中国一周キャンプツーリング、第9夜。
雲に覆われる大山を横目にバイクを走らせ、次なる目的地として向かったのは岡山県の蒜山(ひるぜん)です。
利用したのは、高いホスピタリティに定評のある休暇村が運営するキャンプ場。
一番安い持込サイトでも、休暇村ブランドなら安心だろう、――そう高を括っていた私を待ち受けていたその実態とは…。
本記事では、大山からのツーリングの様子と、休暇村蒜山高原キャンプ場でのリアルな滞在体験をレポートします。
休暇村蒜山高原キャンプ場の魅力

「蒜山」という、最高の立地
大山を堪能したライダーが、次に目指すお約束のルートといえば「蒜山」でしょう。
名峰・大山の荒々しく雄大な姿を背に、蒜山大山スカイラインを駆け抜けた先にあるこの地は、
関西・中国地方屈指のツーリングの聖地。
なだらかな蒜山三座を仰ぎ見ながら、その“蒜山”の名がつく地でテントを張れる経験は、ここでしか味わえない魅力といえます。
「休暇村」というブランドによる管理体制

そして何より、このキャンプ場を管理・運営しているのが「休暇村」であるという点です。
全国の国立・国定公園を中心に展開する休暇村グループの施設は、一般的に設備のクオリティや管理体制の高さに定評があります。
景観の良い立地、高規格な施設や温泉など、大手が運営するキャンプ場ならではの安定したサービスを期待して、この地を選ぶキャンパーも少なくありません。
一般財団法人休暇村協会 設立目的
本協会は、国立公園、国定公園等の利用及び保健休養のための宿泊施設を核とした休暇村を、良質なサービスと適正な料金で一般の利用に供するとともに、自然とのふれあい及び保健休養に資するその他の事業を行うことにより、人と自然が共生する地域の振興及び健康で文化的な生活の増進に寄与することを目的とする。
(一般財団法人休暇村協会「財団概要」より引用)
休暇村蒜山高原キャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2025/10 | 曇り・大雨/雨 |
| 名称 | 蒜山高原キャンプ場 | 休暇村蒜山高原公式H.P |
| 場所 | 〒717-0602 岡山県真庭市蒜山上福田 | 0867-66-2501 |
| 業態 | 公設民営 | 一般財団法人 休暇村協会 |
| ロケーション | 高原 | 大山隠岐国立公園 |
| サイト | 区画、オート区画サイト 他 | 芝 硬 □□□☑□ 柔 |
| サイト規模 | 大規模 | 109区画 |
| 車両乗り入れ | 不可 | ※オートサイト除く |
| 営業期間 | 冬季を除く無休営業 | ※冬季期間:12月~4月後半 |
| 予約方法 | 専用サイトから申し込み | 休暇村蒜山高原公式H.P |
| in / out | 13:00~17:00/~11:00 | ※17:00以降はホテルにて受付 |
| 料金(利用プラン) | 2,100円 | 持込区画サイト利用 |
| (内訳) | サイト使用料 | 1,500円 |
| 入場料(管理費) | 600円/名 | |
| 駐車料金 | なし | |
| 設備 | 管理棟:あり | 13:00~17:00 ※平日は閉鎖 |
| (売店:あり) | ― | |
| (レンタル:あり) | BBQコンロや焚き火台など豊富 | |
| トイレ:あり | 水洗洋式、和式 | |
| 風呂:なし/シャワー:あり | 300円/10分 15:00〜19:00 | |
| 炊事棟:あり | 場所によりお湯使用可 | |
| 灰捨て場:あり | 8:30〜11:00 | |
| ゴミ捨て場:あり | 無料(各種廃棄可)8:30〜11:00 | |
| その他施設 | 水辺の植物園、キャンプファイヤー | |
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚火シート |
| 薪の販売 | あり | ― |
| 薪の現地調達状況 | 国立公園内のため不可 | 難 □□□□□ 易 |
| 電波状況 | 普通 | 楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ□□□☑□ ファミリー | |
| 獣・虫 | ― | |
| 買い出し | スーパーマーケット | スーパーヒルセン 約5.6km |
| コンビニ | セブン-イレブン 蒜山上福田店 約3.9km | |
| 温泉 | 休暇村本館天然ラドン温泉 高原の湯 | 約2.0km |
休暇村蒜山高原キャンプ場 予約はどうする
予約の基本ルール
休暇村蒜山高原キャンプ場を利用する際は、公式サイトからのオンラインによる事前予約制となっています。
WEB予約👉 休暇村蒜山高原公式H.P
- ネット予約のみ: 必ず公式の予約システムから手続きを行う必要があります。
- 予約開始のタイミング: 予約は利用日の6ヶ月前の翌日から受付が開始されます。
キャンセル規定
休暇村の共通約款に基づき、直前の取り消しにはキャンセル料が発生します。
- 7日前から発生: 利用日の7日前から前日までが20%、当日および不泊(無連絡)の場合は50%のキャンセル料が発生します。
その他の注意点・お得な情報
現地に到着してから慌てないために、平日の受付場所や会員特典も事前にチェックしておきましょう。
土日祝やハイシーズンはキャンプ場内のキャンプセンター(管理棟)で直接チェックインができますが、
平日に利用する場合は、キャンプ場ではなく「休暇村蒜山高原の本館フロント」が受付窓口になります。
休暇村蒜山高原キャンプ場 サイトの様子


主な特徴(共通事項)
- サイトタイプ: 持込区画サイト16、オートサイト65+23、常設テント(ロッジ型テント)5
- サイト規模: 全109区画
- エリア:管理棟を境に南(持込・オート・常設)、北(オート)に分かれる
- ロケーション: 高原
- 地面の状況: 芝
- 車両乗り入れ: オートサイト以外は各専用駐車場あり
- 焚き火ルール: 直火不可(要焚き火台焚き火シート)

各サイトの様子
敷地内は全109区画と非常に大規模で、スタイルに合わせ大きく分けて以下の3つのサイトタイプから選ぶことができます。
持込区画サイト: 16区画

- 特徴: キャンプセンター(管理棟)のある丘陵から下った先にある、開放的な芝の広場。
- 注意点: 車両の乗り入れはできません。専用駐車場から用意されているリヤカーを用いて荷物を搬入。

オートサイト(全88区画)

キャンプセンター(管理棟)を境に、大きく「南エリア」と「北エリア」の2つに分かれています。

【南エリア(#1〜#65)】の特徴

- 特徴1:キャンプ場のメインとなる広大なエリア。サニタリー棟を中心として扇状に広がっている。
- 特徴2:通常のオートサイトに加え、AC電源付きサイトが他に用意されている。
【北エリア(#101〜#125)】の特徴

- 特徴1:南エリアとは対照的に、奥まった森の中といった雰囲気が漂うエリア。
- 特徴2:周囲が静かで落ち着いており、プライベート感を重視したいキャンパーにはおススメ。
常設テント(ロッジ型テント)

- 特徴1:#67〜#71の計5区画が一つのエリアに集約されている。
- 特徴1:天井が高く居住性に優れたロッジ型テントが常設。
- 注意点:オートサイトではないため車両乗入不可。荷物の搬入や駐車の際は、専用の駐車場を利用。


休暇村蒜山高原キャンプ場 施設の様子
場内のインフラは、主要な機能が集まる「キャンプセンター」や「サニタリー棟」を中心とし、
各サイトエリアにそれぞれ炊事棟とトイレがバランスよく分散配置されています。
キャンプセンター(管理棟)

キャンプ場の中心に位置し、滞在中のさまざまな手続きやサポートを行う総合施設です。

- 利用時間:13:00~17:00
- 主な設備: 受付カウンター、売店、レンタル品の貸出窓口、コインシャワー室、トイレ、コインランドリー。
- 平日の受付について: 前述の通り、土日祝やハイシーズンはここでチェックインを行いますが、平日に利用する場合は「休暇村蒜山高原の本館フロント」が受付窓口となります。平日はキャンプセンターでの受付ができないため注意が必要です。
サニタリー棟
牧草地に面したオートサイト(南エリア)の中心に位置する、場内の重要なインフラ施設です。

- 主な設備: トイレ、コインランドリー、休憩室。
- ロケーション: 窓越しに隣接する牧場をのんびり見渡すことができる、開放的な休憩室が併設されているのが最大の特徴です。

炊事棟

雨の日でも安心して利用できる頑丈な屋根付きの炊事棟です。
場内の各エリアへ程よく点在しているため、どのサイトに設営しても極端に遠くならず、スムーズにアクセスできる配置になっています。
なお、全て一様ではなく、場所によって外観、設備が異なるのが特徴です。


- 基本設備: シンク、釜土、一部調理台スペース有
- 南エリア(オートサイト側)の炊事棟のみ: なんと給湯設備が完備されており、お湯が使える仕様になっています。
- 持込区画サイト・北エリア側の炊事棟: こちらは水のみの仕様となっています。


トイレ

炊事棟と同様に、場内の各エリアへ程よく点在しているため、どのサイトに設営してもアクセスしやすい配置になっています。
- 基本構造と設備: すべて水洗式で、洋式便座と和式便座が混在している仕様。
- 手洗いスペース: 洗面台には鏡が設置されています。決して広くはありませんが、ちょっとした小物を仮置きできるスペースが確保されています。



シャワー室

シャワー室はキャンプセンターの館内に完備されています。
- 利用料金: 10分 / 300円
- 利用時間: 15:00〜19:00まで利用可能

灰捨て

処分場所は場内でわずか1ヶ所のみ。
キャンプセンター隣の多目的ホール内にある専用の手押し車(一輪車)の中となります。
※各エリア(炊事棟など)に灰捨て場は点在していません。
必ず完全に消火した状態にしてから、多目的ホールまで運んで廃棄する必要があります。
(多目的ホール開館時間 8:30〜11:00)
ゴミはどうする?

キャンプセンター(管理棟)の隣にある「多目的ホール」内が、丸ごと場内のゴミステーションとなっています。


- 廃棄時間: 8:30〜11:00 まで
- ゴミ出しのルール: 可燃ゴミから不燃ゴミまで各種分別して廃棄が可能です。また灰や消し炭の廃棄もこちらです。ただし、可燃ゴミを廃棄する際は、必ず「中身の見える半透明・透明のビニール袋」を使用する必要があります。中身が見えない黒い袋などは受け付けてもらえないため、あらかじめ準備しておきましょう。
その他施設 コインランドリー


コインランドリーが場内にしっかり完備されています。
- 設置場所: キャンプセンター(管理棟)および、サニタリー棟の中に設置されています。
- 利用時間: キャンプセンターは15:00〜19:00まで利用可能
- 設備と料金:
- 洗濯機: 2台(200円 / 1回)
- 乾燥機: 1台(100円 / 30分)
大山蒜山ツーリング|ノンフィクション休暇村蒜山高原キャンプ場滞在記
大山といえば、蒜山。
「阿(あ)」と言えば「吽(うん)」、「鶴(つる)」と言えば「亀(かめ)」。
大山でのキャンプを堪能した後にこの地を訪れるのは、自分にとって自然の流れだった。
そこで今回、旅の目的地に選んだのが「休暇村蒜山高原キャンプ場」だ。
見つけた瞬間、迷うことなく予約を即決した。
全国25ヶ所ある休暇村キャンプ場のうち、過去に訪れたのは
支笏湖、岩手網張温泉、乳頭温泉郷、近江八幡、奥大山、讃岐五色台。
今までただの一度も間違いがなかった。
素晴らしいロケーション、充実した施設やサービス、そして極上の温泉。
そんな確固たる経験と信頼があるからこそ、密かに「各地の休暇村を制覇する」という裏テーマを掲げていたりもする。
唯一の心配は、怪しい空模様だ。
どっしりと厚い雲に覆われた大山を横目に見ながら、果たして目指す蒜山高原は美しい姿を見せてくれるのだろうか。
今回は、大山から蒜山へと至る蒜山大山スカイラインを通りキャンプ場までの道中の様子と、
蒜山の地で過ごしたリアルなキャンプの実態をレポートします。
【道中編】近すぎた大山と蒜山。時間調整のらりくらりと蒜山散策

雲に消えた双璧

モンベル大山キャンプサイトを撤収し次なる宿営地を目指す。
見上げる空はどんよりとした厚い雲に包まれていたが、走り出せばそこは緑のトンネルを駆け抜けていくような爽快な道のり。

ほどよいカーブが次々と現れ、さすがはツーリングの好路として名高いルートだと感心する。
しばらく進んでいくと、以前お世話になった休暇村鏡ヶ成キャンプ場の文字が目に入り、その脇を通り過ぎていく。

懐かしい。今日はこちらの兄弟分ともいえる、休暇村蒜山高原へ行ってきますね。
鳥取の地を後にし、この旅で2回目となる岡山への県境越え。

道中、鬼女台(きめんだい)展望休憩所に立ち寄る。
地形からしても、晴れていればどう考えても息をのむような絶景が広がっているはずの展望台。
しかし、周囲にそびえる山々を説明するための案内板は白く劣化しており、初見の自分にはどこが見どころなのかさえ分からない。


おまけに、周囲を見渡しても白い雲が悠然と漂うばかり。
晴れていれば一目でそれと分かるはずの大山も、そしてこれから目指す蒜山の姿も、
何ひとつ視認することはできなかった。


鬼女台展望休憩所

あまりにも近すぎた大山蒜山ルート
鬼女台を後にし、霧がかる蒜山大山スカイラインを駆け下っていく。
もうすでに本日の目的地であるキャンプ場が門を開いて待っていた。

そう、出発地のモンベル大山からここまでは、1時間どころか30分もかからない距離。
そのため道中はのろのろと走っていたのだが、それにしてもあまりにも早すぎた。
当然、チェックインまではまだまだだいぶ時間が余っている。
ならばと、今夜の食料確保も含めて、周辺の散策がてら時間調整をすることにした。
キャンプ場をあえて通り過ぎ、さらに下って進んでいく。
すると、牧場が経営するショップや、緑のなかに突如として現れる巨大な観覧車が目に飛び込んできた。

なるほど、ここは想像していた以上に、一大観光地なのだろう。
まずは食料を確保すべく、「スーパーヒルゼン」へと向かう。

蒜山の名を冠したローカルスーパーだ。
店先を覗くと、薪が1束500円。なるほど、手頃な価格設定に少し心が揺さぶられる。

しかし、肝心の食材を求めて店内をさらっと物色してみるものの、今夜のメインに据えたいようなものが見当たらない。ここは一旦、踵を返すことにした。
スーパーヒルセン 蒜山

うーん、どうするか。あたりを見渡しても、他にスーパーらしきものはなさそうだ。
ならばと、次は近くにある「道の駅 風の家」へと向かった。

屋外に広がる直売所市場をじっくりと物色してみる。
「マコモダケ」や、初めて目にする「ポポー」なる謎の果物(?)など、物珍しいローカル食材を発。好奇心は刺激されるものの、使いこなせる自信がどうしても湧かない。


道の駅に入る。
それにしても、どれもなかなかにいいお値段で手が出ない。
北海道のニセコのような、いわゆるインバウンド価格なのだろうか。
道の駅風の家

名物(?)をぶち壊す。ジャンクに仕上げた鶏タレカツ丼
あちこち動き回ったものの、結局のところ収穫はゼロ。気づけば空振りの連続で、腹が減った。
そんなことを考えながら、ちょうどその角を曲がったときに、ローカルの雰囲気を醸し出す弁当屋が目に留まった。よし、ここを昼食処としよう。

店に入り、品書きのなかから直感(値段?)で「鶏タレカツ丼」を注文。
はたしてこれは岡山名物なのだろうか?

やがて呼ばれて向かった配膳口の前には、様々な調味料がずらりと並んでいた。
無意識下でマヨネーズを回しがけ、その上から七味唐辛子を振りかけていた。

席に戻って目の前に置いたどんぶりは、我ながら思いっきりジャンクで暴力的なビジュアルに仕上がってしまっている。
しかし、恐らく身体が求めていたのはまさにこのイメージだった。
箸をつけ、かき込む。――うん、旨い。
胃袋がどっしりとした満足感で満たされたところで、いよいよ時間も丁度よくなってきた。
今度こそ満を持して、キャンプ場へと引き返すことにする。
おべんとうの つるや 蒜山店
鶏タレカツ丼 660円

到着直前、またもグーグル先生のご乱心。
蒜山高原へと向かう道路の端に、突如として謎のトーテムポールが鎮座しているのが目に留まった。

この地方の守り神か何かだろうか。大山側から来るときには見なかったなと思いつつも、
どうやらこちら側からアクセスするのが、この地へ至る王道のルートのようだ。
そのまま、すんなりと広い快走路を行けるはずだった。
が、ここでまたしてもお馴染み、グーグル先生のご乱心が始まる。

案内されたのは、アスファルトが砕け、路面には苔や草が突き出した細い坂道。
こんな道を直前に走らされるとは、ヘルメットの中で思わず溜息しか出ない。

ギアを落とし、足元に全神経を集中させて慎重に進めていく。
すると、鬱蒼とした木々の先から、先ほど通った時とはまったく違う角度で、キャンプ場の門が突如として現れた。
いざ、そのエントランスロードへ。

なだらかなカーブを描く、思ったよりも長いアプローチをゆっくりと進んでいく。
すると一気に視界がひらけ、目の前に管理棟の建物が姿を現した。

【滞在編】持込区画サイト。翳りゆく心と雨と長いスロープ

曇り空とトーンダウンした心の空模様
ようやくたどり着いた管理棟の前にバイクを停める。

しかし、建物の正面扉も駐車場に近い側面の扉もぴったりと閉め切られていた。
なるほど、休暇村あるあるの平日本館受付パターンか。
ふと見ると、扉に「ご利用の方は以下まで連絡をお願いします」と電話番号が書かれた貼り紙があり、念のためその場で本館へ電話を入れてみることにした。
コール音が続き、ガチャリと繋がる。
「もしもし」
「はい」
…はい? あまりにも素っ気ない第一声とその後にある沈黙に、思わず休暇村であっているのだろうかと困惑する。
「あの、休暇村さんですか? 本日キャンプ場を予約した者なのですが、いま管理棟の前にいまして…」 「平日は本館で受付することになってますけど」
「けど」?――。いや、そう書いてあるからわざわざ電話したのだが…。
電話口から伝わってくる、なんとも形容しがたい空気感にこれ以上ここで話しても不毛だと察し、
わかりましたとだけ告げて通話を切った。

――いったい今日、何回この道を往復しているのだろう…、
そんなことを思いながら、再びバイクを走らせて休暇村の本館へと向かう。
気を取り直して本館のエントランスに一歩足を踏み入れる。
しかし、入るやいなや目に飛び込んできたインフォメーションに、思わず足が止まった。
『日帰り温泉 本日メンテナンス日 休業』

休暇村でのキャンプにおいて、楽しみにしていた大きな要素の一つが温泉だっただけに、
これには少なからずショックを受けた。

館内はがらんとして静まり返っており、受付にすら誰もいない。

しばらく所在なくロビーをうろうろしていると、奥から一人のスタッフが姿を現した。
カウンター越しに始まった受付。
スタッフは、後ほど手渡されるであろう案内書に書かれた注意事項に目を落とし、機械的につらつらと読み上げていく。
言葉遣いこそ丁寧ではあるのだが、そのあまりにつっけんどんな口調に、蒜山の麓で営む人達にとっては、これが普通なのだろうかと、ふと思ってしまう。
そのなかで、特に強調されたのが次のルールだった。
「サイトまでは車両の進入は一切禁止です。必ず駐車場に車を停めて、そこから荷運びをしてください」
本来なら薪の販売がここでもあるか、など色々と尋ねたかったのだが、結局何も聞かなかった。
スタッフが記載事項以外に言葉を発してくれたのは、「本日は持込サイトの1番になります」という告知と、最後に添えられた「今日は他に利用者がいないので、もし気になるサイトがあれば電話をしてください」という一言だけだった。
「はぁ、それでは…よろしくお願いします」
頭をちょこんと下げて本館を後にし、再びバイクに跨る。
あれほど弾んでいたウキウキ気分が、静かにトーンダウンしていくのを感じていた
持込区画サイトの所感と吟味
再びバイクを走らせてキャンプ場へと戻る。
それと同時に、空からは雨がポツポツと降り出してきた。
バイクを降り、静まり返った管理棟の前から改めて場内を見渡してみる。
目の前に広がっているのは、緩やかな丘陵に青々とした芝生が映える、緑色のグラウンドだ。
しかし、見渡す限り設営されているテントはひとつも見当たらない。完全な貸し切り状態だ。
受付で渡された地図を広げ、指定された持込区画サイトの場所を確認する。
どうやら、目の前から延びる長いスロープをずっと下っていった先にあるらしかった。

指定された1番サイトを確認するため、まずはテントを含めた荷物の半分を手に抱え、向かってみることにした。
…そこそこ歩くな。自分の足で歩いてみて、改めてその距離を実感する。
たどり着いた持込区画サイトは、綺麗な芝生の広場に等間隔でサイト番号を示す杭が打ち込まれているだけの、非常にシンプルなロケーションだった。

ふと横を見ると、隣り合うサイトとの距離がかなり近い。
これ、週末の混雑時だったら完全に四方を囲まれるな…。真ん中の区画なんて絶対に嫌だろう。まるで難民キャンプ状態になりそうだ。
混雑時の窮屈さが容易に想像できてしまう。
確かに指定された1番サイトは角番で、駐車場からの距離は一番短い。
案内するのもシステム的にも1番から案内するのは妥当なのだろう。
しかし、ただの平面でなんというか、いささか味気ないのだ。
ここまで苦労して重い荷物を運んで歩いてくるのなら、ぶっちゃけ距離の差なんてどこも一緒である。どうせなら、もう少し景色にアクセントがついた場所はないだろうか。

設営地は#14に決定
誰もいないので、広場をのんびり歩きながら他のサイトを物色してみる。
一番奥まった先にある16番サイトは、背面が林になっており、サイトの横に雰囲気の良い木が生えていてなかなか好印象だった。

しかし、それ以上に惹かれたのは14番サイトだ。
サイト近くに大きな切り株があり、色々と活用法がありそうだった。
さっそくスマホを取り出し、電話を入れて14番への変更許可を申し出ると、あっさりと承諾を得ることができた。
サイトが決まったところで、現実と向き合う。
管理棟とは反対方向に、誰もいない駐車場を捉える。

マップを見ると「ロッジ型テント専用駐車場」と書かれている。
あそこだと近いんだけどなぁ…と思いつつ、そこから今歩いてきた管理棟までの道を仰ぎ見る。
やれやれ…。この長い道を、あの駐車場から何往復もして搬入しなければならないのか。
思わずため息が出る。
視線の端には、何も使われていない「フリーフィールド」と呼ばれる一角がある。
駐車場にしないまでも、一時的な荷下ろし場として開放してくれればどれだけ助かるだろうか。
さて、戻る導線を再度見やる。
駐車場からサイトへのショートカットになりそうな急斜面もあるが、一面が濡れた芝生になっており、荷物を抱えて進めば一瞬で足を取られてコケそうだ。

どうやら、どれだけ恨めしくスロープの先を見やったところで、遠回りでもこの道を使わなければならないらしい
雨が降りしきるなか、まずは設営を開始した。

ひとまず屋根ができた。あとは残りの荷物を運び込むことにするか。
バイクを停めた駐車場まで戻り、サイトまで残りの荷物を抱えて歩き出す。
場内用の荷車をわざわざ探しにいくのも既に億劫だった。
単体でもずっしり重いコンテナの上に、こまごました残りの荷物を載せ、バランスを保ちながらよたよたと歩く。そして目の前に延々と続く長いスロープに、足が留まり心が折れそうになる。
ようやくすべての荷物を運び終えた頃には、雨は本降りになっていた。
身体からは湯気が立ち上っているかような不快感。
チェアにようやく腰を下ろす。 放心したように、ただテントから滴り落ちる雨粒を眺めていた。
場内散策1(北エリア):広すぎる場内でまさかの遭難?
ようやく雨が弱まり、設営と2度の搬入で火照った身体もすっかり落ち着いてきた。
このままテントに籠っているのも退屈なので、傘を片手に場内を散策してみることにした。
改めてマップに目をやると、管理棟の裏手(北側)にも広いサイトが広がっているようだった。
再びあの長いスロープをえっちらおっちらと上がり、バイクを停めた駐車場の脇にあるゲートをくぐって奥へと進んでいく。

そこには、一段高くなった土台の上に区割りされた広々としたサイトが導線に沿って続いていた。

占有面積が広い。そして驚くほど静かだ。
先ほど自分がテントを張った持込サイトのエリアとはまた一味違う、ひっそりとした、どこか厳かな空気が漂っている。
途中で立ち寄ったトイレでは、面白いものを発見した。

和式とも洋式ともとれるような、これまでに一度も見たことがない不思議な形状の便器だ。
思わずどう使うのが正解なのか…と、まじまじと見つめてしまった。
そんな風に散策を楽しみながら、マップの最端に描かれた炊事棟まで歩いてきた。

その先には、さらにポッカリと広い空間が広がっている。前身のキャンプ場の名残なのだろうか、
人の気配が完全に途絶えたような地図上にはないフリーサイトのような場所。

このまま先へ進めば、ぐるりと回って南側の区画サイトへ行き着くはずだが…。

そうアタリをつけて進んでみたものの、目の前の道は行く手を拒むかのように鬱蒼とした草木に覆われていく。おまけに、歩いても歩いてもマップに書かれた距離感と目の前の景色が一致しない。

はて…? やばい、ここどこだ??
一瞬、背筋がヒヤリとする。
雨の降る平日の貸し切りキャンプ場、誰もいない奥地で迷うのはさすがに笑えない。
藪漕ぎをしてまで突破するのは諦め、大急ぎで来た道をそのまま引き返した。
危なく一本道なのに遭難するところだった…。
場内散策2(南エリア):格差を感じる高規格エリア
命からがら(?)管理棟まで戻り、仕切り直して今度は場内導線に沿って南側へと進んでみる。
位置関係としては、自分のいる持込区画とフリーフィールドを挟んだちょうど対面のエリア。
こちらには電源付きサイトがこじんまりと集まっている。

さらに南へ進むと、オートサイトが整然と並ぶ広いエリアへと出た。
おや?と思って炊事場を覗き込んでみる。蛇口をひねると、なんとここはお湯が使えるようだった。
なんてこった。持込区画サイトとは大違いだ。

さらに、エリアをぐるりと回るように時計回りで歩を進める。
おお、もう一張りテントがあった。この時間を見れば今夜場内は自分を含めて2組のようだ。

東側の外周に位置するサイトは、柵の奥に生い茂る草や木と、どんよりした曇り模様が相まり、
眺望が遮られていた。
しかし、サニタリー棟を抜けた瞬間、場外に見える景観が明らかにパッと開けた。
どうやら牧場が隣接しているらしく、抜けるような大パノラマが広がっている。
間違いなくここがこのキャンプ場の一等地だろう。

最後に、常設テントが集まるエリアに立ち寄り、その近くの炊事棟へ行ってみると、
なんと、ここもお湯が使える場所だった。
なるほど、エリアのここまでお湯が出るのか。
嬉しいことに、この炊事棟は自分がテントを張った14番サイトからも割と近い。
閑散とした場内をじっくり歩いたことで、重要なインフラポイント『お湯の場所』という発見をすることができた。
自陣のテントに戻ってチェアにぐたっと身をゆだねる。
ひと仕事してきたなぁ…。あとは飯食って寝るだけだ。
大雨の引きこもり
場内散策からサイトへ戻るなり、まるで狙い澄ましたかのように激しい大雨に襲われた。
同時に吹き付ける風のせいで傘は何の役割も果たしてくれていない。ちょっとトイレに行くだけで身体はずぶ濡れになった。
明日はいよいよ、この旅の最終夜か…。インナーテントに腰掛け、作戦会議を始める。
明日の行程はもともと予備日として空けていたため、完全ノープラン。
スマホの天気予報とGoogleマップを交互にみつめながら、明日の計画をいろいろ練ってたら、
あたりはすっかり夜の帳に包まれていた。
外の雨は勢いを増していく。
キャノピーの上に溜まる雨水を逃がすため、先端にペグハンマーをぶら下げて簡易的な雨どいを作っていたのだが――。

ドスン、ばちゃばちゃばちゃ…!
無情な音を立てて、溜まりすぎた水の重みで結界が崩壊した。
これ以上の抵抗は無理だ。諦めて前幕のジッパーを完全に下ろし、テントの中へと引きこもることにした。
腹が減った…。
しかし、今日の買い出しでは戦果はゼロ。食材のストックは心許ない。
バッグの奥底をガサゴソと漁ってみると、長旅の振動ですっかりベコベコに凹んだカレーメシとカップ麺が出てきた。

東京を出発してから、今日で実に9夜目。ようやくキミたちに日の目を見る時が来たか。
今夜の晩餐はカレーメシに決定。
お湯を注いで規定通りに5分待つ。ぐるぐると円を描くように30秒かき混ぜる。
…あぁ、安定のうまさ。口の中にドロッとしたカレーの味が染み渡る。
ふと横を見ると、ハンガーラックの先端に、まるで最初からそこが定位置だったかのように一匹のアマガエルがちょこんと鎮座していた。

ああ、今晩はいいよ。自由にして。
しかし、次第にううっ、寒い…、と身体が震え出す。
テント内の温度計を見ると、気温は20℃近くまで下がっていた。

日中の設営と散策で濡れた衣服、そしてテントの隙間から床下を吹き抜けていく冷たい風のせいで、体感温度は凍えるように寒い。
シャワーを浴びようにも、時間はとっくに終わっていた。
暖を取る手段を探して道具箱をひっくり返すと、底の方からコールマンのヒーターアタッチメントが転がり出てきた。
今回の旅のためにわざわざ狙って持ってきたわけではなく、ただ単にギアボックスに入れっぱなしにしていただけのものだ。
助かった…、これなら暖が取れそうだ。

シングルバーナーの上に乗せて火を点けると、じわじわと真っ赤な熱が空間を暖め始める。
濡れた靴下を慎重に炙りながら、足のつま先から冷え切った身体の回復を試みた。
しばらくすると、幕内の温度が20℃から25℃へと上昇した。

じんわりと身体が解れていくと、同時に強烈な眠気が襲ってきた。
だめだ、もう寝よう….
テントのフライシートを激しく打ち付ける雨音をBGMに、ぬくもりを求めてインナーテントの中へと滑り込んだ。
雨との攻防戦と撤収
朝、目が覚めると、フライシートの隙間からほんのりと光が差し込んでいるようだった。

期待を込めてテントのジッパーを下ろしてみると、雲の向こうの空がわずかに明るくなっている。

しかし、朝の冷え込みは容赦がない。
バッグの底に眠っていたもうひとつの保存食、カップ麺にお湯を注ぐ。
ズズズとスープをすすり、なんとか内側から暖を取った。

雨がやんでいる今のうちに、ゴミ捨てと荷物の搬入を終わらせておくか…。
ロングのキャンプ旅において、「捨てられる時にゴミを捨てておくこと」は鉄則だ。
あのスロープを往復する重労働をひとたび終え、息を切らしながら自陣に戻ってテントのメンテナンスに取り掛かる。
まずは空のペットボトルに水を入れ、跳ね返りの泥を洗い流す。

ここで登場するのが、今回の旅で大活躍しているダイソーの「PVA吸水シート」だ。

濡れたフライシートをひとなでするだけで、面白いように雨水がきれいに吸い取られていく。
絞れば何度でも吸水力が復活する逸品で、長期のロングツーリングキャンパーには、声を大にしておススメしたい名アイテムである。(バイクのメンテにも良い)
〈参考〉まあこういったやつです。ダイソーでも買えます。
よし、全体を拭き終わった。あとはテントを畳んでパッキングするだけ…。
そう思った矢先、空からパラパラと、無情の雨が降り注いできた。
嘘だろう…?心が折れた。もういいや、これ以上抗うのはやめよう。
濡れ戻ってしまったテントを丸めてバッグに詰め込む。押し込んだ時のズボンの膝がじわっと濡れる。

結局、びちゃびちゃになった身体で、びちゃびちゃのテントを抱え、
くたくたになった足取りであのスロープを再度上って駐車場へと戻った。
バイクにすべての荷物を括り付け、ようやく退去のための精算が全て完了した。
あぁ、結局蒜山は見えず(分からず)じまいか。
ヘルメットを被ろうとしたその瞬間、場内に、排気音を響かせてバイクが1台乗り込んできた。
すれ違いざま、心の中でつぶやいた。
ああ、悪いことは言わない。ここの持込区画サイトだけは苦行になるぜ…。
【まとめ】設備スペックと実際の使いやすさのズレ、そして「休暇村」ブランドへのギャップと期待

記事の締めくくりとして、今回のツーリングキャンプの実体験から見えてきた、休暇村蒜山高原キャンプ場のシステムや仕組みの課題について、少し客観的にまとめてみたいと思います。
このキャンプ場は、国立公園の中にある広大な敷地や、きれいに手入れされた芝生、一部エリアにあるお湯の出る炊事棟、サニタリー棟など、ハード面での設備レベルは非常に高いと言えます。
しかし、実際の動線設計や運用ルールを見てみると、キャンプ利用者に即した「使いやすさ」という点で、もう一歩寄り添ってほしいというのが正直な実感です。
これは、「休暇村ブランド」に普段期待している、質の高いサービス水準とは少しズレがあるように思えました。
運用ルールのズレと利用者のデメリット

特に気になったのは、平日の温泉利用ルールと、コインシャワーの利用制限時間、灰捨ての場所と灰や消し炭の廃棄可能時間です。
利用希望時間と温泉営業時間のズレ
ホテルの宿泊者は夜や早朝も入浴できますが、キャンプの利用客は11:30〜14:30(日帰りの一般客と同じ枠)に制限されています。
キャンプ場のチェックインが13:00からなので、テントを建て終わってから温泉に行こうとしても、ほぼ間に合わない時間設定になっており、キャンプ客のタイムスケジュールを不自然に圧迫してしまっています。
夜間シャワーの利用制限
温泉の時間が昼間に限られているにもかかわらず、代わりに使えるコインシャワーも15:00〜19:00しか開いていません。これは、一般的に一番使いたくなる夜(19:00以降)や、翌朝の利用ができません。
これらは結果として利用者に負担がかかってしまっています。
「休暇村といえば温泉でしょ」という、多くの利用者が当然抱く期待値を裏切る形になってしまっており、ホスピタリティという面では、少しもったいない印象が残る部分です。


朝限定・遠方の灰捨てルールが孕む想定リスク
一般的には炊事棟に配置される灰捨て場が遠方の多目的ホールにあり、廃棄時間も8:30〜11:00限定とされています。
この「近くにない(距離)」かつ「自分のタイミングで廃棄できない(時間)」という二重のハードルは、現場にさまざまな弊害をもたらす恐れがあります。
朝7〜8時前の「早朝出発の足止め」になるだけでなく、
時間外や移動の面倒さからくる「不法投棄の誘発」、
経験の浅いキャンパーが消火タイミングを見誤って延々と焚き火を続ける「夜遅くまでのマナー違反」、さらにはそのまま放置・就寝することによる「延焼リスク」、
焚き火台での直運搬による「場内落下汚染」など、多くの安全面・美観上の懸念が否めません。
これらはもちろん利用者のモラルの問題ではありますが、運営側のルールがそれを引き起こしかねない、想定し得るリスクを孕んでいると思えてなりません。
持込区画サイトで直面する「格差」と、導き出した「最適解」
持込区画サイトと、オートサイトやAC電源付きオートサイトの間には、2,000円〜2,500円という価格差以上の、設備や環境面での大きな格差が見られます。
【サイト毎の料金比較】※ソロ利用、管理費600円/1名と計算
- 持込区画サイト:2,100円
- オートサイト:4,100円
- AC電源付きオートサイト:4,600円

荷物運びの負担

持込区画サイトはバイクの乗り入れや、一時的な荷下ろしはできません。傾斜のある長いスロープを何度も歩いて往復する必要があり、天候が悪くなったときには更に体力的にも精神的にも大きな疲労に直結します。
区割りの格差

サイト同士の間隔が狭いです。
特に混雑時に周りを囲まれる中央の区画に割当された場合、窮屈さや圧迫感を感じやすい区割りに思えます。
サイト選びの最適解とは?
一番安いとはいえ、総じてコストパフォーマンスを考えると、持ち込み区画サイトを選ぶメリットはあまり多くない、というのが実感です。
それはただ単純に「搬入が大変でお湯が遠い」というだけの理由ではないのです。
目の前にはきれいに舗装された動線があり、その奥には荷下ろし場としてこれ以上ない絶好のスペースが広がっています。傍らには誰も利用していないガラ空きの常設テント専用駐車場が見えます。
それらをただ指をくわえて見つめながら、「この不便は、本当に不可避なことなのだろうか」という割り切れなさを抱え、ルールゆえに急斜面を往復しなければならない――。
この状況がもたらす心理的なジレンマこそが、身体的な疲弊に拍車をかけます。
この目の前にあるインフラを横目に不便を強いられるストレスや、使いやすさ、牧場が見える眺望の良さを総合的に考えると、最初から追加料金を払ってでも「オートサイト以上」を選んでおくことが、このキャンプ場を快適に楽しむための現実的なアプローチだと思えてなりません。
総括:「良い管理のあり方」の考察と、ブランドへの期待が生んだギャップ
そもそも、キャンプ場の価値を決める本当に大切な要素とは、ただ設備が立派かどうかではなく、
それらをうまく機能させて利用者をサポートしてくれる管理体制にあるのではないか、と思います。
一般的なキャンプ場であっても、多少の不自由や設備の古さを補って余りある「管理人」の存在があれば、それは旅の良い思い出になります。管理人の姿勢やちょっとした配慮そのものが、そのキャンプ場の「色(個性や魅力)」を作っていくものだと思えてならないからです。
しかし、今回の滞在で感じた一連の体験からは、立派な設備に対してソフト面がうまく噛み合っていないような、どこか惜しい印象を受けました。
その背景には、全国に展開する「休暇村」という大きなブランドへの期待が、大きすぎたのかもしれません。ブランドの名前から想像するサービス品質と、持込区画サイトを利用した際に感じた、えもいわれぬ格差感。
この2つの間に生じたギャップこそが、今回の滞在で覚えた違和感の正体だったように思います。
普通のキャンプ場であれば「まあ、そういう仕様か」と見過ごせる場面であっても、この場所でどうしても気になってしまうのは、やはりホテル業を本業とする「休暇村」が運営しているからではないでしょうか。
宿泊のプロフェッショナルだからこそ、キャンプというスタイルを選ぶ利用者に対しても、その導線にもう少し寄り添うようなホスピタリティを期待してしまうのが、正直なところです。
何よりこちらは、国立公園の豊かな自然に抱かれたロケーションや、手入れの行き届いた美しい芝生など、ここには他にはない素晴らしい魅力が間違いなく詰まっています。

だからこそ、いちキャンパーとして「もっと良いキャンプ場になってほしい」という期待と願いが、どうしても大きくなってしまいます。
誰もがもっと快適に過ごせるような、旅人に長く愛される最高のフィールドになっていくことを楽しみにしています。
おわりに

気がつけば、私の裏メニューである「休暇村キャンプ場巡り」も今回で7カ所目になりました。
これまでの素晴らしい体験があったからこそ、自分の中で勝手に作り上げた「休暇村絶対神話」を盲信しすぎて、期待値のハードルを上げすぎてしまっていたのは否めません。
…おまけに、これだけ蒜山高原に拠点をおきながら、天候やタイミングのせいで、結局その雄大な蒜山の姿をまともに拝むことすらできなかったのも、我ながら手痛い誤算でした。
とはいえ、全国に25カ所あるという休暇村キャンプ場、その個々の特徴や特性を体感する旅は、
これからもルーティンワークとして引き続き巡っていこうと思っています。
さて、いよいよ今回の「中国地方一周キャンプツーリング」の旅も、泣いても笑っても、
雨が降っても槍が降っても、次が最終夜。
最後はあえてノープランのまま、鳥取の東の端までバイクを走らせてみようかと思います。
果たしてどんなキャンプ地に辿り着き、どんな夜を迎えることになるのか。
次の投稿もどうぞお楽しみに!













💡 執筆者のワンポイントアドバイス:
完全消火を怠ったり、あるいは消したつもりでも、灰や炭をそのままゴミ袋に入れて運ぶ行為には注意が必要です。
未鎮火による引火や袋の破損、さらには移動中の落下によって芝生へ致命的なダメージを与えてしまう危険性があるからです。また当然ながら、その状態のゴミ袋をキャンプ場の「手押し車」へそのまま廃棄することもできません。
こうしたリスクを回避するためにも、あらかじめ「火消し袋(耐熱性のアッシュバッグ)」を用意しておくことを強くおすすめします。これさえあれば焚き火時間を管理でき、且つ安全な消火から指定場所までの持ち運びまでが驚くほどスムーズになります。