のようだが、かといって導線上にバイクを放置して塞いでしまうわけにはいかない。 足場は深砂利でかなり悪かったが、慎重に車体の向きを整え、意を決してアクセルを軽くひねる。
よしっ…、進入成功!
スロープを乗り越え、無事に愛車をテントのすぐ隣へと横付けすることができた。 苦労した分、自分の城(サイト)に収まった愛車の姿を眺める満足感は一塩だった。

夜の海に浮かぶ難波船?
木陰のベンチに腰掛け、ゲンキーで手に入れた戦利品たちをずらりと並べる。

静まり返った海のほうから、心地よい冷たさを含んだ潮風が静かに吹き抜けていく。
よし、これなら熱帯夜からは逃れられそうだ。どうやら今夜は、持参してきたハンディファンのお世話にならずに済みそうだと胸をなでおろした。
ゲンキーで買ったロックアイスの封を切り、愛用のタンブラーへ入れようとした…その時だった。
あれ…? タンブラーがない!?
シートバッグの中をどれだけ探しても見当たらない。
しまった…宇奈月のキャンプ場に忘れてきたか?
前泊したキャンプ場に忘れてきた缶ホルダー


- 【裏技】ファン本体を分離してモバイルバッテリーに直挿し可能!(超軽量ミニマム仕様に)
- 角度調整×5段階風量で、倒した状態でも欲しい場所へしっかり送風
- 夏のソロキャンプやツーリングに最適
北陸ツーリングが始まったばかりというこのタイミングで、真夏のキャンプに欠かせない最重要アイテムがまさかの途中脱落。
ショックは大きかったが、落ち込んでいても始まらない。
明日朝イチでキャンプ場に電話確認して、見つかったら旅の最終日にでも回収に行こう、と割り切ることにした。

気を取り直し、代わりに600mlのステンレス保冷ボトルをグラス代わりに代用する。
そこへ氷をぎっしり詰め込み、キンキンに冷えたコーラを並々と注いで喉へと一気に流し込んだ。
うっま…!!
真夏の炎天下を走り抜けた一日の疲労が、シュワシュワとした炭酸とともに一気に溶けていくようだ。 ゲンキーでGETした20%引きのお稲荷さんも実に旨い。
酒なし、質素で控えめな夕食ではあったが、猛暑で少々夏バテ気味の胃袋にはこれくらいがちょうど良かった。
食後のコーラを飲み干し、氷の残るボトルへアイスコーヒーを注ぎ入れる。
デザートのドーナツをほう張りながらぼんやりと海を眺めていると、視界の端に何かが「ぼおっ」と白く浮き上がっているのが見えた。
ん…? なんだありゃ…?
目を凝らしてみると、それは漆黒の闇に包まれた黒い海の上にぽつんと白く浮かび上がる「見附島」の姿だった。

日中の青空の下で見せる姿とはまったく異なり、月明かりの僅かな光を浴びたその姿は、まるで夜の海を漂う「難破船」のような独特で異様な雰囲気を醸し出していた。
波音だけが響く静寂の中、ちょっと背筋が凍るような感じがした。
よし、そろそろ寝るとするか。
テントに入り、テント内の温度計に目をやると、なんと画面に一匹のセミがちょこんと留まっていた。 表示されている気温は26.4℃。 日中の最高気温36℃という殺人的な猛暑に比べれば遥かに涼しく、今夜は身もだえることなく快適に眠れそうだ。
温度計のセミにお引き取り願おうとそっと指を差し出すと、ジジジッ!と短く鳴いて松林へ飛び去っていった。

モーニングコールはカラスの点呼?│撤収、見附島からの旅立ち
翌朝、外のやけに賑やかな気配と大騒ぎする声で、セットしていた目覚まし時計よりも早く目が覚めた。
どうやら、テントの周囲をカラスの大群が占拠しているらしい。
朝から元気だな…、と寝ぼけ眼のままシュラフの中で転がり、テントの天井をぼんやりと見上げていた時のことだ。
テントの外から聞こえてくる鳴き声のパターンに、ふと違和感を覚えた。

カァ① ➔ カァ②
カァ① ➔ カァ③
カァ① ➔ カァ④
カァ① ➔ …(無言)
ガァ!① ➔ かぁ⑤
え、これ…もしかしてカラスが朝の点呼とってるのか……!?
しかも、返事をしなかった隊員に対して「ガァ!!」と強い口調で返事を促し、慌てて「かぁ」と返事をさせているようにしか聞こえない。
あまりにも規律めいたやり取りに可笑しくなり、その現場をこの目で確かめようとテントのジッパーを開けて外を覗き込んだ。
…と同時に、気配を察知したカラスたちはバタバタバタッと一斉に羽ばたき、あっという間に散会していってしまった。 真相は闇の中だが、能登のカラス社会の厳しい上下関係を垣間見た気がした。
ふと海の方へ目をやると、見附島の向こうから朝日が少し昇ったところだった。 静かな海を照らす朝日が実に神々しい。

日中の灼熱地獄がやってくる前に、涼しいうちにサクッと撤収を済ませてしまおう。
テントを畳み、荷物をシートバッグへッキングしていく。

撤収をすべて終えた頃、まるで狙い澄ましたかのように太陽がさんさんと強烈な日差しを照らし始め、一気に気温が上がりだした。間一髪セーフだった。
昨日苦労してセットした段差スロープを慎重に使い、バイクをサイトから無事におろす。
借りていたスロープを元の場所へと丁寧に戻し、完全撤収完了だ。
さて、今日も今日とてキャンプツーリング。能登半島の残り半周に向けて出発しようか。
ヘルメットのシールドを下ろし、エンジンを始動。
青空広がる能登の道へ、走り出したのだった。

【まとめ】震災を経て変わった風景、そして歩みを進める能登のいま
今回は、実に6年ぶりとなる「見附島シーサイドキャンプ場」への再訪となりました。
久しぶりにこの地に立ち、実際にテントを張って一晩を過ごす中で、震災前後の変化や被災地が抱えるリアルな現状を肌で感じることとなりました。 ここでは今回の滞在を通じて、特に強くお伝えしたいポイントについてまとめます。
キャンプ場のエリア縮小と見通せない完全再開
かつて訪れた際は広々としたフリーサイトが全体に広がっていましたが、現在は利用できる(推奨される)エリアが縮小しています。
炊事場やトイレなどのインフラ設備も特定の1ヵ所のみの運用となっており、復旧の手がまだ完全には行き届いていない印象を強く受けました。
変貌した見附島――「船首」の鋭角さを失った軍艦

何より衝撃的だったのが、目の前にそびえる「見附島」そのものの変化でした。

「なんとなく雰囲気が違うなぁ」と思い、過去の写真と見比べてみると、かつて「軍艦島」の異名をとった最大の魅力である「船首(帆先)のような突き出た鋭角さ」が失われていることに気づきました。 角が削れ、全体的に丸みを帯びたシルエットへと姿を変えてしまった印象です。
見附島シーサイドキャンプ場 訪問時の心得&注意点
- サイトの制限: 利用可能エリアや設備が限られているため、事前に最新情報の確認が必須です。
- 乗り入れ時の注意: 砂利が多く凹凸があるため、バイクの取り回しや立ちごけには注意が必要です。また、乗り入れの際は進入口を事前に確認することをおすすめします(※段差スロープなしでは乗り入れは実質不可と心得ましょう)。
- カラスに注意: 松林はカラスのたまり場となっています。ゴミ袋は外に出さず、テントを離れる際は十分な注意が必要です。
- 買い出しは早めに: 奥能登エリアは18:00前に閉まる店舗が多いため、薪や食料などは計画的な買い出しを推奨します。
最後に
受付で設営の説明を受けた際、限定的に再開しているというお話を伺いました。
震災時、3mを超える津波が押し寄せ、それ以降キャンプ場の施設は壊れたままだといいます。
「黒い海でした…」という言葉がとても印象に残りました。
生活インフラや住宅の再建が最優先される中で、キャンプツーリングのようなレジャー・観光施設に資金や人手が回ってくるのは、どうしても後回しにならざるを得ないのが厳しい現実なのだそうです。
完全再開への道のりはまだまだ遠そうですが、それでも限定的とはいえ営業を再開し、キャンパーを温かく迎え入れてくださっている関係者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
形を変えた見附島もまた、これからの新しい能登の歴史を刻んでいく大切な象徴なのだと感じます。
変わってしまった部分を惜しむだけでなく、「いま」の能登の姿をその目に焼き付け、実際に足を運ぶことこそが、私達ツーリングキャンパーにできる一番の応援になるのではないかと思いました。

〜北陸キャンプツーリング#3へつづく〜




