中国一周キャンプツーリング第5夜。
連日30℃越え。まだまだ残暑の照り付けが厳しい日々…。
コインシャワーで済ませてはいるけど、やっぱり湯船が恋しい…、とルート上を探していたところ、見つけたのが「萩阿武川温泉公園キャンプ場」。温泉公園?!
温泉施設が隣接しているだけでなく、なんと1泊310円という破格のコスパ!
しかも、前回の中国地方ツーリングでは素通りしてしまった、あの歴史ある「萩」の街にもアクセス抜群という、まさに理想の立地だったのです。
本記事では、設営後に即・萩観光や温泉へ直行できるこのキャンプ場の詳細レポートはもちろん、
ここをベースキャンプにしてグルメや歴史に触れた『萩散歩』の様子も合わせてたっぷりとお届けします!
萩阿武川温泉公園キャンプ場の魅力とは
- 【温泉】:敷地内に温泉施設「ふれあい会館」が隣接
- 【コスパ】:1泊310円!圧倒的なコストパフォーマンスと予約不要の手軽さ
- 【ロケーション】:阿武川の清流。山と川に囲まれたロケーションと芝生サイト
- 【観光アクセス】:城下町やグルメを楽しめる『萩』エリアまで抜群のアクセス
魅力①:【温泉徒歩0分】設営したら、即温泉

このキャンプ場は、まさに「萩阿武川温泉」が管理・運営しています。
そのため、キャンプサイトのすぐ隣に日帰り温泉施設「萩阿武川温泉ふれあい会館」があります。
連日のツーリングで「そろそろ湯船に浸かりたい…」と渇望していた身体に、この距離感はまさに天国。
泉質はアルカリ性単純硫黄温泉で、肌がツルツルになる「美肌の湯」として評判です。
驚くべきは、内湯だけでなく露天風呂、さらにはサウナまで完備されていて「大人550円」というリーズナブルな価格設定。

設営後、夜の冷え込む時間、そして翌朝の撤収後と、何度でも足を運びたくなる温泉環境がすぐそこに整っています。
魅力②:【1泊310円】圧倒的なコストパフォーマンスと予約不要の自由さ
利用料金はなんと「1泊310円/名」という驚異の破格設定です。
さらに嬉しいのが、事前予約が不要(当日受付)という点。
スケジュールが変わりやすいキャンプツーリングにおいて、当日ふらっと行って、310円で泊まれるというのは旅人にとってこれ以上ない強みです。
浮いた予算を焚き火の薪に回したり、地元の美味しいグルメや観光に回せたりするのも嬉しいポイントです。
魅力③:【阿武川の清流】川のせせらぎに癒やされる芝生サイト

キャンプ場は阿武川のほとりに位置しており、ダイナミックな山々と美しい川の流れに囲まれています。

全面が手入れされた芝地になっており、山と川に囲まれるロケーションです。

魅力④:【観光アクセス良好】『萩』へサクッと繰り出せる好立地

静かな山間部にありながら、萩の中心市街地までは、阿武川沿いの快走路を走って約20分という好アクセス。
お昼前に設営を済ませてから萩の街へ繰り出すのもよし、
日中はじっくり萩を観光してから、夕方にこちらへ滑り込むのもよし。
自分のペースで自由気ままなバイク旅のスケジュールを組むことができます。

萩阿武川温泉公園キャンプ場 基本データ

| 訪問年月 | 2025/10 | 晴/晴 |
| 名称 | 萩阿武川温泉公園 | 萩阿武川温泉公式H.P |
| 場所 | 〒758-0141 山口県萩市川上4892−1 | 0838-54-2619 |
| 業態 | 公営 | |
| ロケーション | 河原、広場 | 萩阿武川温泉公園内 |
| サイト | フリーサイト | 芝 硬 □■□□□ 柔 |
| サイト規模 | 中規模 | 20~30張程度 |
| 車両乗り入れ | 不可 | 専用駐車場へ駐車 |
| 営業期間 | 通年 | |
| 予約方法 | 不要 | |
| in / out | フリー | |
| 料金(利用プラン) | 310円 | テント1張、バイク1台、ソロ利用 |
| (内訳) | 使用料 | 310円/名 |
| 駐車料金 | なし | |
| 設備 | 管理棟:萩阿武川温泉ふれあい会館 | 10:00~20:00※温泉営業時間 |
| (売店:あり) | 川上農林産物直売所 | |
| (レンタル:あり) | バーベキューセット | |
| トイレ:あり | 水洗、洋式/和式 | |
| 風呂:なし/シャワー:なし | 風呂は萩阿武川温泉を利用 | |
| 炊事棟:あり | ||
| 灰捨て場:あり | ||
| ゴミ捨て場:なし | ||
| その他施設 | 東屋、休憩所 | ※休憩所は有料 |
| 温泉、直売所、 レストラン、バンガロー | ||
| 直火の可否 | 不可 | 要 焚火台&焚き火シート |
| 薪の販売 | あり | 250~700円 |
| 薪の現地調達状況 | 難 ☑□□□□ 易 | |
| 電波状況 | 良好 | 楽天モバイル |
| 客層(主観) | ソロ□□ ☑□□ ファミリー | |
| 獣・虫 | アナグマ | |
| 買い出し | スーパーマーケット | ザ・ビッグエクストラ萩店 約10.4km 川上農林産物直売所 約0km |
| コンビニ | セブン-イレブン 萩金谷店 約11.0km | |
| 温泉 | 萩阿武川温泉 | 約0km |
萩阿武川温泉公園キャンプ場 予約はどうする
このキャンプ場は飛び込みOK、事前予約が不要の「当日受付制」となっています。
萩阿武川温泉公園キャンプ場 サイトの様子

主な特徴
萩阿武川温泉公園キャンプ場のテントサイトの主な特徴は、以下の通りです。
- 【サイトタイプ】:フリーサイト
- 【ロケーション】:広場、河畔
- 【サイト規模】:1面のみ(約20~30張り程度)
- 【地面の状況】:芝
- 【乗り入れ】:車両の乗り入れ不可
広々と開放的な「1面のみ」の草地フリーサイト
キャンプサイトは区画のない、広場のような1面のみのフリーサイトになっています。
適正規模としては20〜30張り程度。
阿武川のすぐ側にある河畔のロケーションですが、テントサイトと川の間には舗装道と植え込みがあり、サイトから川面を見降ろせる場所は、ほぼありません。


車両の乗り入れは不可(車道、駐車場側であれば横付搬入可能)
フリーサイト内へのバイクや車の乗り入れ(走行)は禁止されています。
これだけ聞くと「搬出入が面倒かな?」と思うかもしれませんが、ご安心を。
サイトのすぐ横(西側・東側)が駐車場(アスファルト)になっており、駐車場や車道に隣接したサイトのキワに設営場所を決めれば、車両を横付けしてスムーズに荷物の搬出入が可能です。
ただし、駐車場に関しては重要なルールがあります。
直売所や温泉に近い東側の駐車場(P2)は「直売所、温泉利用者専用」のため、キャンプ利用者の駐車は禁止されています。(※一時的な搬出入時の停車は可能)
東側に横付けして荷物を下ろした後は、速やかに西側駐車場(P1)へ車両を移動させなければならないため、その移動の手間も頭に入れた上で設営場所を決めましょう。


【注意】見た目に反して地面は「超」硬い!

綺麗に手入れされた芝が広がっているため、一見すると「ふかふかでペグが刺さりやすそう」に見えます。
しかし、実は芝の下の地面が驚くほど硬いのがこのサイトの隠れた特徴です。
ここを利用する際は、鋳造ペグを推奨します。
萩阿武川温泉公園キャンプ場・設営アドバイス
広大な1面のフリーサイトだからこそ、どこにテントを張るべきか迷ってしまう方も多いはず。
旅のスタイルに合わせたおすすめの設営ポイントを3つご紹介します。

【利便性重視】車を横付けしたいなら「西側駐車場」の近く

こんな人におすすめ:
荷物の搬出入を楽にしたい、愛車の近くで安心して眠りたいライダー・ソロキャンパー
MAP左側(西側)にある広い駐車場のキワを狙うポジションです。
先述のルール通り、キャンパーが最終的に車両を停められるのはこの西側駐車場のみ。
ここに隣接する草地に設営すれば、実質的な「オートキャンプ状態」になり、撤収時も最短ルートで荷物を積み込めるため圧倒的に便利です。
【唯一の阿武川ロケーション】川面を見れて駐車場から近いのは「休憩所(とんがりぼうし)の隣」

こんな人におすすめ:
「せっかくの河畔キャンプだから、目でも川の景色を楽しみたい!」というロケーション派
サイトの大部分は植え込みに遮られて川面が見えませんが、とんがり屋根の休憩所のすぐ隣(MAP北側の川沿い)だけは別格。
ここなら駐車場からも比較的近く、サイト内で唯一と言っていいほど綺麗に川面を眺めながらキャンプを楽しめます。
また川面にテントの開口部を向ければプライベート感も確保できます。
【日よけ避難場所確保】日差しを避けるなら「東屋」周辺

こんな人におすすめ:
タープを持っていかない軽量スタイルのライダー、日差しを遮る拠点が欲しい方
MAP下側(南側の道路沿い中央付近、とP2駐車場側)にある東屋の周辺です。
この東屋は、実際には木枠にツタを這わせた天井が草で覆われている場所。
タープ代わりに強い日差しを遮るシェルターとして活用できるほか、急な雨が降ってきたときの一時避難場所としても非常に心強い味方になってくれます。
⚠️ 【ココに注意】施設の近くをおすすめしない理由
初めて訪れると、つい「炊事場やトイレなどの施設に近い場所が便利で良さそう」と思ってしまいがちです。しかしこちらの場合、以下の理由から施設近くへの設営はあまりおすすめしません。

施設周辺はキャンプ利用者の往来が集中し、終始落ち着きません。
さらに東側駐車場付近は、キャンパーが温泉へ向かう動線になるだけでなく、一般の温泉利用者や直売所に買い物に来る観光客の車が入退出する分、プライベートな時間を静かに過ごすのが難しい環境といえます。
サイト全体が1面の広場に収まっているため、たとえ一番離れた西側の端にテントを張ったとしても、温泉や水回り施設までは歩いてもさほど苦にはならない距離感です。
萩阿武川温泉公園キャンプ場 施設の様子
萩阿武川温泉公園キャンプ場は、サイト内に必要な設備が揃っているだけでなく、すぐ隣に温泉や直売所が隣接する利便性の高さが魅力です。

萩阿武川温泉公園キャンプ場 管理棟(萩阿武川温泉窓口)

キャンプ場の専用管理棟はなく、受付は「萩阿武川温泉」の窓口で行います。温泉のフロントがキャンプ場の受付も兼ねている形です。

- 受付の手順: 利用申込書に必要事項を記入し、料金を支払うと「使用許可証」が発行されます。
- 利用中のルール: 受け取った利用許可証は、外から見えるようにテントの分かりやすい場所に掲示しておくのがルールです。
- チェックアウト時: 帰り際に窓口へ利用許可証を返却すればチェックアウト完了となります。
売店(川上農林産物直売所)

キャンプサイトと温泉施設のちょうど中間に位置する直売所です。地元の農家さんが育てた新鮮な野菜や加工品をはじめ、キャンプに欠かせない薪や炭もしっかり販売されています。

川上特産のご当地「ゆずみそ」や「梅干し」などが並ぶ店内は、さながら道の駅のようなワクワクする雰囲気。
特筆すべきは薪の値段。
袋に入った「屑薪」はなんと250円。
杉は短いものが一束300円、長いものが500円。ちなみに広葉樹は700円でした。

事前に買い出しを十分に済ませて持ってきていたとしても、「この土地ならではの味覚」をキャンプ飯のアクセントとして当日プラスするにも楽しいスポットです。
営業時間は9時~17時なので焚火するなら薪の買い忘れなきよう。
萩阿武川温泉公園キャンプ場 炊事場

フリーサイト内の中央、川沿いの場所に備え付けられています。
ブロックで作られた、シンクと作業台がセットになった流し台が合計3基並んでいます。

萩阿武川温泉公園キャンプ場 トイレ(公衆便所)

トイレはテントサイトの東側、P2駐車場(東側駐車場)の川沿いに位置しています。
こちらはキャンプ専用というわけではなく公衆便所となっています。
男女別の水洗和式便器です。

個室内の壁になぜか灰皿が備え付けられていたのが妙に印象的でした。

その一方で、併設されているバリアフリートイレはウォシュレット付きの洋式便座を完備した高規格仕様になっているため、和式が苦手な方でも安心です。

また、もしもキャンプ場のトイレが混雑している場合は、すぐ隣にある温泉施設内のトイレを利用しても良いというのも心強いポイント。

男女共用の手洗い場には、鏡に加えてちょっとした小物を置けるスペースがしっかり確保されているため、朝の洗顔はもちろん、コンタクトレンズの脱着をしたいキャンパーにとっても嬉しい設計になっています。

萩阿武川温泉公園キャンプ場 灰捨て

炊事場のすぐ隣には、レンガで囲まれた灰・消し炭捨て場が用意されています。
ただ、この灰捨て場は中に草が生い茂っているうえに、周囲を囲むレンガの高さがかなり低めなのが気になるところ。
風が強い日などは周りに延焼してしまう危険性があるため、必ず完全消火したことを確認してから廃棄するようにしましょう。
萩阿武川温泉公園キャンプ場 ごみはどうする?
ゴミは全て持ち帰りがこのキャンプ場のルールです。
萩阿武川温泉公園キャンプ場 その他施設

キャンプサイト内には、日よけや雨宿りに重宝する東屋をはじめ、「とんがりぼうし」の愛称で親しまれる有料の日帰り休憩所が備わっています。

さらに敷地内には、メインとなる温泉施設やレストランだけでなく、宿泊用のバンガローや専用のバーベキュー施設まで隣接。

フリーサイトでのテント泊にとどまらず、幅広いスタイルに対応できる充実した環境が整っています。
萩観光と温泉キャンプ!萩阿武川温泉公園キャンプ場滞在記

「萩に、大きな忘れ物をしている」
そんな思いが、ずっと頭の片隅にありました。
前回このエリアを訪れた時は、角島→道の駅 阿武町まで一気に素通りしてしまいました。
歴史ある有名な町だとは知りつつも、一体どんな町だったのだろうと、その後もずっと気になっていたのです。
そこで今回は、じっくり腰を据えて萩の町を観光することに決定。
旅の拠点となるキャンプ場選びのキーワードは、『温泉』。
そんな切実な望みを胸に、探していて見つけたのが今回の目的地「萩阿武川温泉公園キャンプ場」です。
「温泉公園」だなんて、バイク旅の寝床としてはこれ以上ないほど、うってつけの名前。
さっそく電話で問い合わせてみると、なんと予約不要で、料金は310円?!という衝撃の答えが返ってきました。
格安すぎて、逆に期待と妄想が膨らみます。
果たしてどんなキャンプ場が待っているのか。そして、ずっと気になっていた萩の町とは——。
絶景のカルストロードと、突如襲いかかる二つの災難

前泊した秋吉台家族旅行村から萩阿武川温泉公園キャンプ場までは、わずか30kmほどの道のり。
久しぶりに心と時間の余裕を持って、ゆっくりと走れるはずだった。
まずは、前日に展望台から引き返していたカルストロードを、今度はその奥の奥まで突っ走る。
緩やかなカーブを曲がるたびに、緑の大地に白い岩が転がる「羊群原(ようぐんばら)」の絶景が次々と現れた。ここからの景色も文句なしに美しい。
そんな至福のツーリング中、ふとスマホのナビに目を向けると違和感を覚えた。
画面の充電マークが消えている。

道端にバイクを緊急停止させた。
ケーブルを挿し直してみるが、どうやら単なる接触不良ではない。ひとまず落ち着いて点検できる場所を探そうと再びバイクを走らせたその時、視界の端に忍び寄る影。とてつもない恐怖が飛び込んできた。
気色の悪い、長い足。それがハンドル周りを行ったり来たりしている。
なんと、バカでかいジョロウグモがバイクにまとわりついていた。
突然の襲来に危うく体制を崩しそうになったが、全身に鳥肌を立たせたまま、必死の思いで大正洞の駐車場までたどり着いた。そこでようやくクモにお引き取り願い、なんとか一難は去った。

しかし、一難去ってまた一難。すぐに次の試練が訪れた。
バイクからの給電チャージャーが完全に壊れていたのだ。シガーソケットとの接触点が、内部のピン折れか何かで完全に埋没してしまっている。

くそう、まだ買ってから半年も経っていないじゃないか…。これではこの先の旅の継続自体が危うくなる。
一転して、余裕しゃくしゃくだったスケジュールに「給電システムの復旧」という最重要ミッションが突如として課されることとなった。

カルストロードを抜けて国道へと接続すると、標識にはついに『萩』の文字を捉えた。
目的地がぐっと近づいてきたことを実感し、胸が高鳴る。

まずはキャンプ場を目指すべく、「川上」という地名が指し示す方向へと舵を切った。
山口県特有の黄色いガードレール越しに、まるで鏡面のように美しく澄んだ川面が見える。
その流れをさかのぼるようにバイクを進めていく。実にいい景色だ。

やがて『長門峡』へと繋がる道沿いにある、萩阿武川温泉へと到着した。

受付にて│チェックアウトはご自由に。

「受付は温泉窓口で」と事前に電話で案内を受けていたため、そのまま温泉施設の自動ドアをくぐった。
時刻は10:00を過ぎたあたり。
ロビーでは、すでに地元の温泉利用客たちが談笑している姿があった。
受付の窓口へ向かうと、利用人数や宿泊数、そして「ペットの有無」を聞かれた。

ペット?そのワードを聞いた瞬間、急に留守番をさせているアマガエルの姿が頭に浮かんだ。
関東育ちのあいつらに、ここ中国地方のお土産として新鮮な虫でも狩って持って帰りたいところだが、さすがにそれは無理がある。まあ、帰宅したらいつもよりたらふく餌を食わせてやることにしよう。ぐぁぐぁ。
そんなことを考えながら、何気なくチェックアウトの時間を尋ねてみると、
「何時でもかまいませんよ」という驚きの答えが返ってきた。なんとおおらかなシステムだろうか。
ただし、一点だけ注意事項を申し渡された。
「P2と書かれた駐車場には、絶対に車やバイクを停めないでくれ」とのこと。

どうやら、キャンプ客の車で駐車場が埋まってしまい、お目当ての温泉に入れない温泉利用客からかなりのクレームが寄せられているらしい。
裏を返せば、それだけ地域の人に愛されている人気の温泉なのだろう。
無事に利用許可証を受け取り、受付を完了した。
さて、さっそく今夜の寝床となるサイトの吟味へと向かうとしよう。
サイト選びとヌシの声

キャンプサイトへと足を踏み入れると、そこは見渡す限りの芝生広場であった。
遮るもののない空間には、容赦のない日光がさんさんと降り注いでいる。
南側には山がそびえているものの、サイト内にいっさい日陰を作ってはくれてはいない。

北側には川が流れているはずだが、植え込みと舗装路に阻まれ、ここから川面を望むのは難しい様子だった。

祝前日の午前10:00という時間帯、場内の埋まり具合は全体の2割ほど。
しかし、条件の良さそうな主要スポットは、ほとんど先客に抑えられているようだった。
場内を偵察していると、「とんがりぼうし」と書かれた小屋の脇に、ひっそりと川面を綺麗に見渡せるスペースを見つけた。

駐車場からの距離も近く、動線としては申し分ない。
「よし、まずはここを第一候補にしよう」と、とりあえず頭の中でその場所をキープした。
さらに良いポジションがないかと貪欲にサイト内をうろうろしていた、その時。
突然、背後から声をかけられた。
「いま来たんかね? ここは初めてかね」
声の主は、なんと年間で100泊近く?!をここで過ごしているという、いわばこのキャンプ場の「ヌシ」ともいえる大ベテランであった。
これはチャンスとばかりに、そのヌシへおすすめの設営ポイントを尋ねてみた。
「おすすめはなぁ、断然ここの東屋の横よぉ」
ヌシが指さしたのは、サイトの中央、車道側の場所にある東屋の脇だった。

「でも、駐車場から離れてて、荷物の搬入がキツそうじゃないですか」
バイクからの搬入を頭に浮かべながら率直に疑問をぶつけると、ヌシはニヤリと笑って教えてくれた。
「それはなぁ、そこんとこだけちょっと道が広うなっちょって、一時的に車両を横付けして停められるんっちゃ。駐車場に近い側は人気があるけぇ夕方には大混雑する。こここそが、通(ツウ)ならではの静かに過ごせる特等席よ」

なるほど。確かに西側の駐車場付近は、すでにテントがひしめき合って密集地帯になりつつある。
それに、この容赦ない日差しを遮る術は、いま目の前にある東屋の影をおいて他にない。
先達の教えを信じ、今夜の寝床をこの東屋の横に決めた。
ふと振り返ると、さきほど頭の中でキープしていた「とんがりぼうし」の脇のスペースには、すでに別のキャンパーが滑り込んで陣取っていた。
バイクを東屋の側へと移動させ、今夜の設営地点を決め込んだ。

炎天下の避難 給電復旧といざ萩の街へ!

身体中に直射日光を浴び、毛穴という毛穴から汗が吹き出して全身にまとわりついた。
あまりの暑さにたまらずテントの中へ逃げ込んだものの、遮光性がなく、内部は完全に蒸し風呂状態。こいつはたまらん、と早々に諦め、天然のひさしとなって日陰を作ってくれている東屋へと避難した。
さっそくひと風呂浴びてさっぱりしたい、という気分に駆られたが、ここはぐっと堪えて夜のお楽しみに取っておくことにする。どうせ設営や移動で、このあともう一度汗だくになるのは目に見えているからだ。

東屋の影でひと息つきながらスマホを眺め、まずは最優先事項である「給電システムの復旧」に向けて動き出す。
周辺の店舗を検索してみると、さすがに専門のバイクパーツショップまではないものの、大手のカー用品店なら近くにあることが分かった。萩がそこそこ大きな街で本当に良かった、と心から安堵する。
さて、ついでに昼飯はどこで食べようか。
そうだ、前回立ち寄った「道の駅 阿武町」まで、繰り出してみるか。
そんな風にこれからのプランをあれこれ思案していたら、まるでこちらの思考を見透かしたかのように、ヌシがひょっこりとまた姿を現した。
「そこまで行かんでも、手前にある道の駅(道の駅 萩しーまーと)のほうが安うてうまいぞぉ」
なるほど、ここは山口県民の教えに従うのが正解だろう。
昼飯処だけでなく、ほかにも萩の見どころをいくつか教えてもらった。
トラブル解決と絶品グルメ、そして萩観光へ。
手に入れたばかりのローカル情報を胸に、ベースキャンプからいざ脱出——もとい、出発することにした。

まずは後々の憂いを完全に消し去るため、街で見つけた大型カー用品店へと直行した。

棚には膨大な数のシガーソケットチャージャーが並んでおり、どれを選ぶべきか思わず目移りしてしまう。
あれこれ吟味した結果、2ポートタイプ、高出力、そして比較的安価でありながら安心の国内メーカー製という、三拍子そろった逸品を選択した。

さっそく店舗の駐車場でバイクに装着し、通電を確認する。スマホの画面に力強く充電マークが灯り、うん、間違いない。と確かな手応えを得た。
バイク屋の親父の言葉がふと頭をよぎる。
「こういうガジェット類はね、ネットじゃなくて店舗で買ったほうが絶対にいいよ」
ガジェットの憂いも綺麗に晴れた。これでスマホのバッテリー残量を気にする必要はもうない。
さあ、心置きなく、改めて萩の街へと散歩に繰り出すとしよう。
イエローハット 萩椿東店

因みに壊れたのがこちら。

安価でポート数がやけに多かったので購入。
シガーソケットとこの本体の嵌合がそもそも悪く、滑り止めテープで補強して使用していたが半年ともたずにゴミとなった。おススメしない。
名所を駆け抜けた怒涛の「萩散歩」

限られた時間のなか、バイクで駆け抜けた「萩散歩」のラインナップは以下の通り。
- 道の駅 萩しーまーと:上品で美しい「小鯛甘酢漬け寿司」のランチ
- 松下村塾:幕末の志士たちを輩出した、わずか8畳の歴史の聖地
- 伊藤博文旧宅:千円札でお馴染み、初代総理大臣の原点
- 萩城城下町:ナビを見て驚愕!ご近所さんレベルで密集する偉人たちの生家
- 菊ヶ浜:今回の萩散策で一番感動した、コバルトブルーの日本海
- 萩城跡:バイクでダート道に迷い込み、偶然辿り着いた「潮入門跡」
- どんどん 唐樋店:ネギかけ放題のソウルフード「肉ごぼう天ぶっかけ」に感動
- アトラス 萩店:キャンプの夜を豊かにする、地元のローカルスーパーで買い出し
歴史のロマン、息をのむ絶景、そして一瞬で大ファンになったご当地グルメ。
萩の魅力をこれでもかと凝縮した各スポットの詳しい模様やルート(画像・MAP付き)については、本記事の最終章にある『歴史・絶景・ご当地グルメ!名所を駆け抜けた怒涛の「萩散歩」』で余すことなく紹介しています。
気になった方は、ぜひページ内ジャンプで先読みしてみてください。
※萩観光ツーリングのようすは以下のリンクから、ジャンプできます。
👉歴史・絶景・ご当地グルメ!名所を駆け抜けた怒涛の「萩散歩」
まずは買い出しを終え、温泉とテントが待つベースキャンプ(阿武川温泉公園キャンプ場)へと話を戻そう。
阿武川温泉│サウナで冷や汗!?湯上りは萩の晩酌
萩の街を満喫し、地元のローカルスーパー「アトラス萩店」で夜の仕込みを終えてベースキャンプ地へと舞い戻った。
昼間は2割ほどだったテントの埋まり具合は、夕方には4割ほどにまで増えていた。
周りを見渡すと、その大半がソロキャンパーのようだった。
ただ一つ気になったのは、炊事場の前にドーンと巨大なテントとタープを広げてスペースを占有しているグループキャンプの一団だ。
まあ、フリーサイトなのだからどこに張ろうが自由で問題はないのだが…。
(しかし、この懸念は夜になって最悪の形で的中することになろうとは…)。
自陣の隣には、山口ナンバーのソロバイクキャンパーがテントを構えていた。
軽く挨拶を交わし、ライダー同士の心地よい世間話を楽しむ。
さあ、次はお待ちかねの温泉だ。
風呂道具を一式引っ提げ、隣接する阿武川温泉へと向かう。

まずは身体を丁寧に洗う。キャンプツーリング中、こうして時間制限なく椅子に座ってゆっくりと身体を洗える時間がどれほど贅沢か、改めて身に染みる。内湯に首まで浸かる。少しぬるめの湯加減が、火照った身体に実に心地いい。
ひと風呂浴びて、一目散に向かったのはサウナだ。
扉を開けて中に入ると、先客としてひとり、どっしりと構えたガタイの良い男性が汗を流していた。
「お邪魔します」というように手で軽く無言の挨拶を送り、空いている後列へと回る。
が、その瞬間、目の前に現れたのは色鮮やかな「錦絵」がびっしりと…。
そこに描かれた力強い「眼」にじっと射抜かれ、まるでロダンの『考える人』のような格好のまま、1ミリも動けずに硬直していた。
サウナでありがちな「先客より先に出るのは負け」というしょうもない男の我慢大会など、この状況においては微塵も適切ではない。
例えるならヘビの背中に睨まれたカエル…。張り詰めた空気感のせいか、いつもより遥かにはやいペースで滝のような汗が噴き出してくる。
限界を迎え、もう先に出ようとふらふら身を乗り出した瞬間だった。
運悪く、つま先が前方に座る彼のお尻あたりに「ツン」と当たってしまったのだ。
一瞬で血の気が引いた。慌てて手で「すみません!」と必死のジェスチャーを送ると、向こうも片手をスッと挙げて「いいよ」と許してくれるような素振りを見せてくれた。
はあ…。実にスリル満点の密室だった…。
命からがらサウナを脱出し、休憩室でクールダウン。エアコンの効いた涼しい部屋で提供されていた、冷たい麦茶のサービスを茶碗で3杯、がぶがぶと一気に飲み干した。
のちにこのキャンプ場のヌシや隣のライダーにこの一件を話すと、
「そんなのこの辺じゃ普通だよ」とケラケラ笑われた。
なんでもこのあたりでは、カタギの人でもしょってる人が珍しくないらしい。
しかも、そのサウナの方はヌシの知り合いだったという。やれやれ、ちょっと安心した。
すっかり身体も軽くなり、テントへ戻ってアトラス萩店で仕入れた戦利品を並べる。
夕食は「どんどんのうどん」で済ませてあるため、今夜の宴はシンプルに。
山口県に浸るなら、やはり日本酒の一択だろう。
今夜の相棒に選んだのは、萩の名酒「長陽福娘」。つまみとして、「萩焼竹輪」を添える。

温泉上がりの贅沢な時間のなか、常温の地酒をちびちびとやる。
萩の地で、萩の名なるものを食し、呑む。
これ以上の(生きたここちがする?)幸せがどこにあるだろうか。
夜のサイトをつんざく宴と、22時前の不意なる警鐘

萩の地酒に心地よく酔いが回ってきた頃、懸念していた炊事場前のグループキャンパーたちの宴が、にわかに勢いを増し始めた。
ふと目をやると、あらかじめ設営されていた大型テントに、夜になってから次々と新しい人間が合流しているようだ。祝前日故の前乗り?しかも彼らは、駐車禁止とされているはずの「P2駐車場」へ続々と車を乗り付け、合流していく。…これ、はたして全員分の人数申請をしているのだろうか。
新たな仲間が加わるたび歓声が沸く。
子供たちは夜遅くにもかかわらず甲高い嬌声を上げ、大人たちは完全に自分たちの世界に入り込んで大盛り上がりしている。あまりの騒がしさに一気に酔いも冷めてしまい、たまらずテントの中へと引きこもった。しかし、夜の静寂のなかで、彼らの騒ぎ声だけが周囲一帯へ容赦なく響き渡っていた。

半ば諦めの境地でランタンの灯りを消した。
耳をつんざくようにいつまでも止まない会話をBGMに、無理やり眠気を手繰り寄せようと目を閉じた、その時だった。
ウゥゥゥゥーーーーーーーッ!!
突如として、夜のキャンプ場に大音量のサイレンが鳴り響いた。 何事かと飛び起きる。心臓が跳ね上がる。
『…こちらは新阿武川発電所です。まもなく発電放流を開始します。川の水位が急激に上昇しますので、十分注意してください…』
夜の静寂を切り裂くような非日常的なアナウンスが、サイト全体にけたたましく響き渡った。
時計を見ると、夜の22時前だ。この時間から発電のための放流が始まるなんて、さすがは川沿いのキャンプ場、驚きとスリルで心底びっくりさせられた。
──しかし。そんな大音量のサイレンと警告アナウンスをもってしても、狂乱の宴が止まることはなかった。
なぜ私は、深い夜のテントのなかで、微塵も興味のない「どこぞの職場の不倫話」を強制的に聞かされているのだろうか。
他人のドロドロした人間模様の暴露話が、遮るもののない夜風に乗って筒抜けに届いてくる。
怒涛の「萩散歩」の疲れを癒やすはずの夜は、こうして更けていったのだった。

休日午前の猛ラッシュ、弾き飛ばされ撤収退散

時計を見ると、朝の6:00にバッチリと目が覚めた。
目覚めたということは、寝られたということだ。
テントの外をそっと覗くと、昨晩あれだけ狂宴を繰り広げていたグループの一員が、タープ下で力尽きたようにぐったりと突っ伏しているのが見えた。
手元の温度計に目をやると、示していたのは18.1℃。
日中の35℃近くという殺人的な猛暑と比べれば、明らかにひんやりとした心地いい朝の空気だ。

この滞在のなかで、ソロで来ている他のキャンパーたちとは何人か顔見知りになっていた。
お互いに別れの挨拶を交わしていた、まさにその最中。
まだ朝の早い時間だというのに、週末のフリーサイトを狙ったキャンパーたちが続々と押し寄せてきた。
その勢いは凄まじいものだった…。
こちらがまだ撤収すら始めていないというのに、無言のまま信じがたい距離感で隣接してテントを広げ始める。
「おいおい、ちょっと待って…」と心の中で突っ込んだが時すでに遅し。
気がつけば彼らのペグや張り綱が、こちらの張り綱と完全にクロスしているではないか。
すでにサイト内は、空いているスペースさえあればお構いなしという完全なカオス状態。
私のテントは、あっという間に新参のテント群によって完全に包囲されてしまった。
「なんという…。」
強烈な居心地の悪さを感じ、急きょ予定を早めて撤収作業を完了させる。
そして、テントをパタパタと畳み終えたまさにその瞬間。
挨拶も何もなく、若いグループが一瞬でその跡地をかすめ取り、私は呆然とテントを持ったまま後ろへ追いやられた。
彼らはすでに自分たちの世界に没頭しており、すぐ目の前にいる存在など、最初(ハナ)から見えていないかのようだった。

荷物をすべてバイクに積み込み、避難するように東屋へと移動、その様子をぼーっと眺める。
すると、同じく早々に撤収を済ませていた山口バイクキャンパーさんが、隣に静かに腰を下ろした。
「やれやれだね…。」
「やれやれですね…。」
その一言で、お互いが感じていたすべての状況と感情を共有したかのようだった。
互いのこれからの旅の健闘を祈りつつ、最後の挨拶を交わして別れる。

バイクのシートに跨り、受付に利用プレートを返却しに向かった。

まとめ 〜休前日の滞在から垣間見えた光と影〜

今回の「萩阿武川温泉公園キャンプ場」での滞在は、利便性抜群のロケーションと萩観光を満喫できた一方で、週末・祝日ならではの「フリーサイトの過酷な現実」を垣間見る経験となりました。
もしこれからこのキャンプ場への訪問を計画しているライダーやキャンパーの方がいらっしゃるなら、私は平穏な平日に訪れることを強くおススメします。
仮に祝前日(金曜や連休前日など)に滑り込み、その日は問題なく設営できたとしても、翌日(土曜や祝日当日の朝)には凄まじい大混雑が押し寄せてくる可能性があります。
それなりの「覚悟」を持って臨む必要がある、というのが正直な感想です。
実際に泊まってみて感じたこのキャンプ場の素晴らしい魅力と、だからこそ発生している過密の理由について、少し考察風にまとめてみたいと思います。
なぜここまで混雑するのか?「最強のスペック」が生む過密状態
朝方に体験した、張り綱がクロスするほどの凄まじいテント密集状態、周囲との距離をいとわない強引な設営が横行する背景には、このキャンプ場が持つ「あまりにもユーサビリティが高すぎる破格の条件」があります。
- 圧倒的な低価格:利用料金が非常に安価に設定されています。
- 極上の利便性:温泉施設が目と鼻の先に隣接しています。
- 破格のサービス:キャンプの必需品である「薪」すらも安く手に入ります。
- 高い自由度:予約不要でふらっと来ることができ、チェックアウト時間も自由です。
- デイキャンプ無料:なんと日帰りのデイキャンプにいたっては「無料」です。
これだけの好条件が揃っていれば、週末や祝前日にキャンパーが怒涛の勢いで押し寄せるのは、ある意味で必然と言えるかもしれません。
キャパシティの限界と管理体制、そして「確執」の懸念
しかし、この「自由さ」と「安さ」が、少しネガティブな方向へ作用している印象も否めません。
気になったのは、管理者がサイト内を見回る様子が見られなかった点です。
ルールを無視して駐車禁止の「P2駐車場」へ夜間に次々と車を乗り付けるグループキャンパーが横行するのも、こうした管理体制の甘さが原因の一つだと考えられます。
祝日の受付前(10:00前)の段階でさえ、すでにサイトの適正な収容設営数を完全にオーバーしてしまうほどの勢いでした。
その結果、本来はキャンプ専用であるはずのP1駐車場が早々に埋め尽くされ、溢れたキャンパーたちの車が一般用のP2駐車場へと侵食していく事態に繋がっていくのではと想像してしまいます。
それ故、純粋に温泉や他の施設を利用しに来た一般の地域住民・観光客の方々とキャンプ利用者の間に、目に見えない確執(※実際クレームがおきているとのこと)が生まれているのではないかと、強く危惧させられました。
終わりに 〜萩の魅力をこれでもかと満喫して〜
キャンパーにとってこれ以上ない最高の「宿営地」であることは間違いありません。
しかし、その恩恵をこれからも維持していくためには、利用する側のマナーや、今後のキャンプ場側のキャパシティ管理が問われるのかもしれません。
夜の不倫話の強制リスニングや、22時前のまさかの放流サイレン、そして朝のテント包囲網…。
いろいろな意味での洗礼を受けましたが、それも含めてこれぞキャンプツーリングの醍醐味であり、旅のリアルだと感じています。
何より今回の旅では、歴史のロマンが息づく城下町や松下村塾を巡り、菊ヶ浜の息をのむようなコバルトブルーの絶景に出会い、小鯛の寿司や、どんどんのうどん、地酒の長陽福娘といった最高のご当地グルメまで、萩の魅力をこれでもかと全身で満喫することができました。

この深く濃密な旅の思い出は、ちょっとしたほろ苦い経験なんか吹き飛ばしてしまうほどの、一生の宝物になりました。
「やれやれ」と苦笑いを交わしたあの山口のバイクキャンパーさんとの一瞬の連帯感に心を癒されながら、バイクのシートに跨りました。
萩の素晴らしい景色と出会いに溢れた1日に深く感謝しつつ、次なる目的地へと向けて旅立ちます。
(次回【中国一周キャンプツーリング#6】へ続く)
歴史・絶景・ご当地グルメ!名所を駆け抜ける怒涛の「萩散歩」

歴史とロマンの街・萩の散策。
今回の萩散策ルートは以下の通り。
- 道の駅 萩しーまーと(ランチ)
- 松下村塾
- 伊藤博文旧宅
- 萩城城下町
- 菊ヶ浜
- うどんのどんどん 唐樋店(夕食)
- アトラス 萩店(買い出し)
それぞれのスポットの魅力を、旅の記憶とともに一挙に紹介していく。
道の駅 萩しーまーと

萩の海の幸が集まる活気あふれる道の駅。


ここで少し早めのランチタイムとした。
選んだのは、「小鯛甘酢漬け寿司」。
寿司折を開けると、銀色の身にうっすらピンクがかったの小鯛が美しく並び、その上品な佇まいに思わず目を奪われる。

一口食べれば、きゅっと締まった小鯛の凝縮された旨味と、甘酢のさっぱりとした風味が口いっぱいに広がり、最高のごちそうとなった。
道の駅 萩しーまーと

松下村塾

幕末の志士たちを多数輩出した、歴史の教科書でお馴染みの聖地。

わずか8畳ほどの小さな講義室から、高杉晋作や伊藤博文といった日本の夜明けを先導した面々が飛び出していったと思うと、感慨深い。
松下村塾

伊藤博文旧宅

松下村塾から歩いてすぐの場所に、初代内閣総理大臣・伊藤博文が青年期を過ごした茅葺き屋根の旧宅が佇んでいる。
木造平屋建ての建物は非常に質素でありながらも、どこか凛とした厳かな空気が周囲に漂っていた。
この静かな空間に身を置いていると、ふと、かつての千円札の顔が頭に浮かんだ。
伊藤博文旧宅

萩城城下町

続いて、「萩城城下町」へと向かった。
幸運なことにバイクの無料駐車場を発見。そこを散策の拠点とし、徒歩でのんびりと散策することにする。
駐車場の脇には、夏みかんの青々とした瑞々しい実がさっそく顔を覗かせていた。
ひとたびそこを一歩出れば、目の前には美しい白壁の町並みがどこまでも広がっている。

歩きながらスマホのナビを拡大してみて、思わず驚いた。
教科書で見た維新の立役者たちの生家が、文字通り「ご近所さんレベル」の至近距離でいくつも密集しているのだ。
山口県という土地が、日本の歴史を動かす偉人をどれほど多く輩出してきたのか。
その圧倒的な数の凄まじさには、ただただ驚かされるばかりだった。
萩城城下町 観光 駐輪場

菊ヶ浜

歴史情緒あふれる城下町を抜けると、視界が一気に開け、目の前に鮮やかなコバルトブルーの日本海が飛び込んできた。
眩しいほどの白い砂浜と、どこまでも澄んだ青い海のコントラストが驚くほど美しい。
ここは「日本の夕陽百選」にも選ばれている屈指の名所らしい。

歴史遺産がひしめく今回の萩散策のなかでも、この圧倒的な開放感と美しさを放つ海の情景が、間違いなく一番印象に残った景色となった。
菊ヶ浜

萩城跡

かつて毛利氏の居城があった「萩城跡(指月公園)」へと足を延ばした。
まずは観光写真などでもよく見かける、「萩城 本丸門跡」の前で写真をパチリ。
どこかにバイクを停められる駐車場はないかと周辺を探索しているうちに、いつの間にか未舗装のダート道へと迷い込んでしまった。
辿り着いたのは「萩城 潮入門跡(しおいりもんあと)」。

ここはかつて、お城のすぐ脇を流れるお堀へ海水を直接引き入れるための文字通りの「潮入(しおいり)」の門であり、同時に物資を積んだ船がそのまま城内へと出入りするための重要な水門としての役割を果たしていた場所なのらしい。
図らずも萩城の側面に触れることができたが、ここにはお目当ての駐車場はなさそうだ。
慎重にバイクを転回させると、ガタゴトと音を立てながら元来たダート道を引き返した。
萩城 本丸門跡

どんどん 唐樋店

萩散策の締めくくりに足を運んだのは、山口県民のソウルフードとも言われるご当地うどんチェーン「どんどん」だ。

数ある魅力的なメニューのなかから、今回は甘辛く煮た肉とサクサクのごぼう天が豪快に乗った「肉ごぼう天ぶっかけ」をオーダーした。

席について驚いたのが、なんと卓上の青ネギが「かけ放題」という太っ腹なシステム。
ネギ好きの自分としては、これだけでもう一瞬にしてこの店の大ファンになってしまった。

さっそくネギをたっぷりと盛り付けて、うどんをすする。
ツルツルと喉越しの良い麺に、少し甘めの出汁と肉の旨味が絶妙に絡んで実に美味い。
また付け合わせのレモンを絞ると今度は酸味がプラスされて爽やかでこれまた旨い。
あまりの美味さに、山口県以外にも店舗はあるのだろうかとその場でスマホを叩いて調べてしまったほどだ。
この感動的な味と、コスパの良さ。満足度が高い。
山口県のうどんも侮れないな、と思った。
今回の旅の途中で、絶対にどこかでもう一度リピートしようと誓った。
どんどん 唐樋店

アトラス 萩店
本日のすべての行程を終え、キャンプ場へ戻る前に地元のスーパー「アトラス」で夜の買い出し。
地方のローカルスーパーを物色するのは旅の醍醐味の一つだ。
ダイソーも併設しており、破けてしまった保冷袋を買い替えた。
今夜の晩酌用のお酒とおつまみをしっかりと買い込み、ホクホク顔でベースキャンプへの帰路についた。
アトラス 萩店

(終わり)






💡 現地でのワンポイントアドバイス
このキャンプ場は視界を遮るものがないオープンな広場サイトです。
そのため、周囲からの視線を遮ってプライベート感を保ちたいのであれば、「テントの開口部(向き)をどこに向けるか」が最大のポイントになります。