中国一周キャンプツーリング、第8夜。
神話の国・出雲から鳥取県へと滑り込み、バイクで向かったのは名峰・大山(だいせん)。
今夜の宿は、アウトドアのトップランナーが手がけた「モンベル 大山キャンプサイト」です。
辿り着いた山の上、大山参道に佇むのはモンベルのショップやカフェ。そしてブナ林に包まれたキャンプ場。
大山の自然のなかに、それぞれの施設が溶け込んでいる様は、まさに「モンベルの山里」とも呼ぶべき光景でした。
本記事では、この贅沢な拠点で過ごした宿泊体験と共に、出雲からのツーリング、そして翌朝に歩いて巡った大山参道様子をレポートします。
モンベル大山キャンプサイトの魅力とは

- モンベルプロデュースによる新旧のバランスが調和したキャンプ場
- ブナ林のロケーション
- 周辺アクティビティと利便性の高さ
モンベルプロデュースによる新旧のバランスが調和したキャンプ場

モンベルプロデュースということで象徴的なのが、多様にあるサイト設計です。
自然をダイレクトに味わえるグラウンドサイトをはじめ、ウッドデッキサイトや、オートサイトなど、用途に合わせた快適なサイトづくりがなされています。
管理棟に入ればモンベル商品がズラリと並び、見ているだけでも楽しめます。
さらに、近代的な設備が整った温水シャワー施設が完備されているのも大きなポイントです。
実はここ、元々は下山野営場。古くから登山客に親しまれた国営のキャンプ場だったとのこと。
環境省の「国立公園満喫プロジェクト」の一環として大規模な再整備が行われ、2024年4月にモンベルプロデュースのもとリニューアルオープンしました。
だからこそ、トイレや炊事場にはかつての野営場の面影があえてそのまま残されているような、
どこか素朴な佇まい。

過度な開発をせず、大山の自然を活かした新旧のバランスが心地よく調和しています。
ブナ林に囲まれた自然豊かなロケーション

このキャンプ場最大の魅力は、なんと言っても大山国立公園のなかに位置する、圧倒的な自然のロケーションです。
周囲を囲むのは、美しいブナの原生林。サイト内を散策すれば、澄んだ空気と木漏れ日の美しさは格別です。大自然の懐にそのまま抱かれて眠るような、贅沢な時間を過ごすことができます。
周辺アクティビティと利便性の高さ
キャンプ場を一歩出れば、徒歩圏内で「食べる・登る・浸かる」が完結する点にあります。


キャンプ場からてくてく歩くと、すぐに大型のモンベルショップがあります。さらに大山参道に入れば、地域の特産品が並びカフェが併設された「モンベル・フレンドマーケット」があります。

キャンプ場のすぐ近くからは、百名山・大山へ続く「夏山登山口」が伸びています。
もちろん登山だけでなく、神聖な空気が漂う大山寺や、大神山神社へも徒歩でアクセスできる位置にあります。


参道沿いには、散策で汗をかいた後やキャンプ利用中でも、徒歩でふらっと行ける日帰り温泉があります。無料で利用できる足湯も併設されており、旅の疲れを癒やすのに絶好のスポットです。
モンベル大山キャンプサイト 基本データ

| 訪問年月 | 2025/10 | 晴/曇り |
| 名称 | モンベル大山キャンプサイト (元:下山野営場) | モンベル公式H.P |
| 場所 | 〒689-3318 鳥取県西伯郡大山町大山54 | 0859-57-9792 |
| 業態 | 国営 | 管理委託:モンベル |
| ロケーション | 山間 | 大山隠岐国立公園 |
| サイト | 区画、デッキ、オートサイト 等々 | デッキ 硬 □□□□□ 柔 |
| サイト規模 | 大規模 | 63区画 |
| 車両乗り入れ | – | サイト専用駐車場有 |
| 営業期間 | 冬季を除く無休営業 | ※冬季期間:12月~3月 |
| 予約方法 | 専用サイトから申し込み | モンベル公式H.P |
| in / out | 12:00~18:00/~11:00 | |
| 料金(利用プラン) | 4,800円 | デッキサイトD利用 |
| (内訳) | サイト使用料 | 4,000円 |
| 入場料 | 800円/名 | |
| 駐車料金 | なし | |
| 設備 | 管理棟:あり | 9:00~18:00 |
| (売店:あり) | モンベルショップ併設 | |
| (レンタル:あり) | テント、寝袋他、豊富 | |
| トイレ:あり | 水洗洋式、和式 | |
| 風呂:なし/シャワー:あり | シャワー無料 | |
| 炊事棟:あり | ||
| 灰捨て場:あり | ||
| ゴミ捨て場:あり | ※燃えるゴミのみ | |
| その他施設 | 遊歩道 | |
| 直火の可否 | 不可 | 焚き火はデッキ外にて ※デッキ上禁止 |
| 薪の販売 | あり | 針葉樹891円・広葉樹990円 |
| 薪の現地調達状況 | 国立公園内のため不可 | 難 □□□□□ 易 |
| 電波状況 | 普通 | 楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ□□☑□□ ファミリー | |
| 獣・虫 | カラス、アナグマ、キツネ | |
| 買い出し | スーパーマーケット | ラ・ムー 日吉津店 約16.9km |
| コンビニ | ファミリーマート 伯耆溝口店 約12.0km | |
| 温泉 | 豪円湯院 | 約0.8km |
モンベル大山キャンプサイト 予約はどうする
予約の基本ルール
予約はすべて、モンベル公式の「宿泊・キャンプ場予約サイト」からのWEB予約のみ(電話不可)となっています。
WEB予約👉 モンベル公式H.P
- WEBで即時予約・決済
- 予約開始:「3ヶ月先の月末まで」予約が可能
キャンセル規定
山の天気は変わりやすいですが、利用日の7日前からキャンセル料が発生します。
ただし、以下の場合はキャンセル料は発生しません。
- 当日10:00時点で大山町に大雨・洪水・暴風警報のいずれかが発表されている場合
- 周辺道路の通行止めにより施設までアクセスできない場合
モンベル大山キャンプサイト サイトの様子


主な特徴(共通事項)
- サイトタイプ: グラウンドサイト、デッキサイト、オートサイト(他キャビンサイト)
- サイト規模: 全63区画
- ロケーション: 山間、ブナ林
- 地面の状況: 草地(一部エリア除く)
- 車両乗り入れ: オートサイト以外は各専用駐車場あり
- 焚き火ルール: デッキ内は火気厳禁(火気はデッキ外でのみ可、要焚き火台)
- 料金システム: 同一タイプ内でも、区画の面積(サイズ)により価格差あり
各サイトの様子

場内は大山の豊かなブナ林に囲まれており、元々あった自然の傾斜や高低差を活かした配置になっています。それぞれのエリアの特徴と注意点をまとめました。
グラウンドサイト:28区画


- 特徴: 大山の自然をダイレクトに味わえる、元野営場の名残を感じられるエリア
- 地面の状況: 草地
- 区画サイズ:9×9m/6×4m/4×3m/2.2×2.7mなど
- 注意点: 車両の乗り入れはできません。また区画の場所によっては、専用の駐車場から少し距離があるため、荷物の軽量化か、ピストン運搬が必要です。
デッキサイト(AC電源付き):25区画



- 特徴:山肌の高低差を活かして配置されており、周囲からの視線が遮られやすくプライベート感があります。傾斜地でも完全フラット。延長コード付きのAC電源が完備されているのも特徴です。
- 地面の状況: プラ擬木デッキ
- 区画サイズ:7×5m/6×5m/6×4m/5×4m など
- 注意点:焚き火はデッキ上では厳禁。デッキ外の地面で行うルールです。また各区画ごとに専用駐車場が用意されていますが、必ずしもサイトの目の前に隣接しているわけではないので、多少の荷運びは想定しておきましょう。


オートサイト:計10区画(完全乗り入れ可)
愛車をテントの真横に駐輪できるオートサイト。実は「A」と「B」で全く毛色が異なります。
オートサイトA(6区画)



- 特徴: 広さは10m×8m。(区画内に車両を乗り入れるスペースも含まれる。)
- 地面の状況: 砕石
- 注意点: こちらは電源なしのサイトです。ガジェット類の充電はモバイルバッテリーを持参しましょう。
オートサイトB(4区画)

- 特徴: 5.3m×3.3mの専用ウッドデッキと、電源BOXが完備された至れり尽くせりなサイト。大山夏山登山口のすぐ近くに位置するため、登山ベースの拠点としても最適です。
- 地面の状況:プラ擬木デッキ
- 注意点: ロケーションが「駐車場ビュー」のような雰囲気のため、大自然のど真ん中に泊まっているような野趣感は少し薄れます。利便性重視と割り切るのが吉。
モンベル大山キャンプサイト 施設の様子

場内のサニタリー環境は、新設されたモダンな設備と、古き良き設備が絶妙なバランスで共存しています。
管理棟や併設するシャワー棟は、モンベルのこだわりが随所に感じられる洗練されたクオリティ。その反面、場内に点在するトイレや炊事場には、かつての野営場時代を思わせるノスタルジックな面影があえてそのまま残されており、大山の自然に美しく調和しています。
それでは、それぞれの施設について詳しく見ていきましょう。
モンベル大山キャンプサイト 管理棟

天井の高いログハウス風の建物です。
斜面の地形を活かして建てられており、地上から入るエントランスが2階部分になっているのが特徴です。
受付のほか、インフォメーション、レンタル、物販、そして1階にはシャワー施設が集約されています。

受付の流れと注意点

受付では氏名を伝えるだけでOK。(支払いはWEB決済済。)
ここで場内MAPがもらえますが、場内は「一方通行」のルールになっているため、自分のサイトまでの経路をMAPでしっかり確認しておきましょう。
また、デッキサイトの予約であれば、この時にウッドデッキ専用のアンカーペグを借りることができます。
充実のショップ(物販・レンタル)

モンベルショップの簡易版といった品揃えで、モンベルのオリジナルグッズはもちろん、身近なキャンプギアや消耗品、生活雑貨、飲料、食料まで幅広く並んでいます。
キャンプ周りで必要なものはほぼここで網羅できるため、忘れ物をした時や、ツーリングの荷物を極力減らしたい時にも非常に頼りになります。


モンベル大山キャンプサイト 炊事棟


場内に点在する炊事場は、コンクリート製の頑丈な屋根があるのが目を引く造りになっています。
場内のエリア毎に程よく点在しているため、どのサイトからでもアクセスしやすいのが魅力です。
- 基本構造: コンクリート製の横長の流しに、水道の蛇口が対面で向かい合う形で備わっているのが特徴です。場内のトイレに併設されている箇所もありますが、設備としてはほぼ同じ仕様で統一されています。
- 利用時の注意点(調理台はほぼなし): 流しがあるのみで、食材を切ったり下ごしらえをしたりする調理台のスペースはありません。そのため、ここはあくまで「洗い物専用」の場所と考え、調理自体は自サイトのテーブル等で行う前提で準備しておくのがスムーズです。
(※中には水道の上のスペースに、洗い物を置けるようなスノコが置いてある箇所もあります。)
モンベル大山キャンプサイト トイレ

トイレも炊事場と同様、場内のエリア毎に程よく点在しているため、どのサイトに設営しても極端に遠くなる心配はありません。


- 基本構造と設備: すべて水洗式で、洋式と一部和式が配備されています。
- 使い勝手の良い手洗い場: 手洗いスペースは比較的広く、鏡はもちろん、ポーチや小物を置くスペースが十分に確保されています。さらに、液体せっけんが常備されているのが嬉しいポイント。
モンベル大山キャンプサイト シャワー室

他の施設と比べ、群を抜いて近代的かつ高規格なのがこのシャワー施設です。
2重扉によって虫の進入を徹底的に防いでおり、防犯・衛生面ともに非常に優れています。
利用時間とセキュリティ面

- 利用時間: 15:00 〜 翌朝 9:00 まで利用可能
- 入場方法: 中の扉はボタン式のオートロック仕様。受付時に教えてもらった暗証番号を入力して入場します(番号はランダム割り当てのため、部外者は立ち入れない強力なセキュリティとなっています)。
まるでスポーツジムのような更衣室:


更衣室は広々としたスペースが確保されており、水道、シンク、大きな鏡、そしてドライヤーが設置されています。
なんとエアコンまで完備されているため、夏場やシャワー後に火照った身体を涼めて快適です。
シャワーブース

- ブース数: 計4室
- 注意点: ボディーソープやシャンプーなどのアメニティ類は一切置かれていないため、必ず自前で持参しましょう。
モンベル大山キャンプサイト 灰捨て

炊事棟内に灰捨て用のドラム缶が設置されています。
モンベル大山キャンプサイト ゴミはどうする?

ゴミ捨て場は場内に2箇所設置されています。
場内は一方通行ですが、ちょうど帰りの動線上に配置されているため、チェックアウトの際にバイクや車でそのまま立ち寄ってスムーズに処分できるようになっています。
- 回収してもらえるゴミ: チェックイン時に専用のゴミ袋がもらえるので、「可燃物のみ」その袋に入れて廃棄することができます。
- 持ち帰りとなるゴミ(要注意): 不燃物、缶、瓶、ペットボトル等はすべて持ち帰りとなります。
モンベル大山キャンプサイト その他施設(広場・遊歩道)


テントサイトの周辺には、大山の豊かな自然をさらに身近に体感できる開放的なエリアや散策路が整備されています。
- 多目的広場: 場内にはゆったりとした広い多目的広場が設けられています。空が大きく開けているため、のんびり寝転がったり、夜には大山の美しい星空を仰ぎ見たりするのにも絶好のスペースです。
- 大山森の遊歩道: 敷地内には綺麗に整備された「大山森の遊歩道」が通っています。特別な登山装備がなくても気軽にブナ林の散策を楽しむことができ、キャンプ場にいながらにして、より深く、身近に大山の大自然を感じることができます。
中国地方最高峰の麓へ!大山野営とチェックアウトまでの参道散策

中国地方最高峰を誇る山、大山。
実は前回この地を訪れた際は天候に恵まれず、「だいせん」と呼ぶことすら知らず…。
行きなれた通が行くような裏大山(鏡ヶ成)にテントを張って一夜を過ごすという経験をしていた。

今度こそ、間違いなく大山(だいせん)へ――。そんな強い思いを胸にルートを計画する中で見つけたのが、この地にある「モンベル大山キャンプサイト」だった。
(前来た時、こんなとこあったっけ?)
今回のツーリング旅では、一切ホテルを利用しないと決めていた。
そのため、この旅一番の贅沢なキャンプ地となる。
しかし、前回の雪辱を果たすため、そして旅の後半でリブートを得るための投資としては、
むしろ適切な選択なのかもしれない。
山岳メーカーがこだわり抜いてプロデュースしたキャンプ場とあれば、嫌が応にも期待は高まる。
神話の国、出雲を後にし、いざ向かわん。目指すは神宿る山、大山へ!
【道中編】から順を追って旅の様子を共に辿りたい方は、このまま下へ読み進めてください。
【滞在編】キャンプ場での滞在の様子をすぐに見たい方は、こちらのリンクからジャンプできます。
👉【滞在編】モンベル大山キャンプサイト!大山麓の森を拠点にキャンプする
【散策編】歴史ある大山参道や、周辺のモンベルショップめぐりをいち早くチェックしたい方は、下記をクリックしてください。
【道中編】出雲・松江から大山へ!中国地方の最高峰を目指すツーリング記

前泊したキャンプ場を後にし、松江に向けて宍道湖通りをバイクで走り出す。
昨日は突然のトラブルに見舞われ、精神的にもどんよりとした灰色だったこの道を往復する羽目になっていた。
しかし、トラブル処理のための「単なる移動」と、目的地へ向けた「旅の走り」とでは、心の持ちようが全然違う。
空模様は回復し、青く穏やかな水面をすぐ横目に捉えながら、まずは松江を目指して心地よく走る。


昨日あれほど重く感じられた道のりが、同じ道とは思えないほど、今は走る喜びそのものに充実していた。

松江で嬉しい再会!萩で出会った「どんどん」でカツ丼

松江の市内を走る国道9号に接続。
バイクを走らせていると、目の前にまさかの看板が飛び込んできた。
3日前に山口県の萩で堪能したばかりの、あのうどんの名店「どんどん」である。
やや、島根にも店舗があったのか!
これは寄らざるを得ない。
朝食とも昼食ともいえない中途半端な時間帯だったが、この機を逃すわけにはいかないと即座にピットイン。
店の入り口へ歩を進めようとしたその時、目に飛び込んできたのは
「うどん屋のカツ丼〈名物〉」と書かれた、いかにもヨダレがたれそうになる写真だった。

萩の店舗では名物の「肉ごぼう天うどん」をすでに味わっている。
ならば今回は、この第二の名物にありつくしかない。
一瞬で脳内はカツ丼の口になってしまった。
しばらくして運ばれてきたカツ丼は、萩の店舗とは違い、ネギが別盛りで提供されるスタイルのようだった。

まずはカツを一口。――旨い!
サクサク感を残した揚げたてのカツに、さすがうどん屋と言わんばかりの極上の出汁がじゅわっと染み渡っている。
ここで、別盛りの青ネギを惜しげもなくすべて投入。
甘辛いタレを吸った卵とカツの上に、鮮やかな緑のネギがこんもりと盛られたこのビジュアル。

なるほど、カツ丼にネギを贅沢に大量投入する食べ方があったか。
出汁の旨味とネギのシャキシャキ感が絶妙にマッチし、夢中でかき込んで大満足の完食となった。
さて、腹も満たされたところで先へ進むとしよう。
どんどん 松江店
カツ丼 650円

昨晩、トラブルに見舞われて泣きそうになりながら走った道もここまで。
この先からは、まだ見ぬ未知なる道路へと突入していく。

次に目指すのは、あの「ベタ踏み坂(江島大橋)」。
ここを駆け抜け、いよいよ鳥取県への進入を試みる!
「ベタ踏み坂」を望む、ちょっとマニアックな作戦

松江から中海に浮かぶ大根島(だいこんじま?)へと渡り、事前に地図上で目をつけていた名前のなき場所へバイクを停める。

ここから対岸にそびえる、江島大橋を湖越しに望もうという作戦だったのだが…。
いざバイクを降りてファインダーを覗いてみると、これが完全に大誤算。
超望遠レンズでも用意していないとダメな距離感で、全く存在感がない。
奇をてらった秘密の特等席作戦だったが、これは正直いまいちだった(笑)。

名もなき場所

気を取り直して、本来の着地点である江島大橋(えしまおおはし)の袂へとバイクを進める。
そうそう、やっぱここよね。
望遠レンズではないものの、常に携えている単焦点レンズで景色を捉え
あの壁のように立ち塞がる圧倒的な構図を無事に写真に収めるという目的を果たした。

シートに跨がり、いざその坂へと向かってスロットルを開ける。
しかし不思議なもので、遠目で見るようなそびえ立つほどの急勾配は、実際にバイクで走ってみるとそれほど感じられない。
気の抜けた感じを抱きながらも、いよいよ鳥取県へと突入した。
江島大橋

鳥取突入!標高上げて大山へ!

ついに鳥取県へと足を踏み入れた。
今回の中国地方キャンプツーリングにおける、最後の県に到達だ。
鳥取といえば、砂と梨と偉大な漫画家。
そんな名物をあれこれと連想しながら、まずはお馴染み「ラ・ムー」へ立ち寄り、今夜の買い出しをすることにする。

ここでも相変わらず盛況のPAKU-PAKUの姿が見え、いつもなら吸い込まれるところだが、ぐっとこらえる。
さっき松江でカツ丼を食べてしまったばかりなのだ。
今回の旅では結構ストイックにたこやき縛りを気にしており、PAKU-PAKUを素通りするなどありえないのだが、こればかりは旅の巡り合わせ、やむを得ない(笑)。
店内を色々物色して今夜のキャンプ食材をしっかりとゲット。
またしても大満足の戦果をあげ、意気揚々とシートに跨がった。

ラ・ムー 米子北店

いよいよ中国地方最高峰の麓へとアプローチを開始する。
米子辺りを走っている段階では綺麗に捉えられていた美しい稜線だったが、標高が近づくにつれて、山の表情がみるみる変わっていく。上空から降りてきた厚い雲にその雄姿が覆われていってしまった。

またしても、大山は顔を隠してしまうのか…。
前回のほろ苦い記憶が頭をよぎる。
結局、その偉大な頂を一度も望めぬまま、本日の宿営地である「モンベル大山キャンプサイト」へと到着した。

【滞在編】モンベル大山キャンプサイト!大山麓の森を拠点にキャンプする
ついにたどり着いた「モンベル大山キャンプサイト」。
まず目に飛び込んできた管理棟は、石組の土台の上に木製の建屋とウッドデッキが構えられ、外観からして「ああ、モンベルだ」と思わせる洗練された佇まいだった。
ここでもお馴染みのモンタベアが迎えてくれる。

中へ一歩足を踏み入れると、天井の高い吹き抜け。
モンベルのギアが多数陳列されており、もはやキャンプ場の受付だけでなく、立派なショップそのものの規模感だった。
受付で名前を告げる。
基本的にはシステムによって自動的にサイトが割り当てられる仕組みのようだが、
この日は平日ということもあり、利用者は私を含めてわずか2組だけだった。
すると、対応してくれたスタッフの方が、なんと自分とまったく同じ型のバイクに乗る「同志」であることが判明。
にわかにバイク談義に花が咲く中、スタッフさんはバイカーならではの視点で、場内のおすすめサイトを2箇所提案してくれた。
「もしよかったら、実際に見てからどちらにするか決めてもらってもいいですよー」
なんとありがたい申し出だろうか。平日に旅をする者だけに許された最高の特権である。
バイカー視点の的確なアドバイスと、多彩なサイト巡り
お言葉に甘えて、さっそくバイクを走らせてサイトの下見へと向かう。
おすすめされたのは「D15」と「D2」という2つのデッキサイトだった。

場内は一方通行になっており、入り口から二股に分岐している。
まずはD15を見に行くべく、分岐から下のほうへと続く道を選ぶ。

サイト番号が振られた専用の駐車場にバイクを停めてみて、ハッと気づかされた。
なるほど…。
このキャンプ場(デッキサイト)は、サイトの指定駐車場が必ずしも区画の目の前にあるわけではないのだ。

重い荷物を満載したバイクから、高低差のあるサイトまで何度も荷物を運ぶとなればそれだけで一苦労だ。
もう一つの候補であるD2も確認してみて、スタッフさんがこの2つを推してくれた理由が本当によく分かった。
駐車場からデッキへのアクセスや、バイクの停めやすさまで考慮してくれた、
まさにバイカーならではの視点による的確なアドバイスだったのだ。
下見を終え、上段に位置し、サイトの奥行を感じられそうな「D2」に場所を決めた。
せっかくなので、一方通行のルールに従ってそのままバイクで場内を一周してみることにする。

高低差のあるデッキサイトエリアを抜けると、今度は一気に野営感が漂うワイルドな「グラウンドサイト」が現れた。

さらに進むと、今度は舗装路の脇に綺麗な砂利が敷き詰められた「オートサイト」が広がっている。

実に見事で多彩なバリエーションだ。
場内をゆっくりと見学しながらそのまま一度ゲートを出た。

スタッフさんに「設営地はD2にします」と伝えていよいよ再入場。
入口付近の分岐を今度は右側の高いほうへと進入した。
瀕死のガジェット蘇生と、初めてのアンカーペグ

D2サイトの専用駐車場にバイクを停める。…と、ここで一瞬肝を冷やした。
おっと、危ない…。
駐車場は平坦ではなく、緩やかに傾斜しておりバイクを停める際スタンドが浮いてしまう。
しかも地面には小石が転がり、苔が生えているため足元が滑るのだ。
地面とのスキマ埋めにもサイドスタンドプレートは、ここでは必需品である。

気を取り直して荷物を下ろし、今夜の拠点となるウッドデッキへと足を踏み入れる。
うむ、ソロ用テントを張るには十分すぎるほどの広さだ。

ふと視線を先へ向けると、サイト専用の配電盤が目に留まった。
2口のコンセントが備わっているだけでなく、嬉しいことにあらかじめ延長コードがセットされていたのだ。しかもウッドデッキの寝床までしっかり届く長さ。
このキャンパーの動線を考え抜いた粋な計らいには、思わずニヤリとしてしまう。

さっそく、瀕死のギアたちの蘇生を始める。
今回の旅、夜の照明はWAQ LEDランタン2とGoal Zero(ゴールゼロ)の2台にすべてを任せている。
WAQは全体を照らすメイン灯、ゴールゼロはサブとしてテントのインナー用。
さすがにまともなコンセント充電なしで8泊目ともなると、日中のバイク走行中のUSB充電だけでは到底賄いきれない。
案の定、すでにゴールゼロのバッテリーは完全に死んでいた。
モバイルバッテリーはいくつか持ってきたが、メインで20000mAhのこいつをもっていると心強い。
出力値も45Wと高いので急速充電できる。
ここぞとばかりにまとめて充電させてもらう。

エネルギーの補給が始まったところで、いよいよ設営に取りかかる。
相棒の「アテナワイドツーリング130」はほぼ自立式のテントだが、背面の一箇所だけは綺麗に形を保つためにペグ打ち(テンションがけ)が必要となる。
ここで、受付で無料レンタルさせてもらったウッドデッキ用アンカーペグの出番だ。

ウッドデッキの板と板の隙間に差し込み、カチッと90度ひねるだけ。


隙間にちょうど収まる厚みであれば、わざわざロープを長く伸ばして地面にペグ打ちをせずとも、これ1本で見事に完璧なテンションをかけることができる。

なるほど…これは便利だ。いいことを知った。
さすがに20本も買い揃える必要はないが、このアンカーペグを道具箱に1〜2本忍ばせておくだけで、今後どんなサイトに遭遇してもマルチに設営できるようになる。
旅から帰ったら、すぐにネットで探して買おうと心に決めた。
今夜の拠点が無事に完成。

標高が高いおかげで下界に比べればはるかに涼しいはずなのだが、設営をこなした体はじんわりと汗ばんでいた。
よし、拠点もできたことだし、さっそくシャワーへ行って汗を流すとしよう。
モンベルの本気?居座りたくなる冷房シャワー室と、息をのむブナ林の夕景
シャワー道具をひっさげて、宿営地からてくてくと場内を歩き出す。

サイトを包み込むように広がる見事なブナ林が本当に心地よい。
ただ歩いているだけなのに、まるで森林浴を楽しんでいるかのような贅沢な気分に浸らせてくれる。

そのまま管理棟の1階部分に到着。
シャワー室のドアの前に立つと、そこには銀行の裏口にでもあるような頑丈なボタン式の暗証番号ロックが設置されていた。

受付のときに案内された番号を、念のためにと携帯の画像に残しておいて本当に良かった。
スマホの画面を確認しながら番号を打ち込むと、カチャリと小気味よい音を立ててドアが開いた。

中へ一歩足を踏み入れると、そのクオリティにまた驚かされる。
着替えを入れるカゴが綺麗に格納された棚があり、その反対側にはピカピカの水道とシンク、そして大きな鏡が設置されている。その奥に清潔感あふれるシャワーブースが備わっていた。
これで湯船さえあれば、完全にホテルの温泉施設なんだけどな。
例えるなら…、湯船がないので、ジムのシャワー室といった佇まいか。
そして何より、部屋の中が信じられないほど涼しい。
なんと、キャンプ場のサニタリースペースであるにもかかわらず、空調が効いていたのだ。

サイトも最高だけど、ここに居座りたいなぁ…。
せっかく大自然の中にキャンプへ来ているというのに、あまりの快適さに、そんな邪推がふと頭をよぎる。
至福のシャワータイムを終えて外へ出ると、思わず息をのんだ。
ブナの木々の葉っぱの隙間から、鮮烈なオレンジ色の夕陽が差し込んでいたのだ。
涼しい風が吹き抜け、光と影が織りなす緑の森がシルエットとなり美しく浮かび上がる。

その圧倒的な光景を見つめていると、自分が今どこにいるのか分からなくなるような、まるで日本ではないどこか遠い異国に迷い込んだかのような不思議な感覚に包まれていた。
ほぼ貸切状態のブナ林で久しぶりに豪華ディナーを調理する
サイトに戻って腰を落ち着けると、それから間もなく辺りは真っ暗になった。
なんせ、この広大なキャンプ場にいるのは自分ともう一人のキャンパーだけなのだ。
静寂の深さが、いつも行くようなキャンプ場とはまるで違う。
それでいて、完全な孤独ではなく、どこかに誰かがいるという絶妙な気配と、キャンプ場そのものに守られているという、無料野営地とは一線を画す確かな安心感がある。
この静けさと安全が両立した特別な空間に、たまらなく贅沢な気分に浸る。
さて、ここ数日は手間いらずの弁当・総菜が続いていたが、今夜は久しぶりにじっくりと夕食の支度に取りかかるとしよう。
ラ・ムーで仕入れてきた戦利品は、豚肩ロースステーキ、舞茸の和風パスタ、そして食べたかったタマゴポテトドッグだ。

さっそく調理開始。
まずは豚肩ロースをフライパンへ。
豚肉だが、あえて牛脂を使って炒めていく。

こうすることで、風味とコクがアップして不思議と「牛」に近くなるのだ(笑)。

ジューシーに焼き上がったところで肉を一度上げ、旨味がたっぷり溶け出した残りの脂はそのままに、すかさず舞茸の和風パスタを投入して炒め合わせる。

仕上げに、先ほど焼いておいた肩ロースをどんと豪快に乗せ、ワンプレートの豪華なディナーが完成した。

そしてここで、この旅が始まってから8泊目にして初めての活躍の場を迎えるギアが登場する。
今回のために忍ばせていた折り畳み波刃ナイフだ。

さっそく肉に刃を入れてみると、「おーっ!」と思わず声が出た。

肉の断面が一切潰れることなく、きれいにサクサクと切れていく。
ナイフで切り分けた肉を口に運ぶ。うむ、旨い。
さらに、もう一枚残しておいた肩ロースには、かば焼きのタレを絡めて焼き上げる。

北海道・帯広名物の豚丼をオマージュして作った一品だが、これが甘辛くて最高のつまみになった。
これを、お楽しみとっておいたボリューム満点のタマゴポテトドッグと交互に合わせながら平らげていく。
旨い。このタマゴポテトドッグ、次に見かけたらリピート確定な。
大満足の夕飯を終えて一息ついた瞬間、ゾクッと体が身震いした。
手元の温度計を見ると、気温は15.7°C。
標高の高さを証明するかのように、山の夜の冷え込みが侵食し始めていた。

上着を着込み、今夜の宴の締めくくりへ。
デザートのチョコドーナツをかじり、温かくしたコーヒーで落ち着かせる。

ふと遠くに視線をやると、もう一つのエリアにポツンと灯っていたランタンの光も、いつの間にか消えているようだった。更なる静寂がブナ林を包み込んでいく。
よし、こちらもそろそろ寝るとするか。
シュラフに潜り込み、静かに目を閉じた。

ローカルパンで迎える朝と撤収と妙案
鳥のさえずりで目覚めた。
テントのジッパーを下ろすと、空にはどんよりとした曇天が広がっていた。

さっそくスマホを取り出して天気予報をチェックすると、午後からは大雨になる予報。
だが、裏を返せばチェックアウトの午前中いっぱいまでは、この静かな森の中で十分に優雅な時間を過ごすことができそうだ。
まずはコーヒーを淹れ、昨日仕込んでおいたパンを取り出す。

このパン、関東のスーパーではまず見かけないシロモノなのだが、中にたくあんが入っている。
実際に口に運んでみるとポリポリとした独特の食感とともに、絶妙な酸味とまろやかなコクが広がり、旨い。
そういや、滋賀でもこんなの食べたっけかな?ふと、過去の記憶が頭をよぎる。
こういう、地域限定の面白いローカルフードにふと出会えるのも、ツーリング旅の密かな醍醐味である。
食後は特にやることもなかったので、雨に降られる前にと早めの撤収作業に取りかかる。

濡れていないテントをたたみ、綺麗になったウッドデッキを見届けてから、
ペグを返しに管理棟へと向かった。
しかし、少し時間が早すぎたのか、管理棟はまだ営業時間前で閉まっている。

さて、どうしたものか。
時計を見ると8:30。チェックアウトの時間まではまだ少し余裕がある。
ならば、それまでの間こちらにバイクを置かせてもらって、大山参道を散策してみるか。
午後からの雨を前にバイクを置いて、参道のほうへとてくてくと歩き出した。
【散策編】チェックアウトまでの大山参道めぐり帖

【散策ルート】
- 大神山神社 奥宮
- 大山寺
- 大山火の神岳温泉足湯
- モンベル・フレンドマーケット 大山参道市場
- モンベル 大山店
大山寺橋に立ち、山の方を仰ぎ見る。
空は厚い雲に覆われ、もうその雄大な姿を拝むことはできそうにない。

麓のモンベルショップもまだ開店前。
大山参道に堂々と店を構える大山参道市場(モンベルフレンドショップ)も、まだ門を閉ざしていた。
視線を戻し、参道を見上げる。

目の前には、どこまでも果てしなく続くような長い石畳の道が伸びていた。
どうやらこの先にある大神山(おおがみやま)神社と大山寺(だいせんじ)が、
このエリアの一大見どころのようだ。
大山寺…だいさんじ…大惨事…? いや、いかんいかん。
慌てて口をつぐむ。
こんなことを言ってると出雲のときのように、また天誅を喰らってしまうかもしれない。
せっかくここまで来たのだ。
多少の曇天や坂道に怯んで引き返すわけにはいかない。
しかたない、行くか。と気合を入れ直し、一歩を踏み出す。
だが、この緩やかな坂道が地味に足に来る。
じわじわと体力を削られながら、やっと着いたかと思えば、そこは大山寺の山門前だった。

目の前に立ちはだかるのは急勾配の階段。
そして、視線を移すと鳥居が待ち構える薄暗い道が、遥か奥へと続いていた。

【大神山神社】果てなき石畳の先にあった荘厳な社殿
お寺と神社、どちらを先に参るべきか。
こういうとき、何か決まったルールでもあるんだろうか。
少し悩んだが、ええい、どうせどちらも行くなら、遠い方から攻めてみるか。
意を決して鳥居をくぐり、中へと進む。
道が右へとカーブした先に現れたのは、誰もいない、尚も続く石畳のはてなき坂道だった。

はぁ、はぁ…。
静寂の中に早くも自分の荒い呼吸だけが響く。
歴史を感じる石畳の苔に時折足元を滑らせながら、一歩一歩坂道を登っていく。
道中、はるか先を見据えて歩くのはあまりにもしんどく、視線は下を向く。
視界に入るのは、ずーっと変わらぬ足元の石畳景色だった。

ようやく視界がひらけたものの、どうやら本殿はまだまだ先らしい。
くじけそうになったが、絶妙なタイミングで「御神水」なる手水場?が現れた。
手酌で掬い、ごくごくとのどを潤す。
冷たい水が体に染み渡り、一瞬で生き返るようだ。正に「超神水」。

ふと見ると、すぐ近くで一人の男性が写真を撮っていた。
どこか雰囲気が異国風で、韓国からの観光客のようだ。
かつて少しだけ学んだハングルを脳裏から引っ張り出し、旅の交流がてら場所を聞いてみようと試みる。
「アニョハセヨ…、シンサヌン オディ インヌンデヨ?(こんにちは、神社はどこですか?)」
我ながら上出来だ、と思って返答を待つと、
「モウ ソノ カイダン ノボッテ スグデスヨ。ファイティン!」
と、あまりにも流暢な日本語で返されてしまった。
ははは、こっぱずかしい。気恥ずかしさと温かさに思わず笑みがこぼれる。
彼が指さす方へ目を向けると、いよいよこれが最後の階段のようだ。
重くなった足を一段一段踏み出して、最後の力を振り絞って登りきる。

ついに、鬱蒼とした森の奥に荘厳な本殿が姿を現した。
「大神山神社 奥宮」。

周囲を圧倒するような、ただならぬ神聖な空気が満ち満ちている。
中に入ると、厩舎さながらの場所に馬の像が鎮座していた。なんでも、なでると御利益があるらしい。

それにしても、こんな険しい道のりの最奥だ。
ここで参拝客が怪我をしたり、病気になってしまったりしたら、一体どうするのだろうか?
という疑問がふと湧いた。ちょうど近くに社務所の人がいたので、思い切って聞いてみる。
「ごくまれに、登山の方が怪我をされて降りてこられることがありますけどね。実は途中まで車で来られるルートはあるんですが、それでも最終的には担架で人の手で運ぶようになりますね」
なんと。この果てしない石畳と階段を、人を乗せた担架を担いで昇り降りするのか…。
それこそ文字通りの大惨事……おっと、いかんいかん、また口が滑りそうになる。
慌ててひとり突っ込みを飲みこみ、頭を下げ、神聖な境内を後にした。

大神山神社 奥宮

【大山寺】神馬の次は霊牛。神仏習合の歴史が息づく名刹へ

帰りは下り坂ということもあり、足取りも気分もずいぶんと軽い。
時間が経ったせいか、いつの間にかちらほらと他の参拝客の姿も増え始めていた。
途中、本道から逸れる横道を見つけ、そこを下っていくと「大山寺」にたどり着いた。

こちらも深い歴史を感じさせる見事な名刹である。
さっきの上の神社には「馬」がいたが、こちらの寺には「牛」の像が迎えてくれた。

なでると願いが叶うというありがたい牛の像。干支が何年だろうが馬だろうが牛だろうが関係ない、
バイクのハンドルを握り続ける腕と、今まさに歩き疲れて悲鳴を上げている太腿のあたりに狙いを定め、念入りに、タンねんにその牛の体をなで回しておいた。
これでこの先も安泰なはずだ(ろう)。
さらに参道を下っていくと、今度はお稲荷様が現れた。
はて、明治の神仏分離の荒波を免れ、今もお寺と神社がこうして色濃く混ざり合っているのだろうか。神仏習合の時代の名残を感じさせる、非常に興味深い場所だっだ。

角磐山 大山寺

【大山参道市場(モンベルフレンドショップ)】近くにあった足湯のトラップと土産選びの誤算

下にまた、果て無く伸びる参道をトコトコと下りきると、ちょうどモンベルフレンドショップの開店5分前だった。
まだ少し時間があるので、先のほうへ足を延ばしてみると、温泉施設の前に風情ある足湯を見つけた。
時間まで、ちょっと足湯にでも浸かって疲れを癒やすか。
そう思って手を伸ばし、湯加減を確かめようと水面に触れた瞬間、すぐさま手を引っ込めた。
冷たっ…!

なんと湯ではなく、ただの冷水。
限定の冷やし足湯だったのだろうか、思わぬ湯温に苦笑いする。
大山火の神岳温泉足湯

そうこうしているうちに、開店時間となった。
さっそく「大山参道市場」の店内へ入る。
ここにはお馴染みの「モンタベア」は不在のようだ。
中にはモンベルのギアはもちろん、大山の特産品や、香ばしい匂いを漂わせる焼き立てのパンなどが陳列されていた。


ふと目にとまったのは「大山小麦」の袋。
パン焼きが趣味の知人がいるので、これをお土産にしたら絶対に喜ぶだろうと思い、購入を決定。
だが、手渡された粉のずっしりとした重みを感じてハッとする。
んー…、ソロツーリングの荷物としては、かなり嵩張る(というか重い)ものを選んでしまったかもしれないな。
まあ、それも旅の愛嬌だ。パッキングは何とかしよう。
モンベル・フレンドマーケット 大山参道市場
※大山市から委託をうけているとのこと

【モンベル大山店】ピッケルのドアノブと垂れ耳ベア、大山散策の締めくくり

続いて、「モンベル大山店」も開店したので入ってみる。
なんと、ここの入り口のドアノブは、登山で使う「ピッケル」を模したデザインになっていた。
ニヤリとさせられる、じつに心憎い演出である。
こちらのモンタベアは耳が後ろにペタンと垂れ下がっている。
場所によって少しずつ表情が違うのを発見するのも、全国のモンベルを巡る密かな楽しみだ。

2階建ての広々とした間取りの店内をさらっと見回り、ふと腕時計に目を落とす。
チェックアウトの時間まで、あと30分か。
チェックアウトまでの時間を使い、大山の歴史と文化、そしてお土産選びまで、
驚くほど充実した散策を堪能することができた。
モンベル 大山店

さて、ではペグを返しに行って、ここを後にするか。
留守番させたバイクを引き取りに、キャンプ場へ向けてもと来た道をまたてくてくと歩いて戻った。
【まとめ】ソロキャン考察:大山キャンプサイトでの滞在を経て

最後に一晩お世話になった「モンベル大山キャンプサイト」についての総括をしておきたいと思います。
今回、ウッドデッキサイトを利用し、実際に一晩を過ごしてみて感じたこのキャンプ場の「良かったところ」と「気になったところ」を、バイクソロキャンパーの視点でまとめます。
ブナ林の景観と絶妙なサイト配置、駐車場で決まる搬出入の試練
良かったところとしては、何と言ってもその心地よいサイト配置と景観が挙げられます。
今回利用したD2サイトは場内の上段(ひな壇状)に位置しており、隣との距離感が適切でプライベート感がしっかり確保されていました。
これは閑散期に限らず、週末の混雑期を想定しても十分に保たれるであろう絶妙なレイアウトです。
また、周囲を瑞々しいブナの木々に心地よく囲まれていながらも、決して鬱蒼としすぎていない開放的なバランスが実に素晴らしかったです。
場内を散歩するだけで、そこに佇んでいるだけで、贅沢な森林浴を楽しめる見事なロケーションでした。
一方で、気になったところは「必ずしも自分のサイトのすぐ近くに駐車場が配置されているわけではない」という点です。
こちらのキャンプ場は基本的に事前のサイト指定(場所の選択)ができない仕組みになっているため、当日どこに割り振られるかは運次第となります。
場内にはそれなりに傾斜もあるため、たとえばD7やD8サイトなどの場合、指定の駐車場から斜面を何度も往復して荷物を搬入出せねばならないケースも出てきます。
重い荷物を満載したバイクから何往復もするとなれば、それだけで少々骨が折れます。
今回はスタッフさんの配慮(※但し、これはサイトに余裕がある閑散期のみの特別な対応です)のおかげでベストな場所に救われましたが、どこに配置されても対応できるよう、
バイクであれば荷物の軽量化、車であればキャリーカートを用意しておくなど、
事前の対策を少し意識しておきたいポイントです。
ソロキャンパー視点:この料金を「高い」とみるか「安い」とみるか

一般的なソロキャンプの相場から見れば、ここの利用料金は決して「安い」部類ではありません。
【ソロ利用の場合の利用料金(※入場料800円/1人として。価格幅はグレードによる。)】
- グラウンドサイト:3,000円〜5,800円
- デッキサイト:4,800円〜6,300円
- オートサイト:5,200円
エアコン完備のシャワー棟のクオリティに比べると、お湯が使えない、トイレにウォシュレットがないなどの設備面がかえって悪目立ちしている感もあります。

では、一晩体験してみて、このキャンプ場の最大の魅力は一体どこにあるのか。
それは何と言っても、「大山をまるごと楽しめる絶好のハブ地」であったことに他なりません。
登山をはじめ、歴史ある名刹や神社を巡り、徒歩圏内には大山を堪能できる温泉がある。
さらに特産の土産やカフェ、モンベルショップまで揃っている。
その大山の自然の懐に抱かれながら、まさにその場所に自分の「拠点」を持てる価値は唯一無二です。
もしかするとですが、モンベルはあえてウォシュレットや給湯器を配備しなかったのではないでしょうか。
このキャンプ場の前身は、古くからあった「下山野営場」という場所だったそうです。
その元々あった自然豊かな良さを最大限に活かしつつ、あえて若干の不便さをスパイスとして残し、
丁寧なリノベーションを加えたのではないか――そんな勝手な推測をしてしまいました。
この大山をトータルで味わい尽くすための拠点としての充実度は、非常に高いものでした。
これを「高い」とみるか「安い」とみるかはもちろん利用者次第ですが、
少なくとも私にとっては、十二分に堪能できた滞在でした。
さいごに

大山の全貌こそまたしても拝めなかったものの、なんだかんだで大山という土地を満喫した、確かな充実感がありました。
ところで、モンベルショップ大山店に立つ「モンタベア」は耳が垂れていて、実にユニークな姿です。
全国のモンベルショップを巡る際、ご当地Tシャツを集めるのも楽しいものですが、
店舗ごとに若干異なるモンタベアの表情や佇まいを見て回るのも、面白い旅のテーマになります。
(ちなみに、今までで最も印象的だったのは、小倉の店舗で見かけた少し白内障気味のモンタベアです。笑)
聞いた話によると、鳥取という場所は実に治安が良いところだそうです。
地元では車のキーを付けっぱなしにして離れても、誰も気に留めないのだとか。
移住など考えたこともありませんでしたが、候補地に挙げても良いかもしれません。
それでは、次はどこへ向かうのか。どうぞお楽しみに。
(ちなみに、旅はまだもうちっとだけ続くんじゃぞ ←某仙人風に)







※ちなみに早朝出発の際は、シャワー室前にあるこちらに返却することが可能でした…。